最近は「まずネットで検索をかけてから」というのが基本的な部屋探しのスタイルとなってきました。でも、物件検索サイトはたくさんあってどれがいいのかわからないし、たくさん出てきた部屋はどれがいいかわからないし、でも、短期間で探さなきゃいけないし…なんて、悩んでしまう人も多いかもしれません。

そこで今回は、大手物件検索サイトのひとつである『マイナビ賃貸』の編集長である三森一将さんに物件検索サイトの上手な使い方についてお話を伺いました。

たくさんある物件検索サイト、何がどう違うの?

― たくさんの物件検索サイトがあって、迷う人が多いようです。どんな違いがあるのでしょうか。

マイナビ賃貸

マイナビ賃貸は、学生や新社会人といった一人暮らし向けの物件を多く扱っています

物件検索サイトには、大きく分けて二種類あります。ひとつは不動産会社(※)が運営しているサイト。もうひとつが『マイナビ賃貸』をはじめ、不動産会社から物件を広告として募集し、掲載しているサイト(賃貸ポータルサイト)になります。(※ガイド注:アパマンショップ、エイブル、ミニミニなど)

一般の方からすれば、その違いはわかりにくいかもしれませんが、前者はその会社が取り扱っている物件や空室を埋めたい物件が中心として掲載されています。一方、後者はいろいろな不動産会社の物件を掲載しているので、より幅広く物件を掲載していると言えるかもしれません。さらに、そのサイトごとでも特徴やサービスは違います。

― マイナビ賃貸はどんな特徴があるんですか。

マイナビは進学や就職を支援するサービスを行っていることもあり、大学生や新社会人の利用者が多く、ワンルームや1Kなどのシングル向けの物件を多く扱っています。『マイナビ賃貸』ならではのサービスとしては、受験生応援企画として、大学合格前に物件の予約ができる不動産会社が探せたり、「キャンパス別特集」として大学別にキャンパスに通いやすい駅の物件相場などの情報を掲載しています。新生活を始める方に役立つサイトになっているのではないかと思います。

また、「マイナビ賃貸サポートセンター」というフリーダイヤルも開設しています。大学生は保護者と一緒に部屋探しをされることもあり、その中には直接話をして情報を得たいという方も多いようです。

遠方への引越しとなると、大学からの距離や街の雰囲気がまったくわからず、ネットの情報だけでは判断できないことも多くあります。サポートセンターにお電話をいただくと、その大学や地域に強い不動産会社を直接ご紹介するといったお手伝いをさせていただくことができます。

同じ部屋がいろんな物件検索サイトで見つかる。なぜ?

― 複数の物件検索サイトで検索をかけたら、同じ部屋が別のサイトから見つかったり、さらには違う不動産会社が扱っていることがあります。どういうことなのでしょうか。

一人暮らしの部屋探し

スマホの普及で、いつどこにいても手軽に部屋探しができるようになりましたが、情報が多すぎて判断がしにくいことも…

実は、不動産会社だけが見ることができる物件のデータベースというものがあり、そこで取り扱われている物件は、管理会社がNGを出さない限り、基本的にはどの不動産会社でも紹介することが可能なんです。

そのため、複数の不動産会社が物件検索サイトに掲載を希望した場合、様々なサイトから同じ部屋が見つかったり、同じ部屋を違う不動産会社が扱っていることはよくあります。もちろん中にはひとつの不動産会社しか取り扱えない物件というのもあるのですが、同じ部屋があちこちのサイトから見つかるというのは当然のことなので、そこは不安に思う必要はありません。

― 同じ物件なのに、家賃などが異なることがあります。これはどうしてですか。

いくつか理由が考えられますが、ひとつはマンション名や間取図、階数が同じだから、同じ部屋だと誤解している場合です。例えば、同じマンションの同じ階に空き室がふたつあって、ひとつは角部屋で、もうひとつは違う。そうなると、家賃は角部屋の方が1000円くらい高くなるというのはよくあることです。

それからもうひとつ、初期費用が不動産会社によって異なるという場合もあります。これは戦略的に変えているケースで、例えば、不動産会社によってクリーニング代を請求したりしなかったりする場合があります。また、敷金礼金については、不動産会社で変更が可能な場合があり、ある会社は「礼金ゼロ」と記載することで安さを売りに。一方、別の会社は「礼金1ヶ月」とあえて記載しておいて、あとで交渉になったときに下げることで契約まで結びつけようとする。そこは営業戦略の部分ですね。

数ある不動産会社の中から、どこを選んだらいいの?

