なかでもスペシャルコレクションであるチョコレートボックス「ゴールド コレクション アニベルセル」は、ゴディバの歴史を象徴するチョコレートがセットされた、注目すべきコレクションです。
90年を迎えたゴディバ
コレクションの紹介の前に、ゴディバが創業した頃のことからお話します。ゴディバは、ベルギーのショコラティエ、ピエール・ドラップス氏が、ブリュッセルにある自宅の地下室でチョコレートを作り始めたことから始まります。それは1926年のことでした。「祖父は、どんな時にもチョコレートのことを考えていました。常にチョコレートへの情熱を持ち続け、そして優れたクリエイティビティ持った、チョコレートに人生を捧げた人でした。」ドラップス氏の孫にあたるPeggy Van Lierdeさんに2月にブリュッセルで実際にお目にかかり、直接伺った言葉です。
創業当時は「ゴディバ」ではなく「ショコラトリ-・ドラップス」というお店でした。
1937年にドラップス氏が亡くなったあとは、4人の子どもたちが家業を守り、1945年には「ショコラトリー・ドラップス」という名前を「ゴディバ」に変えて、ブリュッセルに第一号店をオープン。 創業者の次男が「ゴディバ」の初代シェフとなりました。
その後、1948年にはブリュッセルのグランプラスに旗艦店をオープン。
季節ごとの美しいディスプレイやラッピング。そしてクリエイティブなチョコレートを次々と発表した「ゴディバ」は瞬く間にベルギー中で評判となりました。1968年には正式にベルギー王室御用達ブランドとなり、1972年には日本をはじめニューヨーク5番街にもショップがオープン。現在は100ヶ国以上、約600店舗を展開する世界的なチョコレートブランドに成長しています。
ゴールド コレクション アニベルセル
90年という、長い時の流れの中で生まれた数々のチョコレートたち。その中から、8種類の時代ごとの一粒、そして新作を加えたのが2016年に販売となる「ゴールド コレクション アニベルセル」です。ゴディバの象徴であるレディ・ゴディバのデザインを施した「レディ ノア」から、2016年の最新作「エジェリ ノア」まで、ゴディバの歴史と今がわかる、全9種類。
9個入りと、各種2粒ずつ入った18個入りのボックスがあります。
パッケージデザインはベルギー出身のアーティスト オリ・ビー(Oli-B)が手がけています。斜めにかけたゴールドのリボン、そしてゴールドを基調としたはじけるように大胆なデザイン。私にはこれからのゴディバの未来を祝福する花火のように見えます!
それではここからは、ゴディバのチョコレートの歴史ともいえるチョコレートのラインナップをご紹介しますね。
レディ ノア (1926年)
1926年当時のレシピを元にし、ゴディバのシンボルでもあるレディ・ゴディバのデザインを施したチョコレートです。マダガスカル産バニラを使用したホワイトチョコレートガナッシュを、ダークチョコレートが包んでいます。ドラップス氏の孫にあたるPeggyさんによると、ドラップス氏はバニラに非常に造形が深く、チョコレートには必ずバニラを合わせることを考えていたそうです。
1926年といえば、大正15年であり、昭和元年。食生活が多様化し、甘さ控えめのものが好まれる傾向がある現在とは異なり、手作りの甘いチョコレートが高級品であった当時。バニラの香りの甘い一粒チョコレートは、どれだけ多くの方を幸せにしたことでしょう。
シグネチャー レ(1939年)
1939年に製作されたアメリカ映画「風と共に去りぬ」のために作られたのがこのチョコレート。コーヒー風味のガナッシュをミルクチョコレートで包んでいます。ヒロインであるスカーレット・オハラの帽子の羽をモチーフにしたデザインです。先日、ブリュッセルにあるファクトリーで製造工程を特別に見学させていただきましたが、この羽の模様は全て手作業で描かれています。
