現在、日本で店頭販売されるのはバレンタインシーズンのみという、「パスカル・ル・ガック」のチョコレートは、世界のチョコレート愛好家やプロのショコラティエからも絶大な人気を誇ります。

そんなパスカル・ル・ガックのチョコレートの故郷はどんなところなのでしょうか? 2016年6月のパリ郊外の本店の様子をチョコレートファンのみなさんにご紹介します。

パスカル・ル・ガック本店を訪ねて

パスカル・ル・ガック・ショコラティエは、パリからRER(高速郊外鉄道)A線で約20分。サン・ジェルマン・アン・レー(Saint-Germain-en-Laye)という街にあります。

サン・ジェルマン・アン・レー駅に着いて、エスカレーターを上がると、すぐに美しいお城(太陽王ルイ14世が生まれた、歴史あるサン・ジェルマン・アン・レー城)が見えます。そこから、高級感のあるブティックや雑貨店、カフェなどが並ぶ通りを歩いて約10分。美しい広場に面した街の中心部に、パスカル・ル・ガックさんのお店があります。
パスカル・ル・ガック(フランス サンジェルマン・アン・レー)

パスカル・ル・ガック ショコラティエ(フランス サンジェルマン・アン・レー)

サン・ジェルマン・アン・レーはパリ郊外の高級住宅街。パリから電車で20分なのに、パリとはぱっと雰囲気が変わります。穏やかで、上品で、美しい街並み。歩いていてとても気持ちがよくて、私はこの街の雰囲気がすぐに好きになりました。

パスカル・ル・ガック・ショコラティエは、2008年にオープン。お店の近くにはスーパーマーケットや、食材の専門店など、たくさんのショップがあり、お店の前を地元の方がひっきりなしに通ります。
美味しそう

美味しそう!

とにかくたくさんの方が「美味しそう!」という感じで、ショーケースの前で立ち止まるのです。
女性もたくさん立ち止まります!

うれしそうにチョコレートを見つめる女性!

外からしばらくチョコレートを眺めていた女性も、「Bonjour(こんにちは)。ショーケースのチョコレートが美味しそうで、入ってきました」と言いながら、入店されてきました。
Bonjour(ボンジュール)!

Bonjour(ボンジュール)!

好きなショコラの味をお店の方(ル・ガックさんのお嬢さま!)に伝えて、どれがいいかしらと相談しながら、「じゃあ、プラリネを2つ、ジャンジャンブルを1つと、フランボワーズとオレンジとシトロンとナチュール……」と選んでいったら、あっという間に18個入りボックスがうまってしまいました!

「Bonjour(ボンジュール)」と扉をあけて訪れる人が、なかなか途絶えません。学生らしき男の子2人組がボンボンショコラを気軽に選んで買っていく姿も。みなさんうれしそうにショコラを買って、「Merci.(メルシー)」「Au revoir.(オーヴォワ)」「Bonne journee!(ボンジョルネ)」、ありがとう、さよなら。よい1日を!あなたもね、と口々に挨拶をして、帰って行きます。

店内には日本未発売のガトーやショコラも豊富

店内の様子を、写真を中心にご紹介していきましょう。
ボンボンショコラが美しく並ぶショーケース

ボンボンショコラが美しく並ぶショーケース

全てのボンボンショコラをこちらでは1個ずつ選んで買うことができます。約40種類が並んでいて、日本では販売していないボンボンショコラも見つかりました(私はフレッシュバジルとフランボワーズをあわせたボンボンショコラが気に入りました)。
ガトーは本店ならでは

ガトーはサン・ジェルマン・アン・レーならでは

日本では販売していないガトーたち。カフェスペースはないので、旅行で訪れる方は、ホテルのお部屋か、公園などでどうぞ。
フォンダンショコラも!

フォンダンショコラも!

フォンダンショコラは、日本のサロン・デュ・ショコラでも販売されると大人気ですね。そして窓の向こうにはやっぱりガトーを眺める女性の姿が。
日本でも人気のマカロン

日本でも人気のマカロン

マカロンは本店でも人気。はい。この時も、窓の向こうから男性がマカロンをじーっと見つめていましたよ。お写真から、様子がわかりますか?

ル・ガックさん手作りのディスプレイも!

