「嗣」「継」の漢字は跡継ぎ向き? 名前をつけるとき悪い意味はある?
継、嗣、次に悪い意味は無い
A: 漢字自体にもともと悪い意味はありません。昔は家の跡継ぎという意味をこめて名前に使われた時代もありましたが、家制度のない今ではあまり名前に使われず、もし使えば非古風な名前には見えるでしょう。
「つぐ」と読む字は3つある
昔から名前に使われてきた字の中で「つぐ」と読む字には、継、嗣、次などの字があります。ちなみに「二」の字も「つぐ」と読みますが、実際にはほとんど「ジ」という読み方で名前に使われてきました。二や次はどなたもご存じのように次男だからという理由で使われることが多く、継や嗣は親の後をつぐという意味あいで使われてきた字です。いずれにしても家制度というものを強く意識して使われてきたわけですが、今ではこれらの字が名前に使われることは少なくなりました。
字の成り立ちから言えば、嗣は大人と子供の絵を含んでいて、大人から子供へ受け渡しされることを表します。継はたくさんの糸を描いていますので、もとは糸を繋ぐことを意味した字でしょう。
次の字は口を開けた人と二の字を合わせ、二回ものを言うことで、「二番手」「余る」の意味をもつ字ですが、「余分にある」という意味もあります。貝をつけた資の字は余分にあるお金のことですし、女と合わせた姿という字は、いろいろ着飾った女性のすがたのことと思われます。
以上のように「つぐ」と読む字はどれも悪い意味は持たず、字そのものを良い、悪いと分類はできません。ただ継は「継続」という熟語でよく使われる字ですが、嗣の字のほうは日常ほとんど使われませんので一般の人にはなじみが無く、電話などで説明をしてもわかりにくいという不便さはあるでしょう。
「嗣・継・次」など、名付けに関して家意識はほとんど廃れている
昔の日本の社会は永らく家制度というものを中心に考えられてきましたので、誰が長男か、次男か、ということを世間にわかるようにしていました。ですから継、嗣、次、二などの字も歴史上はかなり使われてきた字です。ただ最近では家意識というのはかなり薄れてきていて、名前で家の中の立場を表すということは無くなってきていますし、そもそも「つぎ」とか「つぐ」という音の入るよび名も稀にしかつけられません。ただし、今でも「次男に一とか太の字を使ってはおかしいですか?」というご質問はよくあります。名づけの際にそのように口を出す人がまだまだ居るようなのです。しかし今では次男にも一や太の字を使うことはごく普通に行われていて、違和感を感じる人もいません。兄弟ともに太の字でそろえる、という方もいるくらいです。
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