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内閣府はスマホゲームの問題をどう見ているか?

内閣府の消費者委員会は、9月20日、スマートフォン向けゲームアプリに対する意見を出しました。内閣府は、スマートフォンの問題について、どのように考えているのでしょうか? その内容をまとめてみました。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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内閣府消費者委員会によるスマートフォン向けゲームへの意見

スマホでゲームを遊ぶユーザーの図

スマートフォンのゲームの問題に対して、消費者委員会から意見が出されています

内閣府の消費者委員会は、9月20日、スマートフォン向けゲームアプリに対する意見を出しました。内閣府の消費者委員会というのは、内閣府に設置された独立の第三者機関として内閣総理大臣が任命し、調査や審議などを行い、消費者庁や関係省庁に意見を出すという組織です。

簡単に言うと、消費者問題について調べて、関係がありそうな省庁に「ここがマズイから直すようにしてください」という意見を出すと、今度はそこから企業に是正勧告なんかがされる、という仕組みです。

その消費者委員会がスマートフォン向けゲームに関して、意見をまとめています。内閣府と言えば、日本の行政を司る機関であるわけで、そこがスマートフォンのゲームに対してどのような意見を言ったのかということに興味がある人も多いんじゃないかと思います。その意見のポイントについて、まとめてみました。実際の資料は以下のリンク先にありますので、気になる方はそちらもご覧ください。

【関連サイト】
スマホゲームに関する消費者問題についての意見(内閣府公式サイト PDF資料)

消費者が安心して利用できる適正な環境

グランブルーファンタジーの図

ガチャの確率に関しては、グランブルーファンタジーが昨年末から大きな問題となり、是正に向けた取り組みも見られています。

第一に挙げられているのは消費者が安心して利用できる適正な環境についてです。注視するべきポイントは大きく2つ。1つは、ユーザーが、自分で、合理的に考えてお金を払える情報提供がなされているか。具体的には、どのくらいお金をかけたらアイテムが手に入るかという情報がユーザーに分かること。事実上ほとんど手に入らないぐらいの低確率に設定しながら、ユーザーにそれを気づかせないようにすること。あるいは、メーカーが勝手に確率をいじったりしないことなどが挙げられています。

こういったことが注視するべき点として挙げられているということは、安心して利用できる環境にないかもしれない、という認識があるということでしょう。

ポイントの2つ目はガチャと賭博罪の関係。ガチャが賭博罪に問われる可能性があるかということを考えた場合に、問題になるポイントは、ガチャで手に入ったものが「財産上の利益」に当たるかということと、財産上の利益に当たるとしても「一時の娯楽に供する物」で済む程度であるか、ということです。

ガチャでユーザーが手に入れたものを現金に換える仕組みを事業者が提供したり、ユーザーがお金を目的としてガチャを利用する実態があると、賭博罪に問われる可能性が高くなるといいます。

オンラインゲームなどのアイテムの売買を媒介する「リアルマネートレード」の業者という存在がありますが、こういった業者がリアルマネートレードを勧め、ユーザーがそれを利用することによって、ゲームの運営に大きなダメージを与えかねないということが良く分かるかと思います。

ガチャの射幸性

ガチャを利用するユーザーの図

現状では規制の対象になりませんが、過剰に煽りすぎることは気をつける必要がありそうです

消費者委員会の意見としては、ガチャは射幸性の高いものとして、射幸性の高い営業に関しては風営法との関連についてどう考えるかという点で述べられていました。結論を言えば、現時点では悪影響が顕著ではないことと、風営法が実店舗のみを取り締まる法律であることから、スマートフォンのゲームに関しては規制の対象にならないとしています。

一方で、ゲームに課金するために恐喝や窃盗、家族のクレジットカードを無断で利用してしまうといったような悪影響が拡大していかないか注意する必要があるとしています。

つまり、過剰に射幸性を煽ることでユーザーがガチャに夢中になり、それが理由で犯罪を起こす人が増えるのであれば、考えなければいけないね、ということでしょう。

未成年者における高額課金

スマホでゲームを遊ぶユーザーの図

年齢が低くなるほど、スマートフォンのゲームで遊ぶ時間が長くなっていく傾向にある、というデータもあるようです。

最後に、未成年者の高額課金についても、意見が述べられています。前提として、「PIO-NET」という、消費生活に関する相談データベースによる資料で、オンラインゲームで寄せられた相談のうち、未成年が契約当事者である相談は、2015年度で36.2%であるという数字が示されています。

実は、2013年度をピークに緩やかに下がってきているんですが、PIO-NET全体における未成年者の相談割合は3%前後であり、オンラインゲームは非常に高い数値を示しています。

その相談における未成年者の平均購入金額は32.5万円で、成年者の平均購入金額の33万円と同等だということで、相談における未成年者の割合も高く金額も高額であることが伺えます。

今後注目すべき点としては、高額課金の相談件数の増減、たくさんお金を使ってしまう理由、そして、両親のクレジットカードを勝手に使ってしまうといった背景について調査し、保護しなければいけないとする意見を出しています。

家庭や学校、社会全体で理解を進める

お金を使ってしまったユーザーの図

自分でコントロールできなくなって、大金を使ってしまったなんてことが無いように(イラスト 橋本モチチ)

ここまでのお話をまとめますと、ガチャの確率は分かりやすく、ズルはダメ、リアルマネートレードも危ない。射幸性を煽りすぎて課金のために犯罪に走る人が出ないように。そして未成年者のトラブルが増えないか見守って、高額課金になってしまう理由や背景について調べていきましょう、ということですね。

消費者委員会では、この意見書の冒頭で、ゲームを配信するメーカーに対する消費者保護の取り組みをさらに進めていくことを期待するとしつつ、こういった新しいサービスが社会の中で定着していく中で、メーカーだけでなく、家庭や学校を含む社会全体で理解を促進することが重要であるとしています。

ガイドは内閣府の資料にこういったことが書かれていることに大変驚きました。ゲーム業界からすれば、社会全体で新しいサービスを受け入れていくためにみんなで理解していくようにしようなんて言ってもらうことは、本当にありがたいことではないでしょうか。

というわけで、もちろん業界がさらなる努力を続けなければいけないことは間違いないのですが、ぜひ、遊ぶ側のみなさんにも、スマホゲームでどんな問題が起こっていて、どんなことに気をつけるべきなのか知っていただきたく、今回記事にした次第です。

書いてあることは決して新しい情報ではなく、これまでの問題の延長線上の話ばかりではありますが、ぜひ、もう一度確認していただいて、トラブルに巻き込まれることなく、楽しく遊んでいただければと思います。

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【関連サイト】
田下広夢の記事にはできない。(ゲーム業界ニュースガイド個人運営サイト)

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