マンションを購入すると、管理費や修繕積立金、駐車場の専用使用料など毎月の負担が発生します。住宅ローンの返済金額だけでなく、これらの費用もよく考えて資金計画を立てなければなりませんが……。
不動産経済研究所や東京カンテイなど民間の調査会社では、ときどき首都圏のマンション管理費についてさまざまな角度から分析したデータを公表していますが、これらをみると興味深い事実も浮かび上がってきます。
詳細なデータの引用は差し控えますが、マンション1平方メートルあたりの管理費単価を市区町村別でみると、高いところと安いところで2倍以上の差が生じているようです。
また、階数別や戸数規模別でもかなりの差があり、超高層マンションや大規模マンション、あるいは低層マンションや小規模マンションが割高です。それぞれの中間的なマンションの管理費は比較的割安だといえるでしょう。
階数別と戸数規模別によって管理費にある程度の差が出ることはまだ理解できるのですが、どうしても疑問が残るのは、駅からの時間別と分譲単価別です。
駅から近ければ近いほど管理費単価が高く、同様に1平方メートルあたりの分譲単価が高ければ高いほど管理費単価も高いという傾向が表れているのです。分譲単価と管理費単価が明らかに連動しているといえるかもしれません。
しかし、一部の「高級マンション」は別として、同じくらいの規模やグレードのマンションであれば、立地にかかわりなく管理員の人件費や設備の保守点検費用など管理にかかるコストはそれほど大きく変わらないはずです。
分譲価格の差も立地に左右される面が大きく、必ずしも分譲価格が高いマンションほど上質な管理がされている、というわけではないでしょう。
もし、管理費設定の背景に「高いマンションを買う住民からは管理費も高く取ってしまえ」という管理会社の意図があるのだとしたら大きな問題だと考えられます。
駅から遠く分譲価格が安いマンションは、常駐ではなく巡回管理にしてコストを抑えているなどの背景もありそうですが、もし安いマンションほど人件費の安い管理員を配置するという事情があるのだとしたら、それはそれで別の問題がありそうです。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2007年4月公開の「不動産百考 vol.10」をもとに再構成したものです)
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