宝塚ファン/宝塚歌劇団 トップスターの変遷

星組トップスター・北翔海莉、妃海風―退団(5ページ目)

2016年11月20日、星組トップスター・北翔海莉さん、トップ娘役・妃海風さんが、グランステージ『桜華に舞え』-SAMURAI The FINAL-、ロマンチック・レビュー『ロマンス!!(Romance)』の千秋楽(東京宝塚劇場)に宝塚歌劇団を退団しました。

桜木 星子

執筆者:桜木 星子

宝塚ファンガイド


妃海風 星組トップ娘役へ

2015年、11年上級生の北翔海莉さんの相手役に選ばれ、星組トップ娘役に就任します。

お披露目公演、『大海賊』では可憐なエレーヌを溌剌と演じました。『ガイズ&ドールズ』では、堅物な救世軍のサラが、ギャンブラーのスカイを愛してしまう心の移り変わりを見事に演じました。ハバナの場面の酔っぱらったサラの可愛かったこと!「私がベルなら」などナンバーもきれいに歌いあげ、実力派・妃海風の当たり役となりました。

可愛い小間使い、そして大きなドレス姿も艶やかだった『こうもり』のアデーレ。名曲「侯爵様、あなたのような方は」を軽やかに歌いあげました。

退団公演『桜華に舞え』では、薙刀を手に官軍と戦う、会津藩の武家娘、大谷吹優を。記憶喪失になった女性という難役を、たおやかに、そして凛として見せました。

くるくると変わる表情で、いつも体当たり。どの役も、こじんまりとまとめたりせず、自由開放に演じた妃海風さん。可愛い役も大人っぽい役も、豊かな表現力で、魅力的な女性を誕生させました。

11年も上の、しかも宝塚きっての実力派、北翔海莉さんの相手役を務めるという立場は、どれほど重責だったことでしょう。その重責を背負いつつも、相手が北翔さんだったから出来たことでしょうが、真っ直ぐに飛び込み、迷いのない舞台を見せてくれたました。

まだ研8。まだまだやれる学年ですが、北翔海莉さんとの同時退団を選んだ……その気持ちがわかります。北翔さんを見たときの、少し照れたような、とびきりの笑顔も忘れられません。


北翔海莉&妃海風

『THE ENTERTAINER!』

(C)宝塚歌劇団 (C)宝塚クリエイティブアーツ

このコンビだからこそ生まれたショーやレビューが数多くありました。
ディズニーと宝塚の名曲で構成された『LOVE & DREAM』は、まさに愛と夢の世界。中でも『LOVE & DREAM』のシンデレラの場面の美しかったこと!
またポップスやミュージカルの名曲で綴った『One Voice』も、歌唱力抜群のこのコンビだからこそ可能なコンサートだと言えるでしょう。

北翔海莉率いる星組の魅力がすべて詰まったショーが『THE ENTERTAINER!』でした。中でも、フレッド・アステアやジーン・ケリー、ジンジャー・ロジャースらの古き良き時代のミュージカルを彷彿させた中詰。シルクハットをかぶり、男役は黒燕尾、娘役は黒燕尾ダルマで、「There's No Business Like Show Business」、「Lullaby of Broadway」、「The Continental」、そして「That's Entertainment」と、万華鏡のように魅せていくシーン、102人でのロケットは圧巻。そのセンターに立つ北翔海莉の神々しさと品格は、まさに最上級のエンターティナーでした。
「It Don't Mean A Thing」のスキャット、エレガントで温かいフィナーレのデュエットなど、二人の名場面も数多く残しました。

ハイレベルな実力と、劇場を包む明るさと温かさで、多くの名場面や名曲を生んだ最高のエンターティナー北翔海莉さん。同じ歩幅で歩んだ妃海風さん。そして退団者の皆さん。
築き上げた舞台を、その時の感動と共に、いつまでも忘れる事はないでしょう。楽しく素敵なひとときをありがとうございました。


最後に……Twitterで「アナタの好きな北翔海莉、妃海風の作品や役」を伺いました。ご紹介いたします。

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