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パズドラが露わにしたガチャ自主規制の抜け道(2ページ目)

モバイル端末向けゲームなどで多く採用されているアイテム課金方式のガチャに関して、日本オンラインゲーム協会(以下JOGA)は新しい「ランダム型アイテム提供方式を利用したアイテム販売における表示および運営ガイドライン」を2016年4月1日から施行しました。しかし、どうやらそこには、大きな抜け穴があったようです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

「いずれかのガチャレアアイテム」

お金を使い過ぎたユーザーの図

何がレアガチャアイテムなのかは、とても曖昧です

「いずれかのガチャレアアイテム」というのは2つの問題があります。1つは、「ガチャレアアイテム」の定義、そしてもう1つは「いずれかの」という言葉。

ガチャレアアイテムというのは、JOGAがガイドラインの中で「有料ガチャにより提供されるガチャアイテムであって、同一の有料ガチャにより提供される他のガチャアイテムと比較して、顕著な特徴を有するもの、提供割合が低いもの、または提供数や期間が限定されたもの等、顧客を誘引する目的で提供されるものをいう。」と定義しています。これを読む限り、いわゆるクジの「アタリ」を指していると考えられますが、かなり曖昧な定義です。

そして、それらのガチャレアアイテムのうち「いずれか」が当たる確率が1%以上であれば確率等の表示をしなくてよい、とガイドラインには定められています。「いずれか」というのは、どれか狙った1つのアイテムが出る確率ではなく、どれだか分からないけど、とにかく何かの「ガチャレアアイテム」が出る確率を言っているようです。

まとめると、曖昧な定義の元に決められたアタリのうち、何か分からないけど、どれか1つが手に入るという確率が1%以上あればいい、ということになります。

約半分がアタリ

パズドラの図

パズドラの対応は、やはりユーザーに大きな疑問を投げかけました

ガンホーは2016年4月15日に、パズドラの公式サイトにおいて、有料ガチャで手に入るモンスターのうち、約半分をこのガチャレアアイテムに指定しました。つまり、うちの有料ガチャは半分くらいがアタリで、1%以上の確率でそのうちどれかは手に入るから確率表記等はいりませんね、ということです。

この話を聞いた時、メーカーが自分で判断して約半分がアタリだと言えばOKになるガイドラインは、果たして意味があるのだろうかということは、誰でも疑問に思うことです。

しかし実際のところ、ガイドラインと照らし合わせて本当に妥当なのかどうかを客観的に判断するのは、とても難しい問題です。ガンホーが誠実に「顕著な特徴を有するもの」や「顧客を誘引する目的で提供するもの」を指定していった結果、ほぼ半分が該当してしまったとして、誰がその正しさを判定できるのでしょうか。

そしてゲーム業界全体にとってとても大きな問題は、このガイドラインは、メーカーの裁量でどうとでもなり、正しい運用がされているか客観的に判断するのが難しいということを、パズドラが浮き彫りにしてしまった、ということです。
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