食と健康/健康レストラン・食ニュース (関西)

58種の大和伝統野菜を味わう!ミシュラン掲載の名店(4ページ目)

関西旅行ではぜひ足を伸ばしたい、日本の隠れた名店。奈良市郊外にある『清澄の里 粟』は、ミシュランの星に輝いた、なかなか予約の取れない名店です。大和伝統野菜をふんだんに使った贅沢なお料理と、地域作りに取り組む『粟』の活動をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


福祉の視点で健やかな生き方を模索

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株式会社粟 
代表取締役社長 三浦 雅之さん
専務取締役 三浦陽子さん(右)。

三浦ご夫妻が、『粟』をオープンしたのは2002年。それまでに2年かけて、自からの手で竹林だったこの地を開墾したという逸話があります。まだ「農家レストラン」などという時代に、ご夫妻が取り組むようになったのは、どんな背景があったのでしょう。

三浦ご夫妻は、若い頃に福祉ボランティアの現場で出会い、それぞれに医療や福祉の現場でお仕事をされていました。日本は高齢化社会に突入していた時代、世界に冠する長寿国を誇りつつも、要介護で寝たきりのお年寄りが増え、若い人たちも健康的な働き方、生き方などが見えない中で、「人生を充実させて生き生きと暮らす方法」を模索し始めました。

そこで見出しのが、「伝統野菜で地域づくり」というテーマ。地域の人々の横のつながりと、伝統を受け継いでいく縦のつながりというが織り成すものの核は「伝統野菜」と直感したのでした。

モノは豊かで便利な都会の生活は一見贅沢なようですが、人や地域社会、自然とのつながりが実感しにくくなっています。自然に感謝し、他者と信頼しあえるコミュニティの中で、若者だけでなく高齢者も現役で生き生きと働ければ、健康長寿も夢ではありません。

そのコミュニティを支えるのは、生きる糧であり、様々な知恵の源泉となる食文化。三浦ご夫妻は探求するほどに、地域特有の食文化を支えたのは、家庭で種を採取し、守り伝えた伝統野菜の復興にあると確信しました。

伝統野菜の復興から地域作りを目指す

その後三浦ご夫妻は農業塾に通い、また伝統野菜の探求、調査をする日々を続け、1998年からこの地に縁がつながりました。時間をかけて信頼関係を築き、地元農家から伝統野菜の種を分けてもらい、研究を重ねて栽培や種の保存など、伝統野菜の復興に取り組んでいます。

『清澄の里 粟』は、大和伝統野菜を多くの人に知ってもらう発信拠点として役割としてスタート。日本人に取って大切な作物を指す「五穀」の一つであり、「一粒万倍」の意味を込めて「粟」と名付けました。

その名の由来通り、三浦ご夫妻の目標である「伝統野菜の復興による地域づくり」は、地域住民や社会も力を注ぐプロジェクトへと大きく深く広がっています。

例えば、レストランで提供される伝統野菜のほとんどは、三浦さんの畑だけでなく、地元の集落営農組織である五ヶ谷営農協議会でもつくられ、地域農業の経済活性にもつながっています。

また農家レストラン『清澄の里 粟』に続き、09年に姉妹店の『粟 ならまち店』、15年には官民共同プロジェクトとして、奈良の魅力を伝えるカフェ『coto coto』をオープンされました。

その他にも株式会社粟、NPO法人清澄の村、五ヶ谷営農協議会を連携共同させた六次産業によるソーシャルビジネス「プロジェクト粟」を展開し、先進的なケーススタディとして全国的に注目されているのです。

伝統野菜は、人が地域か生き生きと暮らすための種

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「清澄の里 粟」のマスコット、ヤギのペーター。かつて日本の農家でヤギは、農業の大切なパートナーだったとか。近年循環型農業のパートナーとしてもヤギの飼育は注目されています。

しかし、三浦ご夫妻の描くビジョンは、このプロジェクトを大規模にして大きな利益を得る、というものではありません。

「家族でつなぎ、地域の文化や伝統を育んできた伝統野菜の本質を大切にしたいのです。当面の目標は、地元の兼業農家を営んできた地域の人たちが、”ちいさな農業”を維持できる仕組みを育てること。若い世代が後に続いてくれれば、農を中心としたコミュニティが維持されると期待しています」と語る雅之さん。

『清澄の里 粟』は、一見「農家レストラン」でありながら、三浦ご夫妻の原点である福祉の現場から思い描いた「人が生き生きと健やかに暮らす」ための種でもあるのです。

心身が喜ぶような美味しい野菜料理が魅力であることはもちろんのこと、自然に寄り添う暮らしのあり方や、人と地域のつながりを感じられる豊かな時間を求めて、今日も誰かが『清澄の里 粟』に足を運ぶのかも知れません。

『清澄の里 粟』食事メニュー
・粟おまかせコース(3,500円)
清澄の里で育てられたお野菜を素材としたコース形式のお料理。「季節のジュース、前菜、和物、惣菜・季節食材の煮物、野菜の豆乳鍋、揚物、季節の色御飯、香物、味噌汁、デザート・ドリンク」のセット。
・粟大和野菜のフルコース(5,000円)
上記のコースに、清澄の里の大和伝統野菜と世界の伝統野菜を食材を中心とし、大和牛を使用したお料理を加えたフルコース。デザートに和菓子「粟生」がセットとなる。


清澄の里 粟
所在地 奈良県奈良市高樋町861
電 話 0742-50-1055
営業時間 11:45 ~ 16:00(14時半からは空き席をカフェ利用可能)
完全予約制で「1日20席限定」
定休日 不定休
駐車場 あり

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