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新型ホンダ・フリードとシエンタどちらを選ぶ?

2016年9月16日に発売されたホンダ・フリードの新型モデルが好調なスタートを切っている。発売1カ月で2万7000台超の受注を獲得し、2016年10月の登録車販売台数で9153台となり、トヨタ・シエンタに迫っている。待望の新型フリードの仕上がりはどうだろか?

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

待望の新型ホンダ・フリードが登場

ホンダ・フリード/フリード+

ついに登場した新型ホンダ・フリード。フリードの価格は188万~272万8200円。フリード+は190万~274万8200円


2016年10月の登録車販売台数で3位に日産セレナ、5位にホンダ・フリードがランクインした。ともにメーカー、販売店期待(待望)の新型ミニバンで、依然として5ナンバークラスのコンパクトミニバンの需要が底堅いことを示している。

今回取り上げる新型ホンダ・フリード、フリードプラスは、当初の発売を遅らせて2016年9月となったという憶測が飛び交っている。フィットやヴェゼルのリコール、タカタのエアバッグ問題などに加えて、絶好調のトヨタ・シエンタと真っ向勝負を避けるため発売を半年ほど遅らせたと考えている向きさえある。

しかし、底堅いとはいえニーズに限界があるだけにシエンタにこれ以上お客を持って行かれたくない、という考えが少なくても販売店にはあったはずだ。土俵にも上がらせてもらえないのでは不戦敗になってしまう。

フリードとシエンタの燃費の差は?

ホンダ・フリード/フリード+

こちらはフリードの1.5Lガソリン仕様。ボディサイズは全長4265×全幅1695×全高1710mm


さて、待望の新型フリードは、3列のみ(6名か7名乗車)ベーシックなフリード、ラゲッジを低床化したフリード+(プラス)が設定されている。さらに、両仕様にそれぞれ1.5Lの直噴DOHCエンジン、1.5LアトキンソンDOHCのハイブリッドシステム「i-DCD」を用意している。ガソリン車にはCVT、ハイブリッド車には高出力モーター内蔵の7速DCTを設定。

なお、ガソリン仕様だけでなくハイブリッドにも4WDを設定し、25.2km/LというJC08モード燃費を実現している。ハイブリッドの2WDは最高で27.2km/L、ガソリン車の2WDは19.0km/L、4WDは17.6km/Lといった具合だ。

トヨタ・シエンタ

トヨタ・シエンタは内外装のデザインやカラーリングが巧みで、コンパクトミニバンの王者に君臨。どれだけ新型フリードが迫れるか。価格帯は168万9709円~232万9855円。フリードよりも価格帯が低めになっているが、安全装備ではフリードの方が充実している


ライバルのシエンタはハイブリッドが27.2km/Lという燃費で、これは奇しくも(?)フリードと同じ。なお、シエンタのハイブリッドは2WDのみで、4WDは設定されていない。ガソリン車は2WDが20.2~20.6km/L、4WDは15.4km/L。

こうみると、ハイブリッドの2WDは燃費だけ見ると互角だが、ガソリンの2WDはシエンタの勝ち、4WDは2km/L以上もフリードが上回っている。ただし、ガソリンの4WDをのぞくと、その差は同値(ハイブリッドの2WD)か僅か(ガソリン車の2WD)なので燃費だけで決めるのはあまり意味がないだろう。

新型フリードの走りはどうか?

ホンダ・フリード/フリード+

フリードのガソリン車は131ps/155Nm。燃費はFFが19.0km/L、4WDが17.6km/L


さて、フリードの走りはハイブリッドもガソリン車も新型モデルだけあってよくできている。1.5Lガソリン車は131ps/6600rpm、155Nm/4600rpmというスペックで、数値以上に速さを感じさせるし、2WDで比較すると60~70kgほど車両重量が軽くなっていて、この重量差以上に軽快感がある。

CVTらしい変速フィールは好みが分かれそうだが、1.5Lガソリン車でも動力性能には不満はないだろうし、ハイブリッドよりもむしろ速く感じるほどだ。一方のハイブリッド仕様である「i-DCD」も着実に進化している。出始めのフィットなどと比べると、スムーズなトルク感、パワーデリバリーであるし、回生や制動時のフィーリングにも違和感はない。

さらに、7速DCTもデュアルクラッチトランスミッションとしてはかなりシームレスな変速が印象的で、もう少しダイレクトな変速フィールがあっても楽しいのでは? と思わせるほどだ。ただし、ATやCVTが主流(とくにCVT大国の)日本市場では妥当といえるセッティングなのだろう。

新型フリードの課題は?

