刺激にもなった電子音楽部
ガイド:では、ディスク2に行きましょう。『Signal/Noise』(2011年)以降のソロ作については、今までのインタヴューでかなり教えてもらったので、新曲も含めてそれ以外の部分を中心に伺いたいと思います。オムニバスアルバム『電子音楽部』(2010年)からは、「Raindrops Keep Fallin' On My Desktop」のExtendedヴァージョン。電子音楽部は、中野さんに加えて、FLOPPYの小林写楽さん・戸田宏武さん、soyuz projectの福間創さん、そして三浦俊一さんの5名からなる「部」と理解しますが、ここでの活動はソロとしての本格始動へのきっかけとなったのでしょうか?
電子音楽部 (amazon.co.jp)
電子音楽部 (ナタリー)
中野:
動きとして自分の中で大きなきっかけになったのはその前年のイベント「DRIVE TO 2010」への出演でしょうか。そこからいくつかのイベント出演、自主制作CD-R「Pilot Run」等のリリースを経て2010年のワンマンへとつながった流れ。その後の『電子音楽部』への参加から現在のマネジメントになり、環境的にも整っていきました。戸田君にはリミックスをしてもらったり、写楽君には前作『Swing』にチップチューンで参加してもらいました。そういったアーティスト達のする“イイ仕事”は刺激にもなりますね。
Signal/Noise (amazon.co.jp)
Oscillator and Spaceship (amazon.co.jp)
Deep Architecture (amazon.co.jp)
Swing (amazon.co.jp)
なんとなく耳にしていた「今夜はブギー・バック」
ガイド:中野さんは結構意表をついたカヴァーをしますよね(笑)。アルバム『Deep Architecture』に収録されたThe Stalinの「ロマンチスト」とか。今回は、小沢健二 featuring スチャダラパー(またはスチャダラパー featuring 小沢健二)の「今夜はブギー・バック」! 1994年のヒット曲で、ちょうどJ-RAPなどという言葉もありました。中野電子音流だけど、同時にストレートにヒップホップしていますね。これは原体験とかあった曲なのでしょうか?
中野:
当時はなんとなく耳にしていたくらいだったと思います。いい曲なので印象にはあったのでしょうね。その記憶が2014年12月のワンマンの準備中、ブレイクビーツを選んでいる時に突然降ってきたという感じです。ライヴで一度だけ披露してそのまま寝かせておいたんですね。ちゃんと作り込み、音源として発表できる機会をうかがっていました。ソロではブレイクビーツの使用、特に2010年以降はCDJなどの機材やボイスの使い方などヒップホップ的なアプローチもしていましたので、自分としてはすんなり取り込めたという感じです。
フラメンコのステップに引き寄せられた
ガイド:「IDは異邦人」は、異種交配度が素晴らしいラテン系電子ポップ。実は、中南米のテクノポップが好きで、個人的にはツボです。一見、ラテン系には見えない中野さんですが、好きなラテン音楽などあれば、教えてください。
中野:
すみません、実はラテン音楽にはそんなに詳しくないのです(笑)。たまたまフラメンコのステップに引き寄せられたという。
東名阪でツアー
ガイド:東名阪でツアーも予定されているとのこと。中野さんのライヴは仕掛けもあって、楽しみです。見所・聴き所などありましたら、ヒントをください。
中野:
6~7月の東名阪は20周年の記念のツアーということで、それにふさわしいセットリストになると思います。各地ともワンマン公演です。曲に演奏、パフォーマンスの全てをたっぷり楽しんでもらえたらと思います。たくさんのお越しをお待ちしています。
中野テルヲ Official Website