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いま公社債投信がおもしろい!

運用がむずかしい環境が続いていますが、これまでローリターンで注目されなかった公社債投信が、実は素晴らしい成績を残しています。なぜ価格上昇するのか、そしてその賞味期限はいつまで?好成績のメカニズムと今後の展望をご案内します。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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抜群のリターンを上げる国内債券

株式市場はこの一年間、低迷を続けています。日経平均は、年間19%のマイナス。比較的好調な米国ですら、ダウ平均株価は、年間14%の下落です(いずれも2016年7月末時点での円貨にての比較)。

ハイリターンを狙える株式が低迷なら、外国債券で稼ごうと思われるでしょうが、外国債券は最近の円高で、成績はやはり芳しくありません。そこで、注目したいのが、国内債券です。

超低金利の国内債券でリターンが狙えるのか?確かに意外な現象です。私も、これまで国内債券はノーリターンだったので、まったく無視してきました。しかし、ある政策をきっかけに、国内債券投信は現状では抜群のリターンを上げているのです。さて、その政策とは?

マイナス金利政策で市場はゆがんでいる

ある政策とは、日銀のマイナス金利政策です。2016年2月以降に新規に発行された国債の金利はマイナスです。たとえば、10年物国債を100円で買いました。10年後には99円が戻ってきます。この利回りは、マイナス0.1%です。これではお金を増やそうと考えている個人にとっては、国債に投資する意味がありません。

しかし、個人にとって意味がないのは、国債の新規のものだけ。中古の国債は、正常なプラス金利で発行されていて、その金利が変更されることはありません。ということは、中古の国債(専門的には既発債といいます)を買えば、儲かるのではないでしょうか?

たとえば、過去に1%のプラス利回りで発行されていた既発債であれば、10年後には110円になって戻ってきます。その既発債を発行から2年後の現在に、106円で買えば、8年後には110円が戻ってくるのですから、利回りは0.5%(100 x 0.005 x 8 = 4)。マイナス金利を考えれば、売った人も買った人も得をすることになります。

マイナス金利が適用されている通常の国債は、個人では買えません。このスキームに参加するには、国債が組み入れられている投資信託を購入するしかありません(個人向け国債には最低保証金利が定められているので、そもそもマイナス金利にはならない)。

成績の良い投資信託

なんだか、不思議な話ですが、実際に既発債を組み入れた投資信託は値上がりをしています(いずれも、2016年7月現在)。直近一年間好成績の公社債投信のトータルリターンと国債の組入比率は以下のとおりです。

銘柄名             年間リターン 国債組入比率 基準日
DLIBJ公社債オープン(中期) 6.99%  43.5%   2016年7月29日
三井住友・日本債券インデックスファンド  6.85%  76.8%   2016年7月29日
明治安田日本債券オープン     6.87%  49.7%   2016年8月10日

国内債券で年間6%超のリターンとは、素晴らしいですね。

今後の展開をどう考えるか?

急にマイナス金利政策が始まったことから、おかしな現象が起きていますが、これはいつまで続くのでしょう。

日銀が現在のマイナス金利政策を止めれば(国債金利がプラスに転ずれば)、既発債は値下がりに転じるので、国内債券投信のリターンも下がります。今の現象は終息するでしょう。

もし、インフレが到来したら、国内債券投信の基準価額は暴落するでしょう。その時には、損をします。

しかし、日銀が金利のマイナス幅を拡大すれば(深掘りすれば)、既発債の値上がりは加速して、国内債券投信の基準価額はもっと上がっていくことでしょう。

さて、あなたはどちらの方向にかけるでしょうか?現状は、国内債券バブルの状態にあります。これにどう処するかで、あなたのポートフォリオの成績が変わってきます。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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