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法律は誰のためのもの?役人も無視する法律の怪

不動産の取引や日常生活にはさまざまな法律が絡むものの、その条文がかなり解りづらく書かれているケースも少なくありません。ときには役人すら法律を守らないこともあるようですが、しっかりと理解するように努めることも大切です。

執筆者:平野 雅之


前回は ≪住宅選びにおける「消費者責任」≫ で、不測の事態が起きたときの責任問題について考えてみました。これは「法律の解釈を間違えた」という場合でも同じことです。

その法律については ≪役所による税金や法律の解説は難解!!≫ でも取り上げましたが、今回は少し違う視点から法律の問題点を考えてみることにしましょう。

もう何年も前のことになりますが、財務省(関東財務局)による文化財保護法違反が報道されていました。法で義務付けられている東京都への事前通知を怠って、江戸時代の遺跡がある土地を無断で掘削していたというものです。

さらに、福島県内のブナ原生林などを含む保安林で、5年もの期間にわたり林野庁が違法な伐採(森林法違反)をしていたという事件もかつてありました。

省庁に勤める人たちでも、他の省庁が管轄する法律の規定などはあまり気にしていないのでしょうか? それとも自分たちは法律を守る必要などないと考えているのでしょうか?

ある年の衆院選のとき、ある立候補者の決起大会で、ある自治体の町長が「選挙違反はほとんどの人がやっている。捕まるのは運が悪い」という発言をしていたらしいのですが、違反をして当選した人ばかりが集まって法律を作っているのだとしたら暗澹たる気持ちになります。

違反をしていない政治家のほうが多いことを願わずにはいられません。

それはさておき、法律の条文は難解なものが多すぎです。国民に守らせるための法律であるのなら、法律家ではなく、一般の人がよく理解できるような書きかたをするべきでしょう。

不動産取引にあたっては、売買契約締結前に宅地建物取引士から重要事項の説明がされます。そこで買主の守るべき(物件に該当する)法律などがひととおり説明されるわけですが、それをすべて買主が理解することは至難の業というべきかもしれません。

一度の説明で理解できない部分があって当然ですから、遠慮することなく何度でも、納得できるまで宅地建物取引士に聞くようにしてください。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年6月公開の「不動産百考 vol.12」をもとに再構成したものです)


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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