主要国の騰落率NO.1はロシアのRTS指数
ニュースでは米国のNYダウがいつ2万ドルの大台に乗せるかが度々話題になっていますが、ブルームバーグによればNYダウの年間騰落率は13.4%に過ぎません。主要先進国の中では、トロント総合(カナダ)の17.5%、FT100(英国)の14.4%に続いて第3位に過ぎないのです。新興国を含めた主要国の騰落率の第1位は、RTS(ロシア)の52.2%、2位はボべスパ(ブラジル)の38.9%、以下トロント総合、FT100、NYダウと続く形になります。ちなみに、日経平均株価は0.4%、TOPIX(東証株価指数)に至ってはマイナス1.9%でした。トランプラリーでかろうじて日経平均株価の騰落率はプラスになりましたが、日本株全体を表すTOPIXで見ると日本株はマイナスの騰落率といった方が正しいかもしれません。騰落率は通貨調整は行っています。
対円における通貨の騰落率は、ブラジル・レアル18.4%、ロシア・ルーブル15.1%、南アフリカ・ランド9.8%、カナダ・ドル0.2%のプラス、言い換えれば円安/外貨高になった通貨です。
ニュージーランド・ドル-1.4%、米ドル-2.7%、豪ドル-3.9%、ユーロ-5.9%などと、これらの通貨はマイナスの上昇率ですから、円高/外貨高になった通貨ということができます。
ブラジル株ファンドが騰落率上位を独占
2016年の株式投資信託の騰落率上位は下記の表の通りです。株価指数の騰落率が高く、円安に進んだ通貨が絡む、ブラジル株、ロシア株にほぼ独占されている状況でした。両国が絡まないのは、12位の「フォルティス中国環境関連株式投信」だけとなっています。第1位は、騰落率63.28%、大和住銀投信投資顧問が運用する「株式&通貨資源ダブルフォーカス(毎月分配型)」です。同投信は、主に北米の金融商品取引所に上場している、エネルギー、鉱物資源、資源インフラ等の資源関連企業の中から、中小型株に着目して投資が行われます。さらに、為替取引を活用して、ブラジル・レアル、南アフリカ・ランド、豪ドルに概ね均等に投資することで、為替差損益、金利差損益を得ています。
原油価格や石炭価格などが年後半上昇したことに加え、為替取引で金利差を得たこと、豪ドルを除く2つの通貨が円安に推移したことが好成績の要因と考えられます。
第2位は騰落率60.77%、日興アセットマネジメントが運用する「資源株ファンド通貨選択シリーズ(ブラジル・レアル)(毎月分配型)」、第3位は騰落率60.72%、同じく日興アセットマネジメントが運用する「資源ファンド(株式と通貨)ブラジルレアル」です。
第2位、第3位の投資信託共に、第1位の「株式&通貨資源ダブルフォーカス(毎月分配型)」と非常に似通った商品です。世界の資源株に投資を行い、為替取引を利用して金利差損益、為替差損益を得ているからです。第1位の投資信託と異なるには、投資対象が中小型株に絞っていないこと、米ドル建てで投資は行われるが、北米以外の上場株も投資対象にしている点です。
また、株式&通貨資源ダブルフォーカス(毎月分配型)は、為替取引を複数の通貨で行っているのに対し、第2位、第3位の投資信託は1つの通貨だけで為替取引(通貨選択)を行っていることです。
第2位、同3位の投資信託は、販売会社が異なる以外は、ほぼ双子のような商品と言っても過言ではないはずです。
騰落率のトップ3は、株価指数、通貨の上昇率を考慮すれば致し方ない面がある気がします。第4位にやっと毎月分配型ではないタイプの「ロシア株式ファンド」が入ってくるのですが、毎月分配型の投資信託に逆風が吹いている中では皮肉な結果となってしましました。
いずれにしても、1年前は資源国には原油安という向かい風が強烈に吹いていたわけで、誰もがブラジルやロシア株の大幅な上昇を予測している専門家は皆無のはず。いかに上昇する国(株や通貨を含む)を充てるのかが難しいのかを如実に表した騰落率となったような気がしてなりません。