フランスのショコラトリーは、シーズンごとにショーウィンドウやディスプレイが変わって楽しいのです。パスカル・ル・ガックさんのお店のディスプレイは、2週間に一度変わります。
店内のパスカル・ル・ガックさん

店内のパスカル・ル・ガックさん
 

日本と同じようにフランスにも、6月第3日曜日に Fête des pères(フェットデペール)と呼ばれる「父の日」があります。また5月最終日曜はFête des mères(フェットデメール)で「母の日」。このシーズンは、お父さん、お母さん向けのギフト用チョコレートが揃っているうえに、ディスプレイも感謝と愛をあらわすハートがいろいろな場所に。

ウィンドウの近くには、天井から下がる可愛らしいハートのディスプレイが揺れています。
ハートのディスプレイ

ハートのディスプレイ

「これは全部私が作りました。お店にあるものを使って、工夫して作っていますよ」とル・ガックさん。赤いハートを切り抜いて、リボンを使って、木製のかわいいクリップでとめたディスプレイ。これを間近に見て、笑顔にならずしてどうなるというのでしょうか!
ル・ガックさん作

ル・ガックさん作
 

この本店のキッチンで生まれたショコラが世界中へ

私たちが日本で美味しくいただいている、パスカル・ル・ガックのボンボンショコラやオランジェット。これらは全て、この本店2階にあるキッチンで作られています。今回は特別にお邪魔させていただきました!
カットする作業

ガナッシュをカットする作業

ジュリアンさん

ジュリアンさん

「お写真を撮っていいですか?」とル・ガックさんにお聞きすると嬉しそうな笑顔。「もちろん。ジュリアンは今日誕生日なんだよ。撮ってあげて!ジュリアン、何才になったんだっけ」と楽しそう。

ジュリアンさんはスタッフになって現在3年目。笑顔が素敵な24才です。そばで作業をしていたカミーユさんは去年9月に入ったばかり。スタッフの方が気持ちよくお仕事をしているのが伝わってきます。ル・ガックさんは、若い頃、自分が教わったように、若いスタッフに仕事を伝えたい、という思いがあるそうです。
オランジェットの製造

オランジェットの製造

私も毎年いただいている、パスカル・ル・ガックのオランジェット。ファンの方も多いのではないでしょうか? 丁寧に下ごしらえをしたオレンジのコンフィが、次々とこの場所でチョコレートコーティングされていきます。工程を拝見しましたが、大変細やかです。各段階でル・ガックさんが細かく作業工程を見守り、チェックされていました。
作りたてのオランジェット

作りたてのオランジェット(やわらかな食感の理由はシークレット、だそうです!)

大きな窓があり、自然光が入るキッチン。この場所で、全てのボンボンショコラ、オランジェット、シトロネットが作られています。

パスカル・ル・ガックさんインタビュー

なかなか日本滞在中には、ゆっくりお話が伺えずにいましたが、現地ではお時間をかけていただいて、ル・ガックさんとお話することができました。
パスカル・ル・ガックシェフ

パスカル・ル・ガックシェフ

Q.この場所をご自身のお店に選んだ理由を教えてください。

このお店は人通りが多い通りに面しています。すぐ近くにパン屋さんやパーキング、それから週3回は広場でマルシェがあって、この街に住む人たちの生活に自然に溶け込んでいるので、とてもよい場所だと思っています。それから、北向きなので直射日光が入りません。この点がチョコレートの製造に向いています。


Q. どんなお客さまがいらっしゃいますか?

(店内で)ほら、さっきお店に入っていらした女性も、歩いていたら、気になって、とおっしゃっていたのですが、もともと来ようと思って来た、というよりも、歩いていてショーケースを見てチョコレートが食べたい、と思っていらっしゃる方がたくさんいます。年齢に関係なく、常連さんもとても多いです。
「ボンジュール、タブレットショコラのおすすめはありますか?」と入ってきた男性

