このチョコレートブッフェは、デザートの種類が多いだけでなく、材料となるチョコレートそのものを世界中から集めて作っているのが特徴。
フランスからはカカオバリーやヴァローナ、ベルギーからはフリューベルやベルコラーデ、スイスからはカルマ、リンツ、イタリアのイカム、ベネズエラのエルレイ、コロンビアのルカカカオなど、世界各国の10社15種類以上のチョコレートを、エグゼクティブペストリーシェフの鈴木一夫さんがスイーツに仕立てます。
チョコレートデザートを心ゆくまで!
チョコレートがお好きな方なら、美味しいチョコレートのデザートを色々と少しずつ、たくさんいただきたい気分の時、ありますよね。そしてその場所が、美しいチョコレートデザートにふさわしいエレガントな空間であればなおのこと。私もブレックファストやランチに時々利用させていただく、インターナショナルブッフェレストラン「ザ・テラス」は、広々とした格調高い大人の空間。私はどんなものでも、いただく空間や環境によって感じ方が変わると思うのですが、こういった場所でチョコレートをいただけることが大きな魅力のひとつだと思います。
「ワールドチョコレート・デザートブッフェ」は4月、5月、6月、と3ヶ月間開催されますが、ひと月ごとに全てのデザートがチェンジするのもうれしい驚き。
4月に提供される25種類のデザートの中から、一足先にいくつかご紹介いたしましょう。
ナチュラル ガナッシュ
3種類のチョコレートでつくられた、小さなグラスにはいった3種類のガナッシュ。ほとんど水だけを使って作っているので、味わいすっきり、香りもはっきり。ふんわりエアリーな口どけと、生クリームをごく少量しか使わない軽やかさ。チョコレートそのものがお好きな方は、きっとたまらないはずです。
ガナッシュ3種類をチョコレートと一緒に並べてみました。
左から、ベリーがのったグラスはヴァローナ社のグアナラ70%、真ん中のブラックペッパーが添えられたグラスはカカオバリー社のオコア70%、右のラムレーズンとアプリコットがのったグラスはヴェイス社のギャラクシーノワール67%。上にあしらわれたトッピングとチョコレートの風味の調和をぜひ体験してください(5月、6月は3種ともにチョコレートが変わります)。
フォンダンショコラとシトラスフルーツのガスパチョ
2段に重ねられた小さなグラスのデザート。下にはフォンダンショコラ、上にはグレープフルーツ、レモン、オレンジ、ライムをジューサーミキサーにかけて作ったシェフ特製のジュースが入っています(美味しいんですよ、このジュースがとっても! 残ったらシャンパーニュに入れてシャンパンカクテルにしたいくらい)。
こんなふうにジュースをかけていただくのですが、このジュースには4種類の柑橘の香りがぎゅっと凝縮。その酸味と苦味が、チョコレートのスイートさと噛みしめたときに味わえるカカオニブの同じく酸味・苦味と調和して、心地良い苦味の余韻が長く、私はとても好きでした。
トマトとカシスのマリネとチョコレートクリーム
チョコレートと赤いベリーの組み合わせ!? と思いきや、なんとプチトマト。カシスやクランベリーにまじってカットしたプチトマト、そしてラズベリーソースが香り豊か。
このトマトとベリーたちの下には、赤いベリーのような香りとフルーティな酸味を持つヴァローナ社のマンジャリ64%を使ったチョコレートのクリームが入っています。
グラスに仕上げたザッハトルテ
こちらは、オーストリアの伝統的なお菓子「ザッハトルテ」の再構築。 プチサイズに焼いたザッハ生地の下には、ドライアプリコットとシロップ漬けのアプリコット、そしてアプリコットのピューレ、ジャム、さらには杏を使った杏露酒まで使うというこだわりよう。トップにあしらわれているのはスコーン生地のクランブル。
マンゴーとミルクチョコレートのマーブル
加えてもうひとつ、オレンジ色がきれいなデザートが目をひきます。右のデザートはマンゴーとミルクチョコレートのマリアージュ。
カットしたフレッシュマンゴーとマンゴーピューレをミックスした、マンゴーソースをとろりと注ぎいれます。
そしてスプーンでくるりとまわすとマーブル模様に。マンゴーとミルクチョコレートがとろりと溶けあって、なんて幸せになれる味なのでしょう!(と、私はつい鈴木シェフを見つめて訴えかけてしまいました)。これはついつい食べすぎてしまいそう。魅惑の一品です。
たくさんのチョコレートデザートが!