― 同じ物件を多くの不動産会社が扱っているとなると、どの不動産会社に連絡を取ればいいのか悩みます。

物件情報や不動産会社の情報を見るときに、注目してほしいのが『取引態様』です。聞きなれない言葉かもしれませんが、不動産会社がどのような立場でその物件を扱っているかを示しています。物件情報の中では、間取図や写真などのさらに下の方ですが、必ず掲載されている情報です。
仲介

『取引態様』という情報を見ると、その不動産会社が物件をどのような立場で扱っているかがわかります

そこによく記載されている言葉に「仲介」と「専任媒介」といったものがあります。「仲介」というのは、貸主とは直接つながっていない不動産会社のこと。つまり、取引態様に「仲介」と書かれている場合は、その物件を扱う不動産会社は貸主のことを知っているわけではないので、「この部屋の大家さんはどういう人なんですか」と聞いても答えられないことも多いんです。

一方、「専任媒介」は、その不動産会社以外は扱えない物件であることを示しています。貸主から直接依頼を受けて、物件を紹介しているので、貸主や物件についての情報も多くありますし、例えば家賃の値下げ交渉などもしやすかったりします。

― では、仲介と記載されている不動産会社は選ばない方がいいんですか。

そんなことはありません。それぞれメリットとデメリットがあるんですね。

「専任媒介」の不動産会社は自分だけが扱っている物件を借りてほしいがために、ひとつの物件ばかり強く勧めてくる場合があります。一方、「仲介」の不動産会社は中立な立場でいられます。「この物件がダメなら、こっちはどうですか」と、借りる側の要望に合わせて、多くの部屋を紹介してもらえるというメリットがあります。

それぞれのメリットを知っていると、「物件の管理もしている不動産会社に直接問い合わせてみよう」「一度にいろいろ紹介してほしいから、仲介の立場でやっている不動産会社にお願いしよう」など使い分けができるので、よりスムーズな部屋探しができると思います。

― 不動産会社を選ぶ際にできる上手な物件検索サイトの使い方はありますか。 

物件名や不動産会社の名前で検索をかけてみるのがおすすめです。気になる物件が見つかったら、そのマンションやアパートなどの物件名で検索をかけてみると、その物件を扱っている不動産会社が見つかります。そこで、どの不動産会社が自分にはよさそうか比較してみる。例えば「家から近そう」「女性スタッフがいる」「クーポンがもらえる」など、不動産会社の特徴が見えてきます。

また、その不動産会社がどんな物件を扱っているのかを見てみるのもいいですね。不動産会社にも得意不得意があります。例えば、その不動産会社が扱っているのは池袋エリアが中心なのに、自分が気になっている物件は吉祥寺だった。となると、その不動産会社からあまり得意でないエリアの物件を紹介してもらうのは、メリットが少なそうだと考えることもできます。

物件検索サイトは比較検討もしやすくなっています。「希望に合った物件が一件見つかった」とすぐに連絡をしてしまうのではなく、いろいろな角度から調べてみるといいかもしれませんね。

「おとり物件」って見分けられるの?

― 部屋探しをしていると「おとり物件」という言葉を耳にすることがありますが、本当にそんな部屋があるんでしょうか。

一人暮らしの部屋探し

相場に比べて家賃が安すぎたり、家賃に対して部屋が良すぎたりするときには要注意

はい、残念ながら、あります。「おとり物件」にもいくつか種類があるんですが、ひとつは空いていない部屋を掲載しているケース。人気がある部屋なので、実は埋まっているけれど、ずっと載せている場合があります。

それから、家賃をごまかしているケース。あえて安く掲載しておいて、問い合わせがあったら「実は、間違っていました」と答える場合があります。

― なぜ、そんなことをする必要があるんでしょうか。

不動産会社としては、なんでもいいから、一度お客さんに来店してほしい。実は、来店したお客さんの半分くらいは、その不動産会社で契約するんです。一度会って対応すると、お客さんの方も「この不動産会社は一生懸命やってくれるから、契約しないと悪いなぁ」と思ってしまうんです。

