何度もめくっても新たな発見がある『絵で見るある町の歴史』
『絵で見るある町の歴史』は、1万年以上に前に誕生したある町を、過去から現代まで時代順にたどる、大きな図鑑絵本。『絵で見るある町の歴史』
ページをめくると、見開きで70cmほどもある大きな画面に、川のほとりの「ある町」が現れます。緑豊かなその町に、大きな橋がかけられたり、高層ビルが建てられたりと、14の時代ごとに町が大きく変化していく様子が見て取れます。
興味深いのは、町の人々の暮らし。町の様子が、ジオラマのように細かいところまで描き込まれているので、そこに住む人々の1日の過ごし方や生活が分かります。ファッション、食べもの、乗りもの― 自分の好きなテーマで追ってみていくのも楽しいですよ。数mmしかない人の顔も、どんな気持ちかがはっきと分かるほど豊かに描かれています。
さらに、「町のために戦った前領主の像はどこに立っていますか?」など、質問と絵をアイコン上にしたものが、ページをぐるりと囲むように、たくさん書かれています。これは、『ミッケ!』や『ウォーリーをさがせ!』のように、ゲーム感覚で絵を楽しめる工夫。でも、単なる遊びではなく、この質問のおかげで、その時代のポイントに気付けたり、小さな子でも、絵を読み込む面白さを味わったりできるのです。
小さな子であっても、人の喜びや悲しみ、大切にされるものと壊されるものがあるということが理解でき、思わぬ感想を聞かせてくれることも。また、ページをめくっていくことで、時間がつながっているのだということを体で感じることができます。
見返すたびにいつも新しい発見がある、長く長く手元に置いておきたい1冊です。
【書籍データ】
書名 『絵で見るある町の歴史 : タイムトラベラーと旅する12,000年』
絵 スティーブン・ヌーン
文 アン・ミラード
訳 松沢あさか,・高岡メルヘンの会
出版社 さ・え・ら書房
価格 2376円