子供のおねだり、どうすれば親は賢く対処できる?
「お金がないからダメ」と断っていませんか?
買い物に行くたび、子供に「あれ買って、これ買って」と言われると、その欲求を断るために、「ダメ、うちにはお金がないの」と言ってしまうこと、ありませんか? その言葉は、子供にどう解釈されていくのでしょうか?
この記事では、子供のおね だりの上手な対処法について、子育て心理学を交えてお伝えしていきます。
幼少時のあるある! 家計を心配していた子供時代
子供にお金のことを上手に伝えるコツとは?
Aさん:子供のころ、母によく「お金がないからダメ」と言われていたので、「私が贅沢なおねだりをすると家がつぶれてしまう」とよく心配していた。
Bさん:両親がいつもお金の話をしていたので、「何か欲しいと言ったら、両親を困らせることになる」と子供ながらに気をつかっていた。
このように、幼心に家計を心配する少年少女時代を送った経験はありませんか? とくに、昭和40年代生まれの方は、ご両親が戦中戦後の経済的に苦しい時代を経てきていることもあり、金銭的にも厳しくしつけられた方が多いのではないでしょうか。
そして自分が親となった今、我が子に伝えていく立場になり、お金の話にどう触れていくべきか、余計に迷ってしまうのだと思います。お金には限りがあることは教えたい、だからといって、家計を気にするほど神経質になってほしくない……。確かにそのさじ加減が難しいですよね。
子供にお金がないと言うのを繰り返すことでの子供への心理的な影響
親が繰り返す言動は、子供の心に、概念として刷り込まれていきます。だから、親が「お金がない、お金がない」と何度も言うと、子供はそれを言葉のままに受け取っていきます。ここに周りの子との比較が入ると、「あの子は持っているのに、僕は持っていない、なぜなら、うちにはお金がないからだ」ということに……。これでは、子供がお金による引け目を感じてしまいかねません。そしてその思いのまま大人になると、「お金がないのは心配。だから節約しなくては」という思いから、消費への罪悪感、貯めることへの執着につながることもあるでしょう。または逆に、幼少時の反動で物欲に生きてしまうこともあります。どちらにも共通しているのが、お金への執着です。親がお金のことばかり話すと、子供はそこに執着を起こしかねないのです。
「うちはお金がないから」という言葉は、お金があってもなくても、用いられる傾向があります。というのも、この言葉は、親が子供に金銭感覚を教えるしつけの1つとして使われていることが多いからです。でも、金銭感覚を教えるためなら、もっと気の利いた言い回しを使った方が、子供への教えにつながります。
「〇〇を買って」というおねだりを賢く活用しよう!
「〇〇を買って」という子供のおねだりを拒むことは、悪いことではありません。むしろ、毎回「はいはい」と聞いてあげる方が問題です。成長とともに、我慢することも学ばなければならないからです。心理学で「Delayed Gratification」という言葉がありますが、これは「のちの満足のために、今を我慢する力」。お腹がすいたらすぐに泣く赤ちゃんには、この力はまだ備わっていません。でも、3歳くらいになると、多少の我慢はできるようになってきます。中高生になれば、「痩せたいから、お菓子断ち」のように、さらに我慢が利くようになります。
この我慢力は、年齢とともに身につけていくべきもの。だから、「〇〇を買って」という状況も、その力を育むチャンスと言えるのです。
「じゃあこれは誕生日プレゼントにしようね」
「このお菓子は1カ月に1回だよ」
のように言ってあげると、「のちの満足のために、今を我慢する力」につながります。「1週間に100円」「1カ月500円」などのお小遣い制も、持っているお金の中でのやりくりを学ぶのでおすすめです。
子供のおねだりを「お金がない」の一言で片づけてしまわず、我慢力の育成として捉えた上手な声かけをしていきましょう。やがてその我慢は、その子の自制心へとつながっていきます。
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