穴のある自主規制では、業界を守れない
安心して、ゲームを楽しんでもらえるような自主規制でなければ、業界も守れません(イラスト 橋本モチチ)
業界にとっての自主規制というのは、問題が拡大する前に自分たちで規制をすることによって、外部から一方的に介入されることを防ぐという意味があります。そのためには、外側から見た人に、きちんと守るべきことを守っているから安心だね、と、信用してもらう必要があります。
しかし、試行されるなり、トップメーカーが、ガイドラインを無意味化しかねない形で運用してしまっては、全く信用してもらえません。実際のところ、何か隠したいことがあるからこういう方法を取るのではないか、と思った人も少なくないでしょう。結局こうやって誤魔化していくんだ、と考えた人も多いのではないでしょうか。
2016年4月27日に、ゲームメーカーの業界団体「一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下CESA)」も、「「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」を発表しています。CESAは、JOGAや、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムと連携して取り組むことを明示していまして、CESAのガイドラインも、JOGAのそれとかなり似ています。今回取り上げた、レアガチャアイテムの定義や、有料ガチャ運営の際の規制には、ほぼ同じ表現が採用されています。つまりこれも、ガイドラインとして機能するものか、疑問符がついてしまったということになります。
自主規制は、ユーザーに安心して利用してもらうためのものでありますが、そのことが結果的に業界を守る、という性質のものでもあります。しかし、このガイドライン、この運用で、本当に業界を守ることができるのでしょうか。ガイドライン自体も、その運用についても、もう1度議論しなおす必要がありそうです。
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