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ポケモンGOの社会問題は、あなたなら解決できる

2016年9月18日、お台場に数百人のポケモンGOのプレイヤーとみられる人々が集まり、車道にはみ出すどころか、完全に1車線を埋める形で行列を作ったり、交差点内に立ち止まったり、停車中の車の横をすり抜けて道路を横断するなど、大変に危険な行為が行われ、付近の住民などの通報を受けて警察が出動する騒ぎがありました。ポケモンGOによる社会問題について、考えてみます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ラプラスで警察出動の大騒ぎとなったお台場

道を塞ぐ人の図

歩道のない道路で、完全に車道を塞ぐ人の列で、大変なことになっていました

以前、ゲーム業界ニュースでは、「ポケモンGO」に関する注意喚起を行いました。Nianticがモバイル端末向けに配信しているゲームアプリ、ポケモンGOは、全世界1億ダウンロードを突破しているといわれ、その人気ぶりは過去に類をみないものとなっていますが、あまりにすさまじい人気と、現実世界とリンクするゲーム内容から、多くのトラブルも起きています。

2016年9月18日、お台場に数百人のポケモンGOのプレイヤーとみられる人々が集まりました。車道にはみ出すどころか、完全に1車線を埋める形で行列を作ったり、交差点内に立ち止まったり、停車中の車の横をすり抜けて道路を横断するなど、大変に危険な行為がいたるところで発生。付近の住民などの通報を受けて警察が出動する騒ぎとなりました。

ニュース番組などで報道されたその様子を撮影した映像は、誰が見ても明らかに異常な光景で、まるで道路交通法など存在しないかのように傍若無人に道路を占拠するプレイヤー達の様子が見られました。
 

チートツールによるポケモン出現場所の特定

ポケモンGOの図

本来、近くにいるということは分かっても、正確な位置や出現時間などを知ることはできません

騒ぎの元となったのは、ラプラスというレアなポケモンの存在です。ラプラスは捕まえるのが難しく、また、ポケモンGOではジムバトルと言ってポケモン同士を対戦させることができますが、その際、非常に強力なポケモンであるカイリューに対し有利な技を覚えやすいということで人気があります。

報道では、インターネットなどでお台場にラプラスが出現するという情報が出たということが言われていましたが、もう1つ大きな原因に、チートツールの存在があります。チートとは、日本語訳すると「ずる」で、ゲームにおいてはゲーム制作者の意図しないようにゲームを改造して楽に攻略できるようにすることを指します。

ポケモンGOでは、本来ポケモンが出現する場所とタイミング、そしてその種類を正確に把握することはできませんが、ポケモンGOを運営するサーバーに不正にアクセスしたツールを使って、正確なポケモンの位置を把握し、レアなポケモンを捕まえようとしている人がいます。こういった不正なツールは、サーバーに負荷をかけ、開発リソースをその対応に割かせ、ポケモンGOの運営にダメージを与えます。

そして、配信元が想定するゲーム環境を失わせ、今回のような異常事態を引き起こす原因にもなり得ます。実際、今回の場合もあるタイミングで一斉に同じ場所に人を移動させる要因として、チートツールは無関係とは言えないでしょう。

ここで強く言っておきたいのは、もしかするとこれを読んでいる人の中にも、不正であるとは気がつかず、チートツールを使っている人がいるかもしれない、ということです。もしあなたが、ポケモンのいる場所を正確に知りたいために、Niantic公式でないサービスを利用しているとしたら、それはチートツールであり、利用規約違反をしている可能性が非常に高いという認識をしておくべきでしょう。

それは、あなた自身はそんなつもりはなかったとしても、ポケモンGOの運営を阻害し、他のユーザーのゲーム体験を損なわせ、大変に迷惑がかかる行為です。そして、チートツールの使用がNianticから確認された場合には、利用規約違反を理由にアカウントを永久に停止させられる可能性もありますし、実際にアカウントを停止させられた人もいるということを覚えておいてください。

【関連サイト】
Pokemon GOトレーナーガイドライン(ポケモンGO公式サイト)
 

珍しいポケモンがいたからといって、交通ルールを破っていいわけはない

ポケモンGOを遊ぶユーザーの図

ポケモンを探しているなんていうことは、なんの理由にもなりません

本当に当たり前のことで、わざわざ文章にするまでもありませんが、交通ルールを破ってはいけません。レアなポケモンがいようが、周りの人がみんな守ってなかろうが、そんなことは一切関係がありません。社会のルールを破ってまで捕まえる価値のあるポケモンなんて一匹たりとも存在しません。

