アカデミー賞作品賞&主演男優賞&主演女優賞受賞の3本!
『スポットライト 世紀のスクープ』(2016年4月15日公開)ボストン・グローブ誌にやってきた新編集局長は、ある牧師による性的虐待の事件をもっと掘り下げて記事にするように部下に伝えます。カトリック信者が多い街で、教会を敵に回すことに反対するのはかなり勇気がいること。しかし、特集記事「スポットライト」の記者チームは、この事件の取材を開始するのですが……。
実在の出来事の映画化で、2015年度アカデミー賞作品賞&脚本賞を受賞した骨太な社会派映画です。権威にたてつこうとしているわけではなく、真実を伝えたいという真摯な姿勢があるから、記者チームは見る者の共感を得ることに成功したのでしょう。地道な積み重ねによる取材シーンも、真実があぶりだされていく演出が上手く、スリリングで目を離せない見ごたえある作品になっています。(公式サイト)
監督&脚本:トム・マッカーシー 出演:マイケル・キートン、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、スタンリー・トゥッチ、リーヴ・シュレイバーほか
『レヴェナント:蘇えりし者』(2016年4月22日公開)
狩猟で生計を立てているハンターグループのひとり、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマに襲われ瀕死の重傷を負う。やがて仲間に裏切られ、息子を殺された彼は、憎しみの塊となって生命の炎をたぎらせ、復讐のために立ち上がるのです。
レオナルド・ディカプリオのアカデミー主演男優賞受賞作。レオは心身ともに傷つきながらも、復讐を糧に生きる男の魂をスクリーンにぶつけました。セリフがあまりなくても彼の心情が伝わるのは、その演技力あってのこと。
3年連続アカデミー賞撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキの自然光のみで撮り上げた映像、前作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』とは全く違うアプローチで演出に臨んだイニャリトゥ監督。天才たちの才能が結集した傑作です。(公式サイト)
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ 出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールターほか
『ルーム ROOM』(2016年4月8日公開)
高校生のときに見知らぬ男に監禁、暴行され、息子(ジェイコブ・トレンブレイ)を産んだジョイ(ブリー・ラーソン)は、息子とともに監禁部屋から脱出を試みて成功します。しかし、脱出してからも周囲の視線や心無い言葉に傷ついてしまうのです。
ジョイと息子には、地獄の中でも正しいことをしようとする姿勢がきちんとあり、その姿が崇高で美しいほどです。脱出してからも闘いの日々というのは辛いけれど、監禁されているときも、脱出したあとも、ジョイを苦しみから救うのが息子の存在というのがいい。これが親子の真実かと泣けてきます。そして監禁部屋しか知らなかった息子が、生活に適応していくプロセスも興味深く、普通の生活がいかに幸福に満たされているかを痛感できる映画です。(公式サイト)
監督:レニー・アブラハムソン 出演:ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン、ショーン・ブリジャース、ウィリアム・H・メイシーほか