将来の寝たきり生活を避けるカギは、若いうちの食生活にあり!

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健康寿命をのばすためには、栄養バランスのとれた食事も大切です。

寝たきりなどの介護を必要とせずに自立した生活ができる期間を指す「健康寿命」。日本は世界一の長寿国ですが、平均余命と健康寿命の差は、男性が9年、女性が12年(厚生労働省/2010年発表)とみられています。

あくまでこの数字は、平均値にすぎませんが、寿命が延びたことで何年にもわたり介護などが必要となり、本人や家族、そして国家にとっても大きな負担となっていることは事実です

できるだけ健康寿命をのばすためには、若いときからバランスのとれた食事と適度な運動や休息などの生活習慣を整えて、丁寧に積み重ねていくことが重要だです。

「バランスのとれた食事」について、具体的に1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかを考えるために、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストでわかりやすく示したものが、「食事バランスガイド」(2005年に厚生労働省と農林水産省が策定)です。

*「食事バランスガイド」は、健康な人を対象にしており、糖尿病、高血圧などで食事指導を受けている方は、その指導に従ってください。

食事バランスガイドを遵守すると死亡リスクが低減する!?

策定から約10年が経ち、食事バランスガイドをきちんと実践することが死亡やさまざまな疾患とどのような関連があるのかについて報告(「食事バランスガイド遵守と死亡との関連について」/予防研究グループ)され、専門誌で論文発表されました (British Medical Journal 2016年3月22日号)。

予防研究グループでは、日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で多目的コホート研究が行われています。

今回の報告は、1990年と1993年に、岩手県や秋田県、長野県、沖縄県などの11保健所管内の40~69歳を対象に、食事調査を含む生活習慣についてのアンケートを実施。さらに5年後の1995年と1998年に、2回目のアンケートでより詳しい食事調査を含めて調査しました。

そのうち、1回目と2回目の調査時点で循環器疾患、がん、肝疾患のいずれにもかかっていなかった男女約7万9600人について、2回目の調査時点から平均約15年追跡したという大規模な調査です。
 
対象者の食事を、主食(ごはん、パン、麺)、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)、牛乳・乳製品、果物、総エネルギー、菓子・嗜好飲料という7項目に分け、その食品由来のエネルギーの各摂取量に応じて点数を付け、各項目は10点を最高点として、合計70点を満点として解析しました。

得点によって対象者を4グループに分け、その後平均15年間の死亡(全死亡・がん死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡・脳血管疾患死亡)との関連を調べたました。

その結果、食事バランスガイドの遵守得点が高いほど総死亡のリスクが低下し、遵守得点が10点増加するごとに総死亡は7%減少、循環器疾患は7%、脳血管疾患は11%、それぞれリスクが低下しました。

4グループを比較すると、総死亡リスクについては、最も点数の低いグループを1.0とした場合、最も点数が高いグループは0.85。リスクが15%も下がっています。同様に脳血管疾患死亡は22%の減少です。

予防研究グループでは、次のようにまとめています。

循環器疾患のリスク低下との関連は、食事バランスガイドの副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)および果物の遵守得点が高い人で顕著に認められました。このことは野菜・果物の高摂取による循環器疾患のリスク低下を報告した国内外の研究と一致します。

一方、脳血管疾患死亡のリスク低下は主菜(肉、魚、卵、大豆料理)の食事バランスガイド遵守得点が高い人で顕著でした。この結果は、魚や肉の摂取量が多いと脳血管疾患のリスクが低いという国内外の研究データによって支持されます。
 
本研究から、食事バランスガイドに沿った食生活している人は、総死亡や循環器疾患死亡のリスクが低いことが分かりました。食事バランスガイドに準じて、不足しがちな野菜や果物を積極的に摂取し、バランスの良い食生活を心掛けることが大切といえます。
またがん死亡と心疾患死亡は、統計学的な有意差はなかったものの、点数が高いほどリスクが低くなる傾向は同じように見られたそうです。

脳血管疾患は、死亡につながるだけでなく、後遺症などで要介護となるリスクもあります。健康寿命をのばすために、科学的な根拠が示された食事バランスガイドはぜひ活用したいものです。

食事バランスガイドを簡単に使いこなすコツ

「食事バランスガイド」は、栄養指導や食育の現場ではよく告知されているのですが、今健康に過ごしている私たちの生活シーンではイマイチ活用しきれていない印象があります。

