クラブの深夜営業が可能に
深夜のクラブ営業を規制してきた現行の風営法が改正され、2016年6月23日からは条件付きで朝までの営業が可能になる。それに伴い、クラブとクラブカルチャーを守る会Club and Club Culture Conference(以下:CCCC)が、「改正風営法施行直前“PLAYCOOL”キャンペーン記者発表会」を6月22日に渋谷SOUND MUSEUM VISIONで開催した。これまでの風営法では、客がダンスするクラブはキャバレーやキャバクラと同様「風俗営業」に分類され、営業時間が最長でも午前1時までと規制されていた。今回の改正により照度10ルクス以上で、午前0時以降に酒類を出す店を新たに「特定遊興飲食店営業」として許可制にし、原則24時間の営業が認められるようになった。
なぜこれまでダンスが規制の対象だったのかについては「風営法改正によって日本のナイトシーンはどう変わるか」で詳細を紹介している。
発表会では、改正風営法の施行の動きに合わせて、渋谷の街がより魅力的なエリアとして発展していくために本格始動する“PLAYCOOL”キャンペーンの内容を説明。CCCCの会長を務め渋谷の街を中心にナイトカルチャーのマナー向上に尽力しているアーティスト、Zeebra氏のほか、以下の顔ぶれが集まった。渋谷区長の長谷部健氏をはじめ、「渋谷区観光協会名誉理事長」に就任した俳優の別所哲也氏、「渋谷区観光大使ナイトアンバサダー」に就任した株式会社トランジットジェネラルオフィスの中村貞裕氏、一般財団法人渋谷区観光協会理事長の金山淳吾氏。今回の改正をうけ、抱える想いもそれぞれ。ナイトシーンを含め、渋谷の魅力開発についてトークセッションは大いに盛り上がった。
可能性広がる夜の街
“PLAYCOOL”キャンペーンとは改正風営法施行の動きを踏まえたナイトカルチャーのマナー向上・啓発プロジェクトだ。Zeebra氏はPLAYCOOLの活動について次のように語った。「ダンスに対する権利を我々は主張してきました。そして権利は義務とともにあるものと考えています。義務とはマナーを守ること。クラブカルチャーも社会のなかの一部であり、社会性をもって共存していくべきです。飲みすぎて外で吐いちゃったり、ゴミをポイ捨てしたり、女の子をしつこくナンパするのってクールじゃない。PLAYCOOLでは“かっこいい遊び方ってなんなのか”を提唱していきたいです」。
長谷部区長もそれに賛同し、「渋谷をかっこいい大人が活躍している街にしたいですね。ルールよりモラル。規制で押さえつけるのではなく、マナーを守る行動を"当たり前”にしたいです。これまでもそうしてきたように、新しい価値としてクラブカルチャーやPLAYCOOLの精神を渋谷から発信できたら」と渋谷という街のスタイルを伝えた。
別所氏は自身の俳優業の経験から「日本の映画祭に外国の方をお招きした後、夜はどこで遊ぼうかと困ることがよくありました。ナイトカルチャーが充実すると、国際交流の場になり、次のカルチャーを生み出すことにもつながります。海外の都市にも負けないエンターテイメントシティーになってほしい」と、世界からみても盛り上がっている東京をアピールしていく姿勢をみせている。
改正風営法により、影響を受けるのはクラブカルチャーだけではない。金山氏は「朝までのクラブ営業が可能になることによりマーケットの広がりが期待できます。交通であったり、24時間営業の飲食店であったり、ナイトエコノミーも活性化するのでは」と、夜間の経済活動への期待を述べた。
改正風営法施行日当日である6月23日(木)の0:00ジャストには、渋谷のスクランブル交差点大型ビジョンで、PLAYCOOLスペシャルムービーが流れる予定。同日6:00から、CCCCメンバーと渋谷の人気DJが集合して渋谷の早朝清掃も実施される。23日から施行される改正風営法によって、ようやく「解禁」される日本のナイトカルチャー。文化的、経済的にどのような広がりをみせるのか注目が集まる。
■「クラブとクラブカルチャーを守る会」オフィシャルサイト
http://clubccc.org/