疲労とは?
疲れたと感じたことはありませんか?
たとえば、疲労物質が溜まるとヘルペスウイルスの一種であるHHVが再活性化して、唾液中のウイルスが増えると報告されています(近藤一博先生の報告)。体が弱っているときにヘルペスウイルス性口内炎が出たりするのは、これに似た状態になっていると推察できます。こういったことを防ぐため、動物は「疲れた」と自覚することで、本能的に疲労を避けようとしているのです。
疲労を医学的に定義すると、「過度の肉体的および精神的活動、または病気によって生じた不快感と休養を望む気持ちを持って、カラダの活動能力の低下してしまっている状態」となります。
精神性疲労・運動性疲労・感染性疲労の3種類があり、それぞれ神経細胞・筋肉細胞・免疫細胞がオーバーワークになることで起こります。
疲労のメカニズム
疲労は不快感と休養を求める欲求で、脳で自覚することで疲労感になります。具体的には、以下のような流れです。- 過度の肉体的・精神的な活動によって、酸素が多く消費されます
- 酸素の消費で、活性酸素が発生します
- 活性酸素が細胞のエネルギーを作り出す状態を低下させ、細胞を傷つけます
- 細胞からの老廃物が発生します
- この老廃物に疲労物質が含まれていて、それが脳への疲労シグナルになります
- さらに、細胞が傷つくことで、細胞や組織の機能が低下します
- 細胞が壊れることで、免疫細胞が壊れた細胞を処理します
- 免疫細胞が関わることで、様々な症状が出てきます。 たとえば、微熱や体の痛み(筋肉痛、咽頭痛、関節痛など)・倦怠感・意欲低下などが見られます
疲労を感じるのは、脳の自律神経の中心である視床下部と前帯状回と呼ばれる部分です。この視床下部・前帯状回は、心拍数・呼吸数・体温管理などを行う役割があり、ストレスやリラックスのバランスを調節しています。
疲労を感じたら
疲労感は身体の危険信号ですから、疲れたら休むのが基本です。しかし、ヒトでは疲労しても疲労感を感じないことがあります。これは、前頭葉で神経を活発にする物質(ドーパミン・β-エンドルフィン)が意欲を高めてしまい、疲労感を感じにくくしていることが原因です。適度の疲労感が達成感に変わってしまい、つい無理をしてしまうために過労死につながってしまいます。疲れたら、少しでも休みましょう。横になるだけで、筋肉の緊張が和らぎます
睡眠でもいびきなどによって呼吸が十分でないと、呼吸するエネルギー量が必要になり、心拍数や血圧が上がります。
疲労感が取れない時には睡眠に問題があることが多いので、見直してみた方がよいでしょう。
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また、活性酸素を抑えることで疲労回復になります。その意味で、カテキン・ポリフェノール・ビタミンC・ビタミンE・βカロチンなどをしっかりと摂取し、ゆっくりしっかり咬むことで、唾液に含まれるペルオキシダーゼが活性酸素を抑えてくれます。
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生活が困難になるほど強い疲労を感じる「慢性疲労症候群」
慢性疲労といわれる状態では、疲れが長期間続くこともあります。ただ、これは日常生活に特に支障をきたさない程度の、ごく軽い疲労症状です。ふつうは休息すれば回復することができます。しかし、慢性疲労症候群という病では、生活が著しく損なわれるような強い疲労感・筋肉痛・関節痛・頭痛・咽頭痛・睡眠障害・精神障害・脳機能障害などの主な症状が、少なくとも6ヵ月以上続くまたは繰り返します。
慢性疲労症候群では、自律神経の中枢である「前帯状回」、意欲に関わる「前頭葉」、記憶に関わる「側頭葉」、視覚に関わる「後頭葉」と呼ばれる脳への血液量が低下していたという報告があります。
原因として考えられているのは以下の通りです。
- 生活環境のストレス…精神的ストレス(人間関係のあつれきなど)、身体的ストトレス(長時間残業、過度の運動など)、物理的ストレス(紫外線、騒音、温熱環境など)、化学的ストレス(ホルムアルデヒドなどの化学物質)、生物学的ストレス(ウイルス、細菌、寄生虫など)など
- 遺伝的な背景…ストレスに対する感受性や抵抗性の違い
- 感染症…Epstein-Barr(EB)ウイルス、エンテロウイルスなどの関与やクラミジア、マイコプラズマ、コクシエラ、トキソプラズマ、カンジダなどの感染症
- 免疫の異常…免疫が過剰な状態になったり、低下したりする
- 体内のステロイドなどを中心としたホルモンの異常
- 脳および神経機能異常
疲労は身体にとって、休めと言うサイン。可能な限り、素直に休息を取りたいものです。