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基本形の食事バランスガイド

「食事バランスガイド」では毎日の食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5つの料理グループに区分し、区分ごとに「つ(SV)」という単位で、1食にどれくらいを食べるのか、の目安を示しています。詳しくは、食事バランスガイドについて(厚生労働省)をご覧ください。

ここには、主食であればご飯やパンなど、主菜であれば、ハンバーグやお造りなど、食品例が出ていますが、すべての料理や食品を網羅していません。あくまで大雑把な食材と量の目安として「つ(SV)」を把握して、1食のバランスを振り返るためのツールです。

成人(高齢者を除いた身体活動レベルがふつう以上の成人女性性や身体活動レベルが低い成人男性)の場合、イラストにあるように主食は5~7つ(SV)、副菜は5~6つ(SV)、主菜は3~5つ(SV)、牛乳・乳製品2つ(SV)、果物2つ(SV)が1つの目安になっています(エネルギー摂取量は2000±200kcalに相当)。詳しくは、

これを参考に見ると、例えば普通のご飯茶碗に1杯で1.5つ(SV)、朝昼晩の食事で3回和食であれば、各1杯ずつで4.5つ(SV)で5つ(SV)に近くなります。主菜は、朝食に目玉焼き1SV、ランチのおかずにハンバーグを食べれば3つ(SV)ですから、夕食にはお造り程度の軽いおかずにしなければ、トンカツでは食べ過ぎと判断します。

また全体的なバランスから言うと、糖質制限などが話題になりますが、主食は重要な存在だと言う位置付けですし、また主菜よりも副菜を積極的に摂ると意識してちょうど良いと思います。

簡単にバランスが取れやすいのは「一汁三菜」

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食事バランスガイドの実践には1食を「一汁三菜」の献立を目安にすると考えやすいです。

和食の基本的なお献立は、「一汁三菜」ですが、三菜のうちの一菜を主菜とすると、残り二菜は副菜、副々菜で、野菜やきのこ類、芋類、海藻類などにし、汁物も具沢山にすれば、しっかり副菜を摂れます。もちろん洋食でも、同様に考えます。

またお昼にはお弁当を作ったり、買ったりすることが多い人は、主食:主菜:副菜=3:1:2の比率を目安にしてみましょう。もしも唐揚げ弁当を買って、野菜がほとんどなければ、サラダやおひたしなどを合わせた方が、バランスが良くなると考えます。

また「一汁三菜」または「3:1:2弁当箱法」のお献立に加えて、果物や乳製品なども、加えて、多様な食品を摂るようにしましょう。「3:1:2弁当箱法」について詳しくは、「園児ママの8割がお弁当の栄養バランスを勘違い(食と健康)」をお読みください。

「一汁三菜」の食べ方がバランスが取りやすいとわかっていても、忙しい時には市販のお惣菜やお弁当、外食が続くなど、1日のうちの1回の食事で、バランスをとることは難しいものです。

歓送迎会で焼肉などが続いたという場合は、不足しがちな副菜を意識して摂ったり、主食を控えめにするなど、1日の3食の中で、あるいは2~3日単位で加減してバランスを図るようにしていきましょう。

手軽なチェックサイトも利用

ただし、食事の「どれだけ」の目安は人によって異なるので、対象の特性(性別・年齢)や身体活動レベルによって3段階に分けられています。各料理区分の詳細な説明などは、厚生労働省の食事バランスガイドのホームページで確認してください。

またバランスチェック 回れ!バランスゴマ君で、ある1日の食事内容を選ぶだけで、簡単に食事バランスをチェックできます。足りないもの、食べ過ぎているものは何かなどを示してくれますので、ぜひ試してみてください。

食事のバランスを見直すだけで良いのですから、自分の心がけしたい。何よりも安くて手軽な健康法ではないでしょうか。

関連リンク/
「食事バランスガイド」で、食事をチェック(栄養管理)
園児ママの8割がお弁当の栄養バランスを勘違い(食と健康)

参考/
食事バランスガイドについて(厚生労働省)
食事バランスガイド遵守と死亡との関連について
バランスチェック 回れ!バランスゴマ君
で、
日本人の食事摂取基準(2010 年版)の改定を踏まえた 食事バランスガイドの変更点について


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