近年は異常なほど雨の降るケースが増え、大都市部でも1時間に100ミリ以上の雨が降ったとか、「150年に1回の洪水」とされる想定水位を超えたとか、予想外の大雨による被害が毎年のように発生しています。

日本各地で起きた大規模な土砂災害や洪水なども、まだ記憶に新しいでしょう。

集中豪雨の回数や雨量の増加には、異常気象だけでなく「温暖化や都市地域におけるヒートアイランド現象の影響も大きい」とのことですが、そうだとすればこれから先は、年を重ねるごとに被害規模も大きくなっていくのでしょうか。

住宅を選ぶときには、どうしても「建物性能」のほうに重点がおかれがちです。

しかし、地震や水害などによる被害を受けにくい地盤、立地、敷地形状、あるいは周辺の河川の状態や防災施設の整備状況、下水道の処理能力などといった観点による「宅地性能」にも十分な配慮をしなければなりません。

水害に弱いのはいうまでもなく低地ですが、郊外にかぎらず東京など大都市の中心部でもかなり起伏の激しい地形のところが意外と多いものです。

ところが、ビルや住宅が立ち並んでいると、その自然地形をよく見ようとしない、あるいは地形の変化に気付かないお客様も多いように感じられます。

地形を気にするお客様でも、「自分が歩くときに坂がきつくないか」という視点だけで、自然災害の可能性についてはあまり深く考えていない様子のことも少なくありません。

それぞれの地域における自然災害のリスクなどをまとめたものが「ハザードマップ(災害予測地図)」です。全国の市町村で「洪水ハザードマップ」などの作成が進められ、印刷物として配布するだけでなく、インターネット上に公開するケースも増えてきました。

2016年9月末現在、たとえば「洪水ハザードマップ」は1,310市町村(東京23区を含む)で作成され、そのうち1,228市町村がインターネット上で公開しています。

市町村によってはまだ整備が終わっていないところもありますが、住宅を選ぶときにはハザードマップを活用し、「その住宅の敷地」にどのような自然災害リスクがあるのかを知っておくようにしましょう。

それぞれの市町村のホームページで確認するか、もしくは役所の窓口で閲覧したり印刷物をもらったりすることになりますが、国土交通省がまとめている「ハザードマップポータルサイト」が便利です。

2007年4月に運用が始まった当初は、ハザードマップを公開する市町村のページへのリンク集といったイメージでしたが、さまざまな改良がされ、機能も充実してきています。

ハザードマップとしては「洪水、内水(下水道溢れなど)、高潮、津波、土砂災害、火山」の6種類について確認できるほか、震度被害(揺れやすさ)マップ、地盤被害(液状化)マップ、土地条件図、治水地形分類図なども備えられています。

さらに、過去から現在までの空中写真、明治前期の低湿地、都市圏活断層図などもあり、これらの情報を重ねて表示する機能も加えられました。「重ねるハザードマップ」のページでは、隣接する市町村の情報をシームレスに表示することもできます。

大規模盛土造成地の情報は、まだ掲載地域が一部に限られているものの、これから次第に拡大していくでしょう。

ハザードマップで示されたとおりの自然災害が起きるというわけではなく、予測を超える被害が生じることもあります。しかし、それぞれの土地におけるリスクを知ったうえで、いざというときは早めに対処することが重要です。

ハザードマップはまだ整備の途中といえる部分もありますが、せっかくまとめられた情報も、当事者である住民に活用されなければ意味がありません。日常生活の中で常に新しい情報を得ることも大切ですが、住宅選びのときが理解を深める良いタイミングになりそうです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年5月公開の「不動産百考 vol.11」をもとに再構成したものです)


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