ドラムンベースの先駆け
ガイド:1996年の『NIGHT CRUISING EP』は、日本でドラムンベースを取り入れた先駆け的作品とされていますが、ドラムンベースとの出会いは何だったのでしょう?
NIGHT CRUISING EP (Discogs)
Secret Jungle (YouTube)
サワサキ:
実は、R&Sや日本のサブライム、トランソニックなど、クラブやDJカルチャーのレーベルから出してるにもかかわらず、僕は当時、全然DJ稼業をしてなかったんです。やったことは何度もあったんですが、「僕はクリエーターなんで、人の曲をかけるDJなんて、どうなんかなあ」って気持ちが強くて。そうこうしてる時に、サブライム主宰の山崎さん(DJ YAMA)が「今、イギリスではドラムンベースとかジャングルがすごいんだよ!ロック好きなサワサキくんだったら、ドラムンベース、絶対ハマると思うよ。ドラムンベースを作ったりDJしてる人、日本じゃまだいないから絶対いいよ!」と、ガンガン聴かせてくれたんですよ。
で、その時丁度、ロンドン帰りのDJ FORCEくんと知りあって、ドラムンベースのアナログをごっそり持って帰ってきて、そこで意気投合して、ドラムンベースならDJやってもなんかいいかも、と思いだしたんです。でも、まだほとんど知られてないドラムンベースなんで、都内のどこのクラブでもやらせてもらえる感じはなくて、吉祥寺のクラブでドラムンベース、ジャングルオンリーのパーティーをやり始めたんです。たぶん日本で初のドラムンベースのパーティーだったのかも。
で、僕はドラムンベースにマイルスデイビスのLIVE EVILとか、MAGMAのアタックとかをつなぐ、とかそういうプログレとか70年代ロックとの融合が成しうる、ってことがかなり自分の中でワクワクしまくりで、そこからドンドンとドラムンベースDJやドラムンベース制作にハマっていった感じですね。ドラムンベースとかDJの道に導いてくれたDJ YAMAさんには今でもほんと感謝してるんです。
今思うとアホだったなあ
ガイド:2000年にアルバム『Presents Dr. YS & The Cosmic Drunkards』をリリース。デビュー以来、Techno The Gong、Meditation Y.S.、Doctor YS & the Cosmic Drunkardsなど名義がコロコロと変わってきていますが、これはその時の気分とか(笑)?
Presents Dr. YS & The Cosmic Drunkards (Discogs)
Presents Dr. YS & The Cosmic Drunkards
サワサキ:
名義で作風を変えてた、とか実は全然なくて、ほんと気分というか、名前とか作品名とか、どっちなん?わけわからん?ってのが面白いなあと思ってたんです。でも、今思うとアホだったなあと思ってるんですよ。ずーっとサワサキヨシヒロ名義だったら、レコード屋さんのカタログとか棚も「サワサキヨシヒロ」の作品で統一出来て売りやすかっただろなあと(笑)。