ホンダ・フリード/フリード+

ワイド感のあるフリードのインパネ。ステアリングの上からのぞくようなメーターを採用。焦点を合わせやすいなど改良されている


走りの面で注文をつけたくなるのは乗り心地。ライバルのシエンタには及ばないと感じさせる点でもある。1列目はなかなか良好といえる乗り味で、微振動や大きな入力もまずまず減衰させているが、2列目は絶えず小さな振動を感じさせるし、3列目はとくに高速道路だと大きな揺れと騒音が派手に侵入してくる。

一方の居住性は、ボディサイズの制約がある以上、シエンタと大差が出るはずはなく、1列目と2列目は横方向、頭上空間ともに申し分ないし、2列目のフットスペースはフリードがリードしている印象だ。

なお、ハイブリッド仕様は、フロアの高さこそガソリン仕様と同じだそうだが、バッテリーなどのIPU(インテリジェントパワーユニット)が1列目下に配置されているため、1列目への着座時でも「上げ底」感がある。2列目に座ると1列目下に足先(つま先)しか入らなくなる。ガソリン仕様は1列目下に足がすっぽり入るから足を伸ばして座ることが可能で、座り心地を重視するならガソリン仕様がオススメだ。

荷室が低床設計となるフリード+(プラス)は、使い方がハッキリしている人向けのモデル。自転車などの大きな荷物を載せたり、アウトドアなどで多くの荷物を積載したりするのに向く。さらに、ブームの車中泊にも対応するベッドモードにシートアレンジすることも可能だ。逆にこうした使い方をしないのであれば、フリードを選択した方が日常使いでは扱いやすい。とくに3列目を跳ね上げておけば大きな荷物も容易に積める。

6人乗り、7人乗りどちらを選ぶ?

ホンダ・フリード/フリード+

ホンダ・フリードの2列目のキャプテンシート。座面の高さ(ヒール段差)は先代よりも若干高くなっていて座り心地にも配慮されているが、シートサイズはやや小ぶりでアップライトな姿勢になる


フリードの場合、2列目がベンチの7人乗りかキャプテンの6人乗りかで迷うかもしれないが、どうしても7人乗りが必要な場合をのぞいて6人乗りを選択した方が賢明だろう。

6人乗りは1列目から3列目までウォークスルーが可能で、狭い場所での乗り降りや雨の日なども重宝しそうだし、自転車などの大きな荷物もラゲッジ側からこの通路に積載できからだ。また2列目のキャプテンシート自体も両側アームレストがあるぶん快適に感じる。

ハイブリッドとガソリンどちらを選ぶ? 安全性は?

ホンダ・フリード/フリード+

フリード+は車中泊にも対応するベッドモードにアレンジ可能


さて、フリードもしくはフリード+に狙いを定めたら、ガソリン車かハイブリッド車で迷う方もいるかもしれない。両車を単純に計算すると38万~40万円近い差があるように見える。しかし、装備面の違いを考慮するとその差は25万円程度までに縮まり、エコカー減税により取得税、重量税が「免税」になるなど税制上の利点も加わる。

後は使用シーンも考慮する必要もあるだろう。渋滞が多い地域ならハイブリッドの効果が期待できるし、逆に空いている郊外や高速道路を使う機会が多いならハイブリッドのメリットも減じてしまう。

また、フリードにするかシエンタにするかは燃費や走り、そして居住性や積載性にクルマ選びを左右するほどの決定的な大差はない。デザインやハイブリッドの4WDの有無、安全装備の差を考慮したい。衝突回避・被害軽減ブレーキは大差ないものの、フリードは歩行者事故低減ステアリング、車線維持支援システム、路外逸脱抑制機能、標識認識機能など「ホンダセンシング」の方が充実している。安全装備の充実ぶりではフリード/フリード+の方が上だ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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