広々とした清潔なファクトリーで、女性たちが丁寧にひとつひとつ、チョコレートを使って羽の模様を描いていました。人によって少しずつ模様が異なり、それも手作りのチョコレートらしい、1930年代当時の風情を伝えています。
クール ブラン (1945年)
「ベルギーの心(ハート)」と呼ばれるブリュッセルに、「ゴディバ」第一号店をオープンしたことを記念して作られた一粒。ヘーゼルナッツのプラリネをハートの型のホワイトチョコレートで包んだ一粒。同じ型で作ったチョコレートを2つ合わせる「ブックモールディング」によって作られています。
ノブレス (1959年)
ドラップス家は休日によくイタリアを訪れたそうです。イタリアのチョコレートからインスピレーションを受けてできたのがこちら。ゴールドの包みの中は、ヘーゼルナッツプラリネとミルクチョコレートを練り合わせたもの。ロゴをあしらったゴールドの包みが美しい、ジャンドゥーヤをエレガントに解釈したゴディバならではのスタイルです。
エキュソン (1968年)
1968年にベルギー王室御用達ブランドとして認定されたことを記念して作られた「エキュソン」。ライオンはベルギーの象徴。大ぶりで存在感のあるミルクチョコレートをかりっとかじると中からキャラメルがとろりと流れだし、しっかりとした甘さを感じる一粒です。
これまでの5粒はしっかりと甘さを感じるチョコレートのラインナップ。これ以降は少しずつ甘さが控えめになっていくことを感じられるでしょう。
ニッポン (1972年)
ゴディバが日本に初出店したのは1972年のこと。日本初上陸を記念して作られたのが「ニッポン」です。ヘーゼルナッツプラリネにかりっとしたライスパフを入れ込み、アクセントに。ダークチョコレートコーティングを施し、底とラインにミルクチョコレートを使っています。
アズテック (1992年)
アメリカ大陸発見から500年である1992年に、アステカ文明に敬意を表してゴディバが開発した一粒。甘さをおさえたふわりとクリーミーなガナッシュをダークチョコレートで包んでいます。チョコレートの原料である、カカオという素材そのものを主役にし、敬意を示した一粒といえるでしょう。
ムースメレンゲ ショコラ (2015年)
「対比と調和」をテーマにして2015年に作られた一粒です。
エジェノリ ノア (2016年)新作
最新作は、ゴディバ誕生90周年を彩るフレーバー「ラズベリー&ローズ」をテーマに作られたチョコレートです。9粒のラインナップの中では唯一、フルーツと花の香り。ラズベリーガナッシュにローズの香りをあわせた華やかなチョコレートは、甘さも香りもしっかり。ゴディバのチョコレートの華やかさ、甘美さが現れています。
9粒のラインナップのうち「レディ ノア」から「エキュソン」までは、トラディショナルなしっかりと甘さのある一粒。「ニッポン」は日本を意識したこともあるのでしょう、やや甘さが抑えめに。そして「アズテック」「ムースメレンゲ ショコラ」は甘さを控えたうえで、食感の対比やカカオ自体を主役に。このボックスからは、ゴディバがドラップス氏の時代から続く伝統を大切に守りながらも、時代に合わせて進化していることも感じられます。
トラディショナルな「レディ ノア」「シグネチャー レ」をはじめ、「ノブレス」「エキュソン」「エジェリ ノア」は、私はシングルモルトとの相性がとてもよいと思いました。「エジェリ ノア」はベルギービールをはじめ、クラフトビールとの相性も良さそう。「クール ブラン」「ニッポン」はエスプレッソと合わせていただきました。
ゴディバならではの、90年間の時代の味や記憶が込められたチョコレートの数々を、このボックスで体験してみてください。そしてドリンクと合わせたり、ギフトにしたり。新しいあなただけの楽しみ方を見つけるのも進化。そんな付き合い方も素敵だと思います。
DATA
ゴールド コレクション アニベルセル
販売期間:2016年3月16日 (水)~12月31日 (土)
価格: 9粒入 3,240円、18粒入 6,480円
販売場所:全国有名百貨店内ゴディバショップ及びゴディバ専門店