事情により40代でリタイア。資金は足りるでしょうか?

100歳まで貯金がもつか心配に

100歳まで貯金がもつか心配に

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、40代にしてセミリタイアを実行したご夫婦です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
大石さん(仮名)
男性/自営業/47歳
北海道/持ち家・マンション

■家族構成
妻(専業主婦/42歳)、文鳥

■相談内容
自営業で1億2000万円貯めることができました。妻も専業主婦で国民年金。体調不良により(通院、日常生活への支障は今のところありません)、働き続けることができず、リタイアとなりましたが、将来が不安で仕方ありません。私の父は73歳で他界。長生きの家系ではありませんが、妻の祖父は102歳で天寿を全うしました。妻の長生きリスクに備える運用等、アドバイスいただけると幸いです。

■家計収支データ
「大石さん」の家計収支データ

「大石さん」の家計収支データ


■家計収支データ補足
(1)年金受給額
夫/9万円、妻/6万円
(ただし公的年金の受け取りは70歳になるのではないかと心配している)

(2)老後生活につて
車両費のかからない&生活コストの安い地方都市に移住を考えている。
その場合、現在のマンションを売却し、今後支払い管理費40年分を加えた額を目安に一戸建て購入したいとのこと。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 妻が100歳まで生きても1000万円残
アドバイス2 収入のない生活への不安をいかに克服するか
アドバイス3 利息だけで、1カ月の生活をカバーできる

アドバイス1 妻が100歳まで生きても1000万円残る

結論から言いましょう。今後よほど大きな支出がない、あるいは毎月の支出が数倍に急増して継続しない限り、老後資金についてはさほど心配する必要はないと考えます。理由は簡単です。現在、貯蓄が1億2000万円あるからです。

公的年金の支給開始は、自分たち世代は70歳からではないかと心配されていますので、仮にそうなったとして試算してみましょう。

まず、生活費ですが、今後、今の生活費が変わらないとします。しかし、社会保険料は今後変わってきます。健康保険料が高いのは、前年(リタイア前)に所得が高かったため。来年以降、公的年金を受け取るまでは無収入とすれば、健康保険料(+介護保険料)は8000円程度のばす。したがって、生活費は25万円ほど。また、国民年金保険料を夫婦とも60歳まで支払うとすれば、それ以降の生活費は22万円ほどに下がります。

それで、ご主人70歳までの生活費を計算すると、ざっと8400万円。ご主人が70歳からは老齢年金が月9万円、75歳からはさらに奥さんの老齢年金が月6万円収入として加算されます。

これでご主人が85歳まで生きるとすれば、その間、年金収入での不足分は1600万円ほど。このとき奥様が80歳ですから、100歳までは20年間。奥様の年金収入は遺族厚生年金が若干ですがプラスされるのと、生活費が大きく減ることを考慮すると、月の不足分は3万~4万円程度ではないでしょうか。となると、20年間で960万円。つまり、8400万円+1600万円+960万円=1億960万円となり、奥様は100歳にしてまだ1000万円余る計算になります。長生きリスクには対処できる、と考えていいでしょう。

アドバイス2 収入のない生活への不安をいかに克服するか

先の試算は、それでも老後の支出を多めに見積もっています。実際、生活費は高齢になるほど減少(車両費などがなくなる、など)しますし、老齢年金の70歳支給開始もあくまで可能性であり、65歳支給とすれば、さらに約900万円資金に余裕が生まれます。

では今後に不安かないかと言えば、2点ほどあります。
まず、今後ずっと貯蓄を取り崩す生活が続くということ。とくに、老齢年金支給開始までの間は、ただただ毎年250万~300万円と貯蓄が減っていきます。この状態は、理屈では足りるとわかっていても、不安になるもの。結果、たとえば新たに家電を購入したり、旅行に行ったりという、不定期の比較的大きな支出ができなくなってしまう可能性もあります。

これはリタイア生活共通のポイントですが、この不安をいかに克服し、計画的に支出していけるか。これが大きな課題となるのです。

アドバイス3 利息だけで、1カ月の生活をカバーできる

では、どうすればそれが克服できるか。

それは次の不安、社会との関係性と関連しています。そもそもリタイアを決断した理由が健康面とのこと。その詳細はわかりませんが、精神的なものであれば、今後あまり社会と関わらない生活になってしまうといったリスクが考えられるからです。体調が芳しくなく、自宅から出ない日が増える。そういった孤立状態は、うつ病や認知症を誘発するとも言われています。

もちろん、これは悪循環に陥った場合の、いわばレアケースかもしれません。ただ、そうならないための予防は、しておいて無駄ではないと思います。その予防法のひとつが、働くということ。

老後資金には実際困っていないのですから、収入よりも体調にあった働き方が望ましいでしょう。週に2、3日でも構いません。何であれ働いてお金を得るということは、社会と関係を持つということです。それはリタイア後の孤立を防ぐはずです。

また、働くことで、先の手元資金が減るという不安をいくらか抑える効果も期待できます。

それと、資産管理についてひとつ。毎月減っていくとは言え、普通預金に1億円を預けるのはかなりもったいない。超低金利の今でも0.2~0.3%程度の定期預金を出している金融機関があります。そこに預ければ、税引後で年間16~24万ほどの利息を手にできます。つまり、1年預けていれば、確実にリタイア後の1カ月の生活費のほとんどを利息だけでカバーできるということ。ぜひ検討してみてください。

相談者「大石さん」から寄せられた感想

心配は必要ないとのこと、本当に安心いたしました。メンタル面にまでアドバイスいただけるとは思っていませんでしたので、ありがたかったです。いろいろエクセルで試算したり、WEBや本を読んだりしましたが、不安は払拭できませんでしたがこうして深野先生に個別にアドバイスしていだだけたことで、かなり気持ちが楽になりました。運用も定期預金をとのこと、慣れない投資に手を出さなくて済みそうです。今回の一番の収穫は、くよくよ悩むということは自分で解決できないということなのでさっさと専門家に相談する、ということかもしれません。深野先生、オールアバウトの担当の方、ありがとうございました。


教えてくれたのは…… 

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深野 康彦さん

業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ


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