お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

51歳貯金1億3000万円。早期リタイア生活は怖いです(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、50代で完全リタイアを検討している会社員男性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 妻の資産や年金を考慮しなくても問題なし

50代前半での完全リタイアとのことですので、実際に行うのを2年後としてみます。理由は勤務先や仕事そのものの継続が困難だから、という理由でのリタイアではないので、2年間の準備期間があってもいいと考えました。

ご相談者の場合、今の生活ペースでわずか2年で貯蓄が3000万円も上積みされます。まさに驚異的な貯蓄ペースですが、さらにこれで老後への安心感が増すことになります。それを踏まえて、先に結論から申し上げますと、資金的に問題は見当たりません。予定どおりリタイアを実践してください。

試算による根拠ですが、公的年金支給の65歳までは、コストは全額、貯蓄からの捻出になります。生活費が現在と同じとすれば、月32万3000円(奥様の小遣い等は除く)。また、2年後はちょうどご実家への月10万円の支援が始まりますので、計42万3000円。53歳から65歳になるまで12年間ありますから、トータルの支出費は約6090万円となります。

また、この間、クルマの買い替えが2回発生し、ゴルフと旅行で1730万円ほど。さらにお墓の整理と仮にこの間、お母様が亡くなられると、その他の支出として900万円。トータルで約8700万円、支出することになるわけです。

では手持ちの金融資産はどうかと言えば、今後2年間で貯蓄が3000万円増えますから、約1億5700万円。先のコストかを差し引くと、ご主人が65歳の時点で7000万円余ることになります。

65歳以降については、クルマは何歳まで乗られるかによりますが、75歳までとして買い替えはその間2回。旅行とゴルフはずっと続けるとします。
90歳まで生きたとして、毎月の生活費にそれらコストを加算すると、月27万円ほど。仮に、奥様の年金と資産を考慮しないとすると、赤字額(生活費と年金の差額)は月17万円。25年間で5100万円となりますから、まだ2000万円近くが余る計算になるわけです。
 

アドバイス2 リタイア後は余計なモノは持たない

先の試算で貸しているマンションの家賃収入を加えませんでした。ご相談者のプランだと5年以内に売却とのことですが、それがいいと思います。しかも、賃貸契約の内容にもよりますが、できるだけ早く手放す方がいいでしょう。

完全リタイア、つまり年金以外収入がない場合、上手に資金を回すポイントは「余計なモノは持たない」ということ。マンションは年間180万円も家賃収入を上げているのですから、その意味で余計ではありませんが、ご相談者が言われるように、その期間が長く続く可能性はかなり低いでしょう。また、マンション自体、大規模修繕等で別途資金が必要な事態も想定できますし、老朽化で家賃収入が望めない(借り手がいない、コストを差し引くと赤字など)ケースもあり得るからです。

マンションは所有している以上ランニングコストが発生します。誰かに相続することがないなら、それは結果的に「余計なコスト」を抱えていることになるのです。資金的に十分余裕がありますから、慌てて売却してなくても大きな影響はありませんが、より効率的に考えるなら、早めの売却を検討してみてください。
 

アドバイス3 不安に思ったらリバースモーゲージを活用

もうひとつ、「資産を食いつぶす生活はやはり怖い」とのこと。老後、とくに早期リタイアによって無収入期間が長い人にとっては、計算上は十分足りるのに、毎年数百万単位で資産が減るのですから、それによる不安は大なり小なりあるはずです。しかし、これこそリタイア生活者が克服すべきポイントです。

アルバイトやパートなど、週に2~3日でも働いて収入を得るというのもひとつの方法。または、考え方を切り替える。つまりは、資産の結果を見て、大丈夫だと思うしかありません。せっかくの老後です。不安にばかり思っては時間がもったいないですよ。

また、万が一足りなくなりそうになったら、ご相談者も検討されているリバースモーゲージが効果的です。自宅を担保にして資金を借りるのですが、生前中の返済義務はありません。言い変えれば、自宅売却しても生きている間は住み続けられるという、新しい不動産活用ローンです。都内で一戸建て、土地の評価額だけで6500万円あれば、まさにうってつけの物件です。

資産が今の3分の1程度に減ってくると、少し不安になることもあるでしょう。また、まとまったリフォーム費用が発生する可能性もあります。そういったときに、ご自宅が助けとなるはずです。

また資産運用ですが、リタイア後は利益が確定できるものから、投資商品を徐々に現金化していくことをススメます。現金だけで十分老後資金がカバーできるのですから、あえて投資リスクを取る必要はありません。投資の割合は多くても金融資産全体の20~25%程度でいいでしょう。

また、貯蓄については、なるべく金利の有利な商品に預け替えをしてください。超低金利の今でも、1億円程度あれば金利の有利な定期預金に入れるだけで(5年、10年といった長期の定期預金は避けてください)、1年間のゴルフ代くらいは利息でまかなえるはずです。
 

相談者「心配性」さんから寄せられた感想

有難うございます。やはり自分の情報に基づいたアドバイスは当然のことながら的確で役に立ちます。とくに、妻の年金、退職金、マンションの売却益、リバースモーゲージで得られるお金を考慮せずに、アドバイスいただいていますのでよりリスクの無い形のでアドバイスがいただけて助かります。この10年いろいろ妻には我慢をしてもらってきましたので、このアドバイスを二人で吟味して、具体的な計画をたてたいと思います。深野先生、オールアバウトの皆さま、有難うございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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