「ボンジュール、今日はタブレットショコラを買いたいんです。何がいいでしょうか」とお店に入ってきたお洒落な男性。


Q. どんな用途でチョコレートを買われていく方が多いですか?


今(6月中旬)のシーズンは、父の日や母の日のギフトとしてチョコレートを買う方が多いです。母の日はもう過ぎましたが、少し遅れて父の日と一緒に母の日のプレゼントを贈る方もいるので、そういうプレゼント用に。そして、この近くに学校があるのですが、今はフランスの学期末なので、先生へのお手土産にも使われることが多いです。フランスの学校は、6月末に学期が終わりますから。それから、週末に友達とチョコレートを楽しむ、ということが一般的です。

父の日向けのシガー型ショコラ、ハートの形の母の日向けショコラなどが並ぶ店内(6月中旬)

父の日向けのシガー型ショコラ、ハートの形の母の日向けショコラなどが並ぶ店内(6月中旬)
 

Q.パスカル・ル・ガックさんのチョコレートは、味や表現にぶれがない、という声を日本のチョコレート愛好家やプロの方から聞きます。どんなイメージでチョコレートを作っていらっしゃいますか?

チョコレートはDelicat(デリカ=デリケート)で、上品な香りのものが好きです。チョコレートと素材のバランスは、チョコレートに合わせる素材が強すぎてもだめですが、素材の個性がなくてもだめです。チョコレートと素材との組み合わせ、つまり味の組み合わせは嗅覚から作ります。

そして、世の中にある全てのものの中から、良いものを選ばなくてはなりません。チョコレートだけではなくて、ワインもそうです。私はワインが好きですが沢山は飲みませんから、良いものをよく選び、少しだけいただきます。

それから、例えば私は朝、広場のマルシェでカフェノアゼット*を飲むのが好きなのですが、その幸せな感覚をチョコレートで再現してみようと思い、昨年「カフェノワゼットのガナッシュ」を作りました。そういったボンボンショコラが出来上がるまでのストーリー、いくつもの記憶や出会い、特別なひとときとの関わりが、私の発想に繋がっています。

*エスプレッソに少しミルクが入った飲み物
素材を吟味

吟味されて選ばれるボンボンショコラに使われる素材の一部


Q.「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」の創始者であるロベール・ランクス氏の元でお仕事をされた25年間は、ル・ガックさんにとってどんなものでしたか?

私は19才で、ロベール・ランクス氏の元で働き始めました。それから25年間、人生の重要な部分をランクス氏とともに「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」で過ごしました。仕事も人生も何も知らず、地方から出てきた若い私は、ランクス氏から数え切れないほど多くのことを吸収し、学んだのです。

「一番重要なのは仕事の価値。何かをするなら最善を尽くしなさい。そうでなければやらなくていい」というのが彼の人生哲学でした。センシティブで厳しい人で、常に仕事に対する自分の姿勢、人生観、情熱を貫いていました。彼は、美味しくて美しいものの愛好家でした。

若い方に好きな仕事につけていいですね、と言われることがありますが、「Passinone(情熱)」、つまり他のことよりもまず自分が決めたことをすること。他を犠牲にしても、それに時間を費やすこと。そういう姿勢で臨むことの大切さをランクス氏から学び、受け継いだから、今があります。

Q.日本のファンのみなさんへメッセージをお願いします!

J'arrive!(ジャリーヴ=これから行きますよ!と素敵な笑顔でした!)
毎年期待をもって待っていてくださり、ありがとうございます。よりよいものを届けますよ。


パスカル・ル・ガック・ショコラティエは、日本に常設店がありませんが、2017年のバレンタインシーズンも、サロン・デュ・ショコラをはじめ、全国のバレンタイン催事で期間限定販売される予定です。もちろん来年もル・ガックさんは来日予定、新作ボンボンショコラも登場予定とのことです。

私はもう随分長く、パスカル・ル・ガックさんのチョコレートのファンです。お話していると実直さ、上品な優しさが感じられ、また現地でいただくチョコレートも味わい深く、今まで以上に今後もル・ガックさんのショコラをいただくのが楽しみになりました。日本でも出会える機会があることは、幸せですね。今年もバレンタインシーズンを楽しみに待つことにしましょう。

●DATA
PASCAL LEGAC chocolatier (パスカル・ル・ガック・ショコラティエ)
61, rue de Pologne
78100 Saint Germain-en-Laye
火~土曜日 10:00~19:00 日曜日 10:00~13:00
パスカル・ル・ガック 日本公式サイト
PASCAL LEGAC chocolatier フランス公式サイト

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