これは個人的な意見ではありますが、もしガイドの家族が、お台場で騒ぎになった人達のように、ポケモンを捕まえるために交通ルールを完全に無視して車が走る道路を占領したり、車と車の間をすり抜けて無理に道路を渡るような、目に余るルール違反をするようであれば、即刻ポケモンGOをやめさせると思います。

ポケモンGOに夢中になりすぎて社会のルールを無視し、その結果事故が起きたらどうするのでしょうか。これは本人だけの問題ではありません、事故が起きた場合には周りの人間の人生を巻き込んで取り返しのつかないことになりかねないのです。
 

ポケモンGOを遊べる場所は減っていく

ポケモンGOを遊ぶ人の図

迷惑行為を繰り返す人がいれば、遊べる場所はどんどん少なくなっていきます

利用規約を破り、不正ツールを使ってはいけませんが、理解しないまま使っている人もいるかもしれませんし、分かっていながら意図的に使っている人もいるでしょう。交通ルールを守らなければいけないのは当たり前のことですが、今回の騒動を見ても破る人達がいることは明らかです。

そして、現実問題として、ポケモンGOを運営するNianticは、こういった人達への対応が要求されます。ルールを破る人が悪いというのが正論だったとしても、やっぱりお台場の騒ぎをニュースで見た人は、ポケモンGOを問題視するでしょう。交通ルールを無視して周りに大きな迷惑をかける集団がいて、その人たちが同じゲームを遊んでいるとすれば、そのゲーム自体を問題と思うことは、自然な流れです。

そして、現実に起きている問題を解決するために、ポケモンGOそのものが禁止されるという例も少なくありません。上野恩賜公園内にある不忍池では、やはりレアなポケモンのミニリューやハクリューが出るということで、多くのプレイヤーが集まっていましたが、慰霊碑といった神聖な場所での座り込みや、ごみの不法投棄、電気の無断盗用など、迷惑行為が絶えず、警備員の配置や拡声器による呼びかけにも拘わらずマナーは改善されず、やむなくポケモンGOのプレイは全面禁止となりました。
 

Nianticには困難な課題だが、1人1人のユーザーには簡単に解決できる

ポケモンGOの図

ゲームを楽しみたいのであれば、ルールを守って遊ぶべきです(イラスト 橋本モチチ)

ポケモンGOが全世界1億以上のダウンロードがあり、そのうち各地で問題を起こしているユーザーが何百人、あるいは何千人、何万人いたとしても、それは1%にも満たない一部の話ではありますが、しかし、その一部のユーザーの行為が、ルールを守って遊んでいるユーザーから楽しみを奪っています。

現状は、あまりに多くの熱狂的なファンを世界中に作ってしまったことが、Nianticの首を絞め、ゲームの社会的影響をコントロールできていない状態にあります。この状態が長く続き、さらに問題が増えていけば、ゲームへの批判は高まり、遊べる場所は減り、ポケモンGOの魅力が削がれていくでしょう。そういった事態を防ぐために、Nianticはゲームに対する大きな見直しをする必要があるかもしれません。

そして最後に、以前も同じことをお伝えしましたが、ポケモンGOを遊んでいる方々にお願いがあります。もし、ポケモンGOが楽しいと思うのであれば、社会のルールを守ってプレイすることをオススメします。ミニリューでも、ラプラスでも、それを捕まえる為に社会のルールやマナーを無視していいなんて道理はありません。

おそらくまだ、ポケモンGOはタマゴのような状態です。これから長く運営されていけば、たくさんの要素が追加されて、色んなポケモンが出てきて、もっともっと楽しくなっていくことでしょう。しかし、それを邪魔している存在がいます。それは皮肉なことに、熱狂的なポケモンGOのファンなのです。

こんなに悲しいことはありません。Nianticは、ポケモンGOというゲームをさらに魅力的にしていく作業よりも優先されるべき仕事として、問題に取り組まなければいけません。それはもしかしたら、本当に困難な作業かもしれません。

しかし、1人1人のユーザーがこの問題を解決する方法は極めて簡単です。ルールを守って遊べばいいのですから。

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