巻き爪、陥入爪の原因と対策

爪の横方向の湾曲が強くなる巻き爪や、爪の側縁が外側の皮膚に食い込み痛みや炎症を起こす陥入爪は、形成外科の日常診療の中でもとても多く見られます。日本人の10人に1人は巻き爪であると言われているほどです。

巻き爪により痛み・炎症を起こす

巻き爪により痛み・炎症を起こす

これらの予防のためには悪化した原因を知る必要がありますが、巻き爪の原因はたくさんあるため、時にハッキリと分からないこともあります。しかし、その中でも「これはよくない!」と分かっているものがあるので、それぞれを順に挙げて予防法を解説いたします。

■原因
  • パンプス・ハイヒールを日常的に履いている
  • 先の細く尖った靴や、幅が狭い、またはサイズが小さすぎる靴を履いている
  • 幅が広すぎる、または大きすぎる靴を履いている

巻き爪の原因としてまず第一に挙がるのは「靴」です。巻き爪は男性よりも女性に多いと言われていますが、原因で一番に思いつくのは女性の先の尖ったハイヒールでしょうか。パンプスや窮屈な靴による圧迫も痛みや巻き爪を招きますが、逆に大きすぎる靴も、歩くと靴の中で足が前に滑り、つま先ばかりに負担がかかってしまいます。

■対策
靴は大きすぎても小さすぎてもいけません。以下の点が満たされているか、確認してみましょう。

  • 踵がしっかりと固定され、足の甲も保持されていること
  • 全てのゆびが靴の中でしっかりと着地をし、十分に動かせる程度のゆとりがあること(ゆび先に0.5~1cmのゆとりが必要)
  • 中敷き(インソール)が土踏まずの形にあっていること

こうした条件を挙げてみると、巻き爪対策の靴はおしゃれなハイヒールとは真逆のものです。そもそも、ハイヒールは足を美しく見せるためのもので、歩行には不向きです。違和感や痛みを感じるものを履いている限り、巻き爪は悪化します。診療の現場でも、身なりをキレイに整えているのに、足のアーチが崩れ、豆だらけで、外反母趾や巻き爪の痛みで悲鳴をあげている女性をたくさん拝見します。

陥入爪undefined爪が皮膚に食い込み痛みや腫れ、不良肉芽を伴う

陥入爪 爪が皮膚に食い込み痛みや腫れ、不良肉芽を伴う

巻き爪・陥入爪、扁平足、外反母趾・内反小趾、強剛母趾、ハンマートゥー、タコ・ウオノメ……ハイヒールは足全体の変形の元で、トラブルは挙げればキリがありません。足の骨格構造が崩れることで体の他の部分に負担がかかり、膝痛・腰痛・肩こり・頭痛など、あちこちに不調も出てくることも少なくないのです。

今日、明日に突然痛みが出るわけではないので、なかなか分かりづらいかも知れません。仕事でやむを得ずハイヒールを履かなくてはいけないかも知れません。時には可愛らしいデザインのハイヒールを履きたいかもしれません。しかし、そんな時はぜひこれらのことを思い出してください。

  • 履く時間は最小限に留める
    ハイヒールとストッキングを履いている時間は、指先は窮屈に圧迫されて、巻き爪を作り続けている時間になってしまいます。ですから、例えばハイヒールを仕事やパーティーなどで履くときは、履きなれた靴も用意し、行き帰りはそれを履くと言った具合にすると良いと思います
  • ヒールの高さは2~3cmまでとし、太く安定性のあるデザインとすること
    足の甲や足首にも安定性がある、例えばショートブーツのような形のものも良いでしょう
  • 中敷き(インソール)が土踏まずの形に合っていること
    ぺったんこシューズであればなんでも良いわけではありません。また靴底も薄っぺらで滑りやすいものではなく、適度な厚みや硬さがあることなどが大切です

歩行

■原因
  • 長時間の歩行や走行、足のゆびに大きな負担のかかるスポーツを頻回に行う
  • なんらかの理由で長期間歩けない、または歩行不足で足裏から十分な圧がかかることがない

バレエ

足や足の前方に過度の負担がかかる運動も、痛みの原因となります

巻き爪の原因、第二に挙げられるのは「歩行」です。長時間足に負荷がかかるマラソンやウォーキング、また足の前方に負担がかかりやすいクラシックバレエ・テニス・バトミントン・登山(特に山を下るとき)などの運動は痛みの原因となります。

また反対に、足裏から十分な負荷がかからないことも問題です。切ったあとの爪を見ると、クルンと丸まっていることに気がついたことはありませんか?

爪は放っておくと自然に内側に湾曲してくる性質があり、普段は歩行による足裏からの力と、爪が湾曲しようとする力が均等に保たれています。しかし、ひとたび歩行による足裏からの圧力がかからなくなると、そのバランスが崩れ、巻き爪が悪化すると言われています。寝たきり状態で歩くことがない方に巻き爪が多いことが指摘されていますが、理由はこの性質のせいだという説もあります。

寝たきり状態でなくても、加齢や筋力低下とともに太ももの内側の筋力が低下し、ガニ股歩きになることがあります。すると親ゆび側は少ししか地面に着地していないため、もともとの爪が巻こうとする性質が出てきて、徐々に巻き爪となります。巻き爪になり痛みが出てくると、ますます地面に着地できず、さらに爪は巻き、悪循環となるわけです。

また、ケガなどで爪の下に血や液体が溜まると、爪がゆびから浮いた状態が続きます。すると、足裏からの圧が爪の下の血や液体に妨げられて伝わりづらくなるので、爪が横方向に巻く傾向にあるようです。

■対策
靴底の外側ばかりが擦り減っていたり、片側ばかり擦り減っていたりしていませんか?すでに痛みが出ている場合は病院受診をおすすめしますが、痛みが出る前であれば、正しい姿勢と歩き方で毎日適度な運動をしましょう。巻き爪治療後の再発予防にも正しい歩き方はとても大切です。

次ページでは、巻き爪を引き起こす「爪の切り方」やその他の原因を解説いたします。