局地的にかなりの被害が発生
熊本城の大きな被害に衝撃を受けた人も多いはず
Iさん はい。よろしくお願いします。東日本大震災ではかなり広範囲にわたり被害が発生していたのですが、今回の熊本地震は被害が比較的限定された地域で発生していて、その点は異なっています。熊本市内では特に益城町にひどい被害が発生していて、私が被災した阪神・淡路大震災を彷彿とさせるものがありました。火災などの被害は確認していませんが、住宅の倒壊や傾斜、地盤には地割れなどもかなり見受けられたんです。
清水 局地的に大きな被害が見られたのですね。
Iさん そうですね。市街地の様子は全体で見ると、それほどひどくは見えない印象でしたが、よく見ると外壁がはがれていたり、ひびが入っていたりと、建物の中に入ると思ったより被害が大きかったりしましたね。耐震性の高い建物も多かったのか、比較的無事な建物も見受けられましたが、ブルーシートがかかった一戸建て住宅も散見されました。
清水 Iさんは、5月ごろ現地入りしたそうですが。
Iさん そうです。5月中旬頃は熊本市内も落ち着きつつある様子でしたが、まだまだ鉄道網や道路、ライフラインが機能していないところもあり、熊本市内に常駐することはできませんでした。なので郊外を拠点にし、そこから毎日移動して損害確認に向かっていました。
清水 熊本も広いですしね。1日に何件くらいの損害調査をなさったのでしょうか。
Iさん 当初は道路事情も悪く、水が出ないなどの諸事情があったものの、1日に2~3件のペースでの確認を想定していたのですが、予想以上に道路は毎日のように渋滞していて、思うように移動できない状況でした。なので、結果的には2件が限界でしたね。
大地震に次ぐ連続地震の中での被害、保険金はどう支払われる?
大地震が連続、その後も地震が続いたことで、損害調査にも困難が
まで行かなくても大きな地震が立て続けに起き、1000回以上も地震が起きていた状況でした。こうした歴史上、類のない状況での損害調査には、困難もあったのではないでしょうか。
Iさん 地震保険は、原因となる地震で住宅や家財に損害が発生したとき、その損害を全損・半損・一部損の3区分に認定してそれに応じた保険金を支払うしくみです。ところが、損害認定後、修理をする間もなく次の地震が起こり、また別の損害が発生する事態も相次ぎました。
清水 そうでしたね。
Iさん ですから、毎日のように地震が起きると追加で被害がさらに発生して、「●月●日の地震で発生した損害、それに対する損害認定」という個別のやり方で進めるのは難しいこともありましたね。
清水 あれだけ毎日のように地震が起きていれば、難しいこともあるでしょうね。
Iさん 地震保険約款では、72時間以内で起きた複数の地震は1つの地震として扱うことを定めています。なので、72時間以内であれば、時間差で生じた被害であっても、1つの地震による被害とみて損害確認が行われ、保険金は1回、支払われます。
清水 では72時間をまたいで地震が起きると?
Iさん 損害確認をして認定をした後、その部分の修理をしていない状況で72時間以降に起きた地震で新たな損害が生じた場合には、最初の損害部分は損害が復旧していないのですから控除して、新たな損害とか損傷だけを認定する形で進めます。
清水 別々の地震により2回の損害が生じたとして、それぞれについて保険金が支払われるというわけですね。
Iさん はい。損害確認ではすべて写真を撮りますから、2回目の確認のときに写真を同じようにとれば、既存の傷のほかにできた新たな傷や損傷が明らかにわかります。ですから、お客様へのヒアリングを行いながら損害の確認作業を進めさせていただき、確認後に再度、保険金をお支払いします。
清水 ということは、同じお宅に1度ならず2度、損害調査に向かうことになるわけですね。そういうケースは多かったのですか?
Iさん 一部損の被害のお宅などで、2度行くケースもありましたね。ただ、お客様によっては、余震等の心配もあり、ある程度状況が落ち着いてからの損害確認を希望される方もいらっしゃいました。また東日本大震災の影響なのか、お客様にお会いすると、地震保険に対する認識の向上を感じることもありましたね。
東日本大震災との違いとは。次のページで詳しくお伺いしました。