効果的な熱中症対策法は? 暑さに負けない体づくり
熱中症予防の水分補給に、糖質とたんぱく質を含む牛乳が注目されています。口当たりが良くミネラル豊富な果物と一緒に摂るのもオススメです。
真夏日が続き、熱中症予防のための水分補給を工夫している人も多いのではないかと思います。2015年に、信州大大学院により、熱中症予防のための暑さに強い体づくりの方法として「やや強めの運動の後、糖質とタンパク質を摂取することが有効」という研究結果が報告されました(J-milk)。
熱中症は、体内の水分不足によって血液量が減り、血管の拡張がしにくくなったり、あるいは室内でも湿度が高く発汗しにくい状況になった結果、体温調節ができなくなって起こります。特に高齢者などは、体温調節などの機能が衰えてくるため、熱中症になりやすい傾向があります。
同大学院の研究によると、熱中症を防ぐためには「血液量を増やす」ことがポイントだそうです。「皮膚表面の血管まで十分に血液が循環すれば、体温調節機能が向上する」と考えられています。
そして、朝夕の涼しい時間帯に1日15~30分、1週間に4日以上運動を続けると効果的とされています。目安はじっとり汗をかく程度で、体力の7割程度の負荷で、各自のペースで行えばよいそうです。 自力で汗をかける体づくりも大切なポイントといえるでしょう。
熱中症予防に効果的な水分補給に牛乳がよいワケ
糖質とタンパク質を同時に摂る手軽な方法として、「牛乳をコップ1杯(200ミリリットル)」がすすめられています。熱中症予防によく利用されているのが、塩分と糖分が含まれている経口補水液やスポーツドリンク。運動や発汗のし過ぎで体内のナトリウムが減ったときに水分だけを摂ると、体内のナトリウム濃度が低下するのを防ぐため、水分を吸収せずに尿として排出してしまいます。水分とともに適量の塩分を摂取することには水分を体内に留める働きがあり、また糖質は腸での水分の吸収を早める働きがあります。
発熱や嘔吐、熱中症には経口補水液が有効ですが、健康時には塩分が強く感じられます。またスポーツドリンクは糖質が多いので、運動量が多くない方は飲み過ぎには注意が必要です。
では、先の研究のタンパク質はどんな風に役立つのでしょう。タンパク質の「アルブミン」も血液中に増えると、塩分と同様に、浸透圧の影響で血管内に水分が引き込まれ、血液量が増えるのです。
高血圧などで塩分の摂取が気になる、という人や、育ち盛りの子どもたち、骨粗しょう症が気になる女性や高齢者などにもおすすめです。
「ファクトブック 牛乳で熱中症対策2015年版(J-milk)」では、筋力アップ、熱中症予防に必要な運動後の牛乳は、若年成人でコップ2~4杯、小中高生や40~60代の中高年でコップ1~2杯。もっと多めに(あるいは少なめに)飲みたい場合は1~4 杯の間で調節することが、すすめられています。
暑い時にはさらりとした飲み物の方が飲みやすいなど、牛乳にも好みがあることでしょう。タンパク質を含む乳製品のヨーグルトやアイスクリームなどもおすすめです。またチーズならフルーツなど糖分を含むものと一緒に摂るとよいでしょう。ただし美味しいからと食べ過ぎると、糖分の取りすぎ、カロリーオーバーの心配もありますのでご注意を。
口当たりよく水分豊富! 低カロリーな果物もおすすめ
また、飲み物でのこまめな水分補給が苦手という方には、みずみずしい果物も口当たりがよくおすすめです。例えばスイカなどは水分が9割で低カロリーで、ミネラルも含まれています。昔から東洋医学ではスイカは体の熱を抑えるとされていました。また、昔は今のように甘みの強いスイカが少なかったためか、甘みを引き出すために塩を振って食べたりしていましたが、塩分と糖分を上手に摂るという点でも理にかなっていたのではないかと思います。
また、水にレモンやオレンジ、梅ジュースなどの爽やかな酸味を少し加えると飲みやすくなります。刻んだ昆布を水につけた昆布水に果物を加えたフレーバー昆布水なども、ミネラルなどが豊富に含まれ注目されています。詳しくは「熱中症予防に梅昆布茶とお味噌汁が効く?」をご参照ください。
油断できない暑さと付き合うために、上手に美味しく水分補給をして、健康に夏を乗り切っていきましょう。
■参考サイト
・熱中症予防情報サイト(環境省)
・ファクトブック 牛乳で熱中症対策2015年版(J-milk)
・ファクトブック 牛乳による熱中症対策の有効性2014年度版(J-milk)
・『農業新聞』 他