― 「おとり物件」に引っかからないためにはどうしたらいいですか。

条件が極端にいい部屋というのは、まず一度疑ってみるといいかもしれません。

先ほどお話したように、部屋や不動産会社の情報を物件検索サイトで調べてみると、「同じ物件なのに、なんで家賃がこんなに違うんだろう」と気づく場合があります。その上で不動産会社に行く前に、メールや電話で問い合わせてみる。行ったあとで「やっぱりおとり物件だったのかも」と思うのは、時間も労力も無駄になりますからね。

― 物件検索サイトの方で、「おとり物件」を掲載しないことはできないんですか。

物件検索サイト側でもおとり物件の対策は行っていますが、おとり物件であるかどうかに関係なく、物件を掲載するのは不動産会社なので、それらの物件の中から事前におとり物件を見つけて掲載をさせないというのは、残念ながら難しい状況です。

しかし、不動産広告の自主規制機関である不動産公正取引協議会では、おとり物件を掲載した不動産会社に違約金を課徴したり、違反が悪質な場合は社名公表を行ったりしています。また、首都圏不動産公正取引協議会に設置された『ポータルサイト広告適正化部会』に『マイナビ賃貸』を含む5サイト(※)を運営する各社がメンバーとして参画しており、同協議会と連携して「おとり広告」等の広告違反をなくすため、「違反物件情報等の共有」など様々な施策を講じています。(※ガイド注:SUUMO、HOME’S、athome、CHINTAI、マイナビ賃貸)

ただ、もしご自身がおとり物件を見つけたと思われる場合は、『マイナビ賃貸』にも通報フォームが用意されていますので、ご指摘いただきたいと思います。

事故物件って見分けられるの?

― 「事故物件」というのも気になります。

一人暮らしの部屋探し

「告知事項有り」という記載があるかは要チェック。水回りの不具合といった部屋の設備故障といった場合も

最近「事故物件」という言葉をよく耳にするようになり、すごく気にされる方が増えているんですが、物件情報を見るときに「告知事項有り」という言葉がある場合、いわゆる事故物件にあたるケースが多いです。ただし、「告知事項」というのはその部屋で人が亡くなった場合のみを指すのではなく、例えば設備不良や騒音、近隣に暴力団事務所や霊安所があるといった場合にも使われます。

「告知事項有り」というのはサイトの物件情報でいうと、かなり下の方に記載されていることがほとんどです。間取図や写真、家賃だけ見て、部屋の情報を得たと納得せずに、細かいところまでチェックしてみることが大切です。ただ、告知事項があるからといって、すぐに事故物件と決めつけず、不動産会社にきちんと確認してみるといいと思います。

細かい情報が掲載されてない部屋って怪しいの?

― 物件検索サイトを見ていると、写真がほとんど掲載されていない物件情報がありますが、おとり物件だったり、問題がある物件だったりするんでしょうか。

それは問題がある物件というよりも、管理会社がきちんと情報を提供していないからというのが大きな理由ですね。仲介の不動産会社が掲載している物件情報は、管理会社が用意したものなんですが、管理会社が用意した写真が一枚しかないなんていうこともあるんです。やる気のある仲介会社であれば、自分で管理会社から鍵を借りて撮影をして掲載するということもあるんですが、そうでないと写真一枚と間取図だけになってしまうことがあるんです。

『マイナビ賃貸』では、物件情報に間取図と居室にプラスして、外観の写真も必ず掲載してもらうようにしています。それによって「居室はリフォームされていてキレイだったけれど、建物の外が汚かった…」といったケースを減らしたいと考えています。

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部屋探しの情報は、なんとなく「わかりにくい」「騙されそう」「難しい」という印象がありましたが、どこに注目したらいいのか、またどういった点を注意したらいいのかがわかると、よりスムーズに希望の部屋にたどりつけるようです。

次回記事でもマイナビ賃貸編集長三森さんにご登場いただき、ちょっと怖い印象のある不動産会社との上手な付き合い方についてお話しいただきます。お楽しみに!


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。