鉄道/SL

いまでも乗れる国内の蒸気機関車(SL)(3ページ目)

新幹線をはじめ電車が各地を疾走し、ローカル線ではカラフルなディーゼルカーが走りまわる21世紀であっても、蒸気機関車(SL)の人気は衰えることがない。1975年に一旦は旧国鉄の線路からSL牽引の定期旅客列車は姿を消したにもかかわらず、その後、各地でSLは復活を遂げ、イベント列車として元気に活躍している。近々、東武鉄道でもSLが復活するなど、ますます目が離せなくなった、日本の動態保存SLについてまとめてみた。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド


日本一運転本数の多い大井川鐡道のSL

(大井川鐡道、新金谷~千頭)(静岡県)
C11形227号機

大井川鉄道の蒸気機関車C11形227号機

旧国鉄でのSL運転終了後、いち早くSL動態保存運転を開始した、日本のSL動態保存のパイオニア的存在である。C11形227号機、190号機、C56形44号機、C10形8号機という3形式4両の体制で、年間を通じてSL列車を運行、観光シーズンには、一日3往復走る日もある。
公式サイトより引用

公式サイトより引用

長らく旧型客車を使用し、古き良き時代の汽車旅を再現してきたが、近年では機関車を大変装させ、トーマス号とその仲間の姿で、今までSL列車とは縁のなかった家族連れや女性など幅広い集客に貢献している。また、青い14系客車(エアコン付き)をJR北海道から譲り受け、2017年以降、真夏のSL列車運行の暑さ対策に貢献すると思われる。

大井川鉄道のSLの公式サイト


40年近い歴史を持つ「SLやまぐち号」

(JR西日本山口線、新山口~津和野)(山口県、島根県)
SLやまぐち号

徳佐駅付近を走るC57とC56重連の「SLやまぐち号」

旧国鉄初のSL復活動態保存として1979年8月から運転を開始。すでに40年近い歴史を持つ。梅小路蒸気機関車館(現・京都鉄道博物館)に保存されているC57形蒸気機関車の1号機を使用、時にはC56形160号機が代走したり、両機での重連運転も行う。

最近、京都鉄道博物館に保存されていたD51形200号機が本線での運転が可能となるよう動態復活を果たし、SLやまぐち号の牽引機としての活躍が期待される。また、客車の老朽化が進んでいるため、旧型客車風の車両を新製することが発表された。なお、JR西日本では、SLイベント列車として「SL北びわこ号」(北陸本線米原~木ノ本)(滋賀県)を年に数回運転している。

SLやまぐち号の公式サイト


大正生まれのハチロクが活躍する「SL人吉」

(JR九州鹿児島本線、肥薩線、熊本~人吉)(熊本県)
SL人吉

球磨川の鉄橋を渡る「SL人吉」

旧国鉄型蒸気機関車では現役最古参となる大正生まれの「ハチロク」(8620形58654号機)が走る。3両の50系客車は、水戸岡鋭治氏がレトロ風に大改装したものである。

詳しくは、「SL人吉の古風で優雅な旅」参照


冬の北海道の定番列車「SL冬の湿原号」

(JR北海道、釧網本線、釧路~標茶)
かつては、季節に応じてJR北海道のいくつかの路線でSL運転を行っていたが、現在では冬季限定の「冬の湿原号」のみとなってしまった。JR北海道には、2両のC11形(171号機、207号機)が動態保存されているが、諸般の事情から171号機のみを残し、207号機は東武鉄道に貸し出され、2017年から東武鬼怒川線で運転を行うべく準備が進められている。

東武鉄道SL復活運転プロジェクト


以上、旧国鉄形の蒸気機関車を用いた動態保存運転についてまとめてみた。これ以外にも単発のイベント運転は頻繁に行われている。意外にも多くの路線で走っているので、ぜひ乗ったり、撮ったりして楽しんでみたいものである。

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