他にもたくさんのチョコレートを使ったデザートがあります。使っているチョコレートとともに並べてみました。イタリア イカム社のレッジーナ61%を使ったチョコレートクリームにラムレーズン、マスカルポーネのクリームをあわせています。
左から、レモンとライムの皮を加えて焼き上げラッピングされた「レモンとライムのブラウニー」、チョコレートクリームに一味唐辛子、ジンジャーパウダー、ブラックペッパーをやさしくきかせた「スパイシーショコラ」、胡桃が香ばしくチョコチップをたっぷり加えて焼いた「チョコレートとくるみのマフィン」。そして手前は、アーモンドパウダーをたっぷり使い、しっとりと焼き上げた「クグロフショコラ」。
お一人に一つずつ、テーブルに熱々のスフレが届きます。4月のスフレはオレンジ風味。5月、6月は別のフレーバーが登場します。
上段右から2つめのグラスに入った白いデザートは「ココナッツとホワイトチョコレートのブランマンジェ」。ココナッツミルクとホワイトチョコレートを溶かし、パッションフルーツとタピオカをあわせています。
鈴木一夫シェフにインタビュー
1ヶ月に25種類、3ヶ月で75種類のチョコレートデザートを作る、ウェスティンホテル東京 エグゼクティブペストリーシェフ 鈴木一夫さんにお話を伺いました。Q.春にチョコレートブッフェを3ヶ月間も続けて行うのは何故ですか?
「春に行う理由は、2月、3月のチョコレートのシーズンからあえて時期をずらすことで、他ともかぶりませんし、お客様にもゆっくりチョコレートを楽しんでいただけると考えたからです。チョコレートのブッフェは今年で3年目。1年目は3月と4月、2年目は5月と6月の2ヶ月間の開催でした。今年が4月、5月、6月の3ヶ月間になったのは、チョコレートブッフェは大変人気が高く、昨年はご予約を受けられずにお越しいただけなかった方が多かったからです。今年は少しでも多くの方にお越しいただけるよう期間をのばしました」
Q.ブッフェのデザートと通常のお菓子では、工夫するポイントの違いはありますか?
「ブッフェは少しずつたくさんの種類を楽しむものなので、まずはサイズを小さくすることです。ただ、小さすぎると味がわからなくなるのでギリギリのサイズを決めます。そして糖度を上げすぎない。中には上げているものもありますが、全部ではないです。油脂も砂糖と同様におさえます。器のバリエーションや見た目、温度のバランスも大事ですが、実はとても大切なのは、ウェスティンホテル東京のこの空間にあわせたイメージのデザインにしている、ということです」
Q. このブッフェのために選んだチョコレートの基準を教えて下さい。
「多くのチョコレートを試していますが、ブッフェ向けには個性はあっても、あまり個性が強すぎるものは使いません。また全種類のデザートに相性のよい素材をワンポイントにあしらうので、組み合わせたい素材とのバランスでチョコレートを選ぶこともあります。最終的に自分が気に入っているものはよく使いますね」
Q.高級ホテルのレストランという空間でのチョコレートブッフェ。どんな楽しみ方をしてほしいですか?
「お越しいただいた方はわかると思いますが『ザ・テラス』は大人の空間ですから、チョコレートのデザートも落ち着いて、ゆっくり召しあがっていただきたいです。チョコレート以外のデザートも含めて全部で約40種類くらいをご用意していますが、実際お召し上がりいただけるのは、やっぱり20種類くらいだと思いますよ(笑)。きれいにお皿に盛ってテーブルに運んで下さっているのを見るとうれしいです。充分数はご用意しているので、ゆっくりお楽しみください」
……そうですね。高級ホテルには、ホテルの空間をゆっくり楽しむお客さまが多くいらっしゃいます。焦ってお皿に山盛りにしたりせず(笑)、繊細なチョコレートのデザートを楽しみましょう!
4月、5月、6月と1ヶ月ごとに全てのチョコレートのデザートが入れ替わります。バレンタインデー、ホワイトデーが終わり、チョコレートフィーバーがおさまったこの時期に、チョコレートのデザートを楽しんでみてはいかがですか?
DATA
ワールドチョコレート・デザートブッフェ
開催期間: 2016年4月1日(金)~6月30日(木) ※平日限定
時間: 15:00~17:00
場所: インターナショナルブッフェレストラン「ザ・テラス」1階
料金: 3,500円 ※税金・サービス料別
※チョコレートデザートをはじめ、他のスイーツ、サラダやパスタ、サンドイッチなどの他、約20種類のドリンクがおかわり自由
※1ヶ月ごとに、チョコレートのデザートは全て入れ替わります。
※人気が高いため、4月、5月は予約分の席はほぼ満席ですが、毎日、当日分の席は必ず用意されています。詳しくは下記電話番号にお問い合わせください。
●予約・問い合わせ
インターナショナルブッフェレストラン「ザ・テラス」
TEL: 03-5423-7778 (6:30~23:00)
ウェスティンホテル東京WEBサイト