デキるリーダーは、「目標」と「行動」を管理する
実績が上がる営業チームとそうでない営業チームは何が違うのか。これまで様々な業種の営業チームを見てきましたが、その違いが生まれる最大の要因は、個々の担当者の能力の違いではなく結局のところチームリーダーの違いにあると確信しています。では、実績が上がる営業チームのリーダーとそうでないリーダーの違いとはなにか。それは「管理手法」に現れると考えます。
たとえば、ダメな営業リーダーは、営業における「管理」の中身が大きく分けて2つあることを知りません。
ひとつが「目標」の管理。そして、もうひとつが「行動」の管理です。
担当者個人の「目標」は通常、年度あるいは半期で設定され、リーダーはその達成に向けた管理を担うことになります。しかしダメな営業リーダーほど、管理とは名ばかりの設定された「目標」に対して月ごとの進捗を追いかけるだけで、「目標管理」をしている気になってしまいます。そこに「行動」の管理がないのです。
以下でデキる営業リーダーの管理手法とは何か、「目標」と「行動」の両面から見ていくことにしましょう。
「目標」は月次に落とし込んで管理する
「目標管理」を年度単位、あるいは半期単位で行うのは、およそ「管理」とは言えません。では、デキるリーダーはどうしているのか。彼らが決まってやっていることは、長期目標を月次に落とし込むこと。つまり月単位で目標の達否を見ており、担当者の実績管理を毎日しっかりと追いかけているのです。長期目標を月次目標に落とし込む狙いのひとつは、シーズナリティなど、業種ごとの売上特性を月毎でとらえていくということになります。例えば年度末近くに受注が集中する官公庁を主な取引先とする企業なら、2月、3月の目標が全体の半分を占め残りはその他の月に割り振るような形になるでしょうし、リゾート関連の事業であるなら夏休みの7、8月やゴールデンウィークの5月の目標比重を重くし、その他の月を軽くするなどの目標設定になります。
月次目標に落とし込む狙いの今ひとつは、1か月という単位で目標を追いかける計画性を担当者につけさせるということ。年度や半期の目標だけで管理をしていては、日々の行動に計画性をもたせにくく、結果年度末や期末ギリギリでの追い込み型になりがちです。基本を月次管理におくなら、万が一その月が目標に未達になっても翌月あるいは他の月に目標を繰り越すことで新たな計画性のもと取り組むことが可能になるでしょう。
目標とリンクさせる月次の行動管理
月次の「目標」が設定されたら、次は「行動」の管理。「行動」は「目標」を管理するための前提となります。「目標」という名の数字だけを追いかけていてもそれは中身の伴わない名ばかり「管理」であり、担当者の「行動」を管理してはじめて実のある「目標」管理が実現できるのです。行動管理の基本は、2つ。月次管理と日次管理です。
「月次管理」は月毎に引き直しされた目標の達成に向けて、担当者に計画性を持たせる「行動管理」です。具体的には、月初と20日前後の2回、担当者との個別面談で直接話をして「計画を共有すること」がポイントです。
月初には達成に向けて、「今月どこに何を提案し、いくらの実績をあげるか」という月次目標を具体化した行動計画を作成します。そして20日の段階では、その進捗を見ながら残り10日でいかにして目標を達成するか担当者と一緒に突破戦略を練るのです。
ここで重要になるのが、リーダーの同行訪問です。クロージングに向けて担当者だけでは危ういと思われる先は、一緒に行動し自らセールスを買って出ることでひとつでも多くの案件を成約に持ち込みます。同行訪問には担当者が上司のセールス話法を見て学ぶという効用もあるので、リーダーはこの点からも積極的に同行訪問するべきなのです。
日報よりも面談重視の「日次」の行動管理
そしてもうひとつの「行動管理」が、「日次管理」です。ここでも基本は個別面談です。やや乱暴な言い方にはなりますが、デキる営業リーダーは日報を信用しません。基本は、毎日の担当者ヒアリングで実態を正確に把握するのです。ここでやることは、「今日どこに行き、誰と会い、どんな話をしたか」をていねいに聞くこと。そして、次回訪問に向けたアドバイスをし、協力すべき点を見出したり、同行訪問の必要性を決断したりします。日次のヒアリングは短時間でかまいません。重要なことは担当者一人ひとりが日々どのような行動をし、どのような壁にぶち当たっているのかを知ることで、リーダーがフォローやアドバイスをしてあげることです。これを日々継続することで、担当者の成長は格段に早くなるでしょう。日報は手間も時間もかかるので、担当者のデスクワークを軽減するという意味でも意識的に実践したいところです。
どんな営業チームでも、「目標」と「行動」の管理をあきらめることなく愚直に徹底し続けることで実績は確実に上がっていきます。管理の大前提にあるのは「継続は力」という考え方であることも、最後に付け加えておきたいと思います。