イタリア期待の新星
「クラウディオ・フィリッピーニ・トリオ」インタヴュー

左から、ベースのルカ・ブルガレッリ、ドラムのマルチェロ・ディ・レオナルド、リーダーでピアノのクラウディオ・フィリッピーニ

左から、ベースのルカ・ブルガレッリ、ドラムのマルチェロ・ディ・レオナルド、リーダーでピアノのクラウディオ・フィリッピーニ

今回の来日メンバーはリーダーでピアノのクラウディオ・フィリッピーニ、ベースのルカ・ブルガレッリ、ドラムのマルチェロ・ディ・レオナルド。日本に来るのは数度目ということで、好きな日本料理の話などもうかがいつつ、トリオによる音楽生活や録音秘話まで、ここでしか聞けないディープなインタヴューになりました。

まずガイドが今回ぜひ聞いてみたかったのが、2015年に発売された最新作「SQUARING THE CIRCLE」について。これまでオリジナル中心だったにも関わらず、この作品は予想外のスタンダード集。それについて聞くと、リーダーのクラウディオから驚くような事情が語られました。

最新録音盤
実は最初は日本から出る予定だった、2015年の最新作「Squaring the Circle」

実は最初は日本から出る予定だった、2015年の最新作「Squaring the Circle」

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「実はこのスタンダード集の話は、日本のプロダクションから最初に話が来たんです。CDを3枚を出すという事でしたので、30曲スタジオで収録しました。ところが、最終的にその日本のレーベルとはうまくいかず、これらの録音が宙に浮いてしまったのです。だったら、せっかく録音した30曲からベストを選んで、このCDを出そうという事になりました」(クラウディオ)
新作のいきさつを語るクラウディオ・フィリッピーニ

新作のいきさつを語るクラウディオ・フィリッピーニ


なんと、ユニークな新作には日本での展開が深く関係していたのです。もちろん、彼らは元々オリジナルだけでなくスタンダードも演奏していましたし、最新作ではアレンジを加えてちょっとエレクトリックなサウンドをミックスしていますから、ただのスタンダート集でないのは言わずもがな。しっかりと彼ら“らしさ”が表現されています。

ちなみに現在のトリオは2008年から一緒にやっており、現メンバーでの最初のアルバムはSFっぽいイラストが印象的な「SPACE TRIP」。ジャケットのイメージそのままに、異星人なんかが出てくるちょっと変わった内容です。トータルで物語を表現するコンセプトアルバムというわけで、曲順や構成ついてはかなりのこだわりがあるようですが。
2008年録音、トリオの最初のアルバム「SPACE TRIP」

2008年録音、トリオの最初のアルバム「SPACE TRIP」

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「このアルバムは明確なコンセプトに基づいて構成されています。言ってみれば映画のようなイメージ。しかし、収録曲は、違った年やスタジオで収録されているものです。最初は2004年、次に2006年のライブと2007年のもの……というように、構成されている曲がどこで作られたものかという事も含めて、時間旅行のようなイメージも作り上げました」(クラウディオ)


トリオがもっとも影響を受けた音楽とは?

じつにこだわりの強いトリオの面々。どのようなミュージシャンや音楽に影響を受けたのかも気になるところです。軽い気持ちで質問を投げかけたところ、3名は深く考え始めてしまいました……。
音楽に対して真剣ゆえ、深く考えてしまうトリオ。

音楽に対して真剣ゆえ、深く考えてしまうトリオ。


柔和な表情のルカ・ブルガレッリ。実は隣のマルチェロをからかうのもお好き!

柔和な表情のルカ・ブルガレッリ。実は隣のマルチェロをからかうのもお好き!

「最初に影響を受けたのは“スティング”ですかね。初めてエレキベースを買ったときに出会ったこともあり、強く影響を受けました。 実際にセッションをした中では、ブラジルの歌手のイヴァン・リンス。彼の書いた曲は素晴らしいだけでなく、数の多さも衝撃的でした。自分たちのアルバム「The Enchanted Garden」でもトリオで演奏しています」(ルカ・ブルガレッリ)

 
真面目な性格がうかがい知れるマルチェロ・ディ・レオナルド

真面目な性格がうかがい知れるマルチェロ・ディ・レオナルド

「(メンバーと色々言い合った末に)ピーノ・ダニエーレ。昨年亡くなったイタリアの有名なポップス歌手です。ピーノと共演した人にはジャズ畑の人が多く、そこから影響も受けました。父がジャズ好きで子どもの頃からジャズは身近にありましたが、そこから影響を受けたというよりは、やはりピーノの音楽からの影響が大きかったと思います。ジャズに限れば、イタリアの偉大なピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィに影響を受けましたね(マルチェロ・ディ・レオナルド)。

 
いつも心には映画がある。音楽においてもストーリーにこだわる音楽少年のようなクラウディオ・フィリッピーニ

いつも心には映画がある。音楽においてもストーリーにこだわる音楽少年のようなクラウディオ・フィリッピーニ

「すごく小さな頃から音楽に触れていましたが、最初に影響を受けた音楽と言えば、ジュゼッペ・ヴェルディの「アイーダ」です。一歳の頃から聴いて育ちました。父がクラシックを好きな人で特にオペラを聴いていましたから、ヴェルディ以外にも(ジャコモ)プッチーニや(ジョアキーノ)ロッシーニの影響もあります。ジャズで言えばマイルス・デイヴィスかな。ちなみに一緒に演奏したいなと思う人は、オープン・マインドで語るものを持っている人ですね」(クラウディオ)

加えてクラウディオは、映画からの影響も強かったと話します。と言うのも、彼の祖父の代から父の代まで街の映画館を経営をしていたのです。

「私は1982年に生まれました。2004年に閉館するまで、そこで数多くの映画を観て育ちました。だから当然、映画の影響も受けています。いつか、映画の曲も書いてみたいと思っています」
冗談を言い合ったり、ふざけたり、仲のよい三人組と言った感じの理想的なトリオ

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新作アルバムも準備中、いままでにないトリオが聴けるかも?

最後に今までで一番気に入っているアルバムと今後の活動について聞いてみました。

「「SPACE TRIP」はとても印象に残っています。「The Enchanted Garden」や最新作の「Squaring The Circle」もそうですけど、結局今のこの三人でやったものは、気にいってよく聴いています」(クラウディオ)
2011年に発売されるや、日本でも話題になったアルバム「The Enchanted Garden」

2011年に発売されるや、日本でも話題になったアルバム「The Enchanted Garden」

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「今後については、いま新曲をいくつか書いているところ。あとこの三人で、新しいアルバムの準備もしています。メロディーで言うと、これからはもっとアシッド系のものやエレクトロニックなものをやりたいですね。そういう意味では、「SPACE TRIP」は試験運転的なものだったかもしれません。演奏はあくまでもこの三人ですが、エレキベースなどを使って、エレクトロニックでモダンなサウンドを出したいと思っています」(同上)
クラウディオ・フィリッピーニ・トリオ

クラウディオ・フィリッピーニ・トリオ


インタヴューが終わったのは夜10時ちょっと前。翌日にはインドのゴアに向かうと言って笑う、世界中を駆け回っている売れっ子ジャズピアニストのクラウディオでした。


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