少し古い話題になりますが、2006年の後半あたりに浴室乾燥暖房機の事故(接続工事の不備による焼損事故)、ガス湯沸かし器の事故、さらにトイレの暖房便座の焼損事故など、住宅設備機器に関連する事故の報道が相次ぎました。
その当時には「欠陥ではない」「不正改造だ」「施工業者の問題」「保守会社の責任」など、製造会社の責任を回避しようとする発言も多く報じられています。
しかし、製造会社側の当事者が最初に事故を把握してから数年~十数年もの間にわたり、有効な対策が講じられなかったというケースも少なくなかったようですから、適切に情報が開示されていれば防ぐことのできた事故もあるでしょう。
その後、2010年4月1日に消費者庁が「事故情報データバンクシステム」の運用をスタートしているものの、数年を経た現在も十分に認知されているとはいえません。ニュースなどで報道されないかぎり、一般の人は他所で進行している事態をなかなか認識できないものです。
何か問題があれば、もっと積極的に、かつすみやかに情報を広めてもらいたいのですが……。
ところで、中古住宅の売却物件では、とっくに耐用年数を過ぎたような古い住宅設備機器がそのまま使われているケースも少なくありません。
モノを大切にして長く使うこともたいへん重要なのですが、ガスや電気を使う機器で劣化による危険性を伴うものについては、早めに交換することも考えるべきです。
また、新しい機器に取り替えることで安全面の機能向上だけでなく、節電や節水など省エネにつながることもあります。機器交換の費用はかかりますが、その後のランニングコストが大きく下がる場合もあるでしょう。
古くなった機器を大切に使うあまり、家を焼いてしまったのでは元も子もありません。とくに築年数を経た中古住宅を購入するときには、設備機器の状態を入念にチェックするとともに、「まだ使える」と考えずに交換を前提として割り切ることも必要です。
設備交換のための費用を見込んだ資金計画を立てることが欠かせません。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2007年6月公開の「不動産百考 vol.12」をもとに再構成したものです)
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