早期リタイアを希望していますが、適切な時期がわかりません

あとどれくらい働けばいい?

あとどれくらい働けばいい?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、リタイア時期について考えている40代の男性会社員です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)


■相談者
いーさん(仮名)
男性/会社員/47歳
東京都/持ち家・一戸建て

■家族構成
独身一人暮らし

■相談内容
仕事の時間が長く、リタイアしたい。現状、年金月額10万円ほど。想定としてあとどれだけ働けばいいのか知りたい。今辞めたらと2年後の50歳、その後55歳、60歳(定年)、65歳(定年後嘱託制度有)と想定したいです。完全に辞めた場合とパートなどで臨時収入を稼ぐ場合の両方を可能性として考えています。他に医療保険をどうするか、個人年金保険に加入すべきかも悩んでいます。

■家計収支データ
「いー」さんの家計収支データ

「いー」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)収入について
夏より昇給。ただし、勤務時間が長くなり、来年度も昇給が額面で月額4万~10万円(交渉次第)の昇給があり得る。人事及び担当役員は、現状の報酬では安いと考えているとのこと。また、今辞めても、退職金もいくらか出る予定。

(2)加入保険について
・医療保険(保険期間60歳それ以降保障半減で最高70歳まで、入院6000円、死亡50万円、他に通院、手術、先進医療特約など)=保険料2300円
・火災保険(火災住宅2240万円、家財700万円、風水害等300万円)=保険料1700円

(3)今後の支出
エアコン2台、冷蔵庫1台、洗濯機1台、ふろ温水器、トイレなどが近いうちに買い替えの予定。外壁の塗装は100万から150万円。その他、自宅(築28年)の修繕費用(主に屋根、ベランダ)として500万円くらいを想定。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 きびしく見積もっても90歳で1000万円は残る
アドバイス2 辞めたい要因が深刻ならそれを優先すべき
アドバイス3 保険で増やすより、貯蓄を活かす

アドバイス1 きびしく見積もっても90歳で1000万円は残る

先に結論から申し上げます。いつ退職されても問題ありません。今すぐ辞められてリタイア生活に入っても大丈夫です。

その根拠ですが、実際に試算をしてみましょう。前提として、不定期および想定外の支出を除く、いわゆる基本的な生活費が今後も変わらないとします。現在が10万2000円ですから年間122万4000円。公的年金受給開始の65歳までの生活費は総額で約2200万円となります。

収入ですが、仮に完全リタイアしたとしますと、その間の収入は自宅駐車場の賃料が月2万円。他に退職金が出る可能性もありますが、不確定なのでここでは加算しません。それでも18年間で432万円。現在の貯蓄と合わせて、65歳まで5521万円(利息等考慮せず)となりますので、先の生活費を差し引けば、それでも約3300万円は残ることになります。

その間の大きな支出として、データにあります今後予定している自宅修繕や家電等の買い替えなどを総額で750万~800万円程度。さらに、リタイア後に支払う国民年金保険料とその他の社会保険料、税金で合計月額2万円とると、65歳(国民年金は60歳までの支払いと仮定)までに支払う額は320万円。両者を合算して、合計1100万円程度とすると、それでも65歳の時点で2200万円が手元に残る計算になります。

次に65歳以降ですが、老齢年金の受給月額10万円が現在まで支払っている厚生年金保険料で試算した額なのか、定年まで働くことを想定した額なのかが不明です。もし前者であれば、生活費と年金額がほぼ同額。結果的に、税金と社会保険料分を貯蓄から取り崩すことになります(実際は年金から天引き)。それが月1万5000円程度なら年間18万円。90歳まで生きるとして、貯蓄からの取り崩しは約500万円ですから残りは1700万円。駐車場収入がもし続くなら、このコストも相殺され、貯蓄は基本的には取り崩しがありません。

後者の場合、どれだけ減額になるかは今あるデータだけでは何とも言えませんが、2万円減ったとして月8万円。駐車場収入も65歳以降はないと仮定します。結果的に90歳の時点で残る資金は1100万円。途中、要介護や長期入院などによる支出があったとしても、とりあえず慌てることはないと思います。

アドバイス2 辞めたい要因が深刻ならそれを優先すべき

もちろん、試算はあくまで試算です。しかし、相談者の場合、家計収支を拝見すれば、無駄遣いもまったくなく、家計管理もしっかりできていることがよくわかります。マネープランを立てれば確実に実行できる可能性は高いと考えます。

それでも、この金額では心許ないと思うかもしれません。そうであれば、対策としては、老後資金(=貯蓄)を増やすことになります。ご相談者の場合、年間360万円貯蓄できるわけですから、リタイア時期を3年も延長すれば1000万円超上乗せできます。ここまで用意できれば、まず安泰と言えるでしょう。

ただ、老後資金と同時に、なぜリタイアしたいと思うのか。その要因も考えるべき。職場環境によって大きなストレスを抱える、あるいは体力的に限界というなら、それを最優先にすべきではないでしょうか。

老後資金を上乗せしたければ、ご本人も言われていますが、退職後働くという選択肢もあります。最初の1~2年はゆっくりと体を休め、その後にアルバイトを65歳までしたとします。仮に月7万円稼げば、16年間で1344万円。3年間退職時期を延長する以上に老後資金を増やすことが可能となるわけです。資金的に余裕がありますから、そのときの資産状況に合わせて、働くペースを調整できる点も、アルバイトの大きなメリットです。

アドバイス3 保険で増やすより、貯蓄を活かす

保険については、死亡保障、医療保障ともあえて用意する必要はありません。保険は未加入でも構わないということです。

まず、資産を遺す家族がいないのであれば、死亡保障は不要です。お葬式費用は貯蓄から十二分に出ます。また、先にも触れましたが、老後資金から、今後かかるであろう医療費や介護費用はほぼ捻出できます。国民健康保険に加入している以上、高額療養費制度も利用できますし、かかる保険料を貯蓄に回せば、結果的にそれも医療費等に充てることができるわけですから、民間の保険に頼る必要はないというわけです。

それでも精神的に不安であれば現状のままか、早めに終身保障終身払いの医療保険(入院5000円が目安)、もしくはがん保険に切り替えればいいでしょう。保険料はさして変わりませんし、この程度のコストなら、老後資金そのものに大きな影響はありません。

個人年金保険については、低金利の今はメリットが感じられません。それよりも普通預金に2600万円も預けている方が、増やす機会を逃しています。ネットで探せば、地方銀行や信用金庫が出している金利0.2~0.3%の定期預金がいくつも見つかるはずです。預け替えや預け分けでそれなりに手間はかかりますが、税金を引かれても手元に年間8万円程度の利息が、リスクなく手に入ります。貯蓄を活かす方が流動性も高く、保険よりも利用価値は高いと考えます。


教えてくれたのは…… 

深野 康彦さん

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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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