新型栄養失調とは…栄養過多と栄養失調のハイブリッド
新型栄養失調になると疲れやすい、風邪をひきやすいといった不調を引き起こしてしまいます
新型栄養失調とは、食事による「エネルギー」は足りているのに、タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維など特定の栄養素が不足している状態のこと。「○○だけ」「○○抜き」などの偏ったダイエットや、コンビニやファストフードばかりの食生活などが原因となり、疲れやすい・風邪をひきやすい・肩が凝るなどの体調不良を引き起こしてしまうのです。
新型栄養失調になりやすい人の傾向
もともと新型栄養失調は、体を動かす機会が少なくなり、食が細くなってきた高齢者が「飽食の時代に日本で飢餓状態になっていること」を指す言葉として生まれました。高齢者の場合、胃もたれやコレステロールを気にして肉や魚を避ける、視覚の変化により野菜類を食べなくなる、特定のものばかりを食べ続けてしまうなどの問題があります。しかし最近では、若い人の間でも偏食が原因となり新型栄養失調にかかるパターンが増えています。以下にあてはまる例を挙げてみましょう。
■ダイエット中の女性
炭水化物を極端に減らす低糖質ダイエット、○○だけダイエット等の過酷なダイエットを行っている人も多く、高齢者と同じように栄養素が偏りがちです。「野菜中心に食べている」など、一見健康的に見える食事であっても、偏食になっていれば新型栄養失調やその予備軍です。
また、ダイエット中は「食事をガマンした」という気持ちが強くなります。「ガマンしたご褒美におやつを食べよう」などとチョコレートやシュークリームなど糖質・脂質の多いものに手がのびてしまう人も多いものです。これも残念ながら、栄養素が偏ってしまい、新型栄養失調の原因になります。
■多忙なビジネスマン
ダイエットをしているわけでもありませんし、食べる量を制限しているわけでもありません。しかし、残業つづきで多忙を極めるビジネスマンには時間がありません。そのため、朝はギリギリまで寝ていて朝食抜き、昼休みは仮眠もとりたいので食事は立ち食いそばや牛丼屋でさっと済ませたい、夕食も忙しいのでコンビニ弁当やカップラーメンで済ませるといった人も多いのではないでしょうか。このような食生活ではどうしても栄養が偏ってしまい、疲れがたまって実力を十分に発揮することができません。
新型栄養失調の症状とは
新型栄養失調の症状にはさまざまなものがあります。- 必要以上に痩せてしまう
- 疲れが抜けない
- めまいがする
- 頭痛がする
- 風邪をひきやすい
- 肩こりや腰痛がひどくなる
- イライラする
- 転びやすくなる
- 少し動くと動悸や息切れがする
- 足がむくむ
- 髪が細くなったり、抜けやすくなる
- 爪が割れやすくなる
- ケガが治りにくくなる
- 不眠になる
- 慢性的な眠気に襲われる
- 食事が美味しくなくなる(味覚障害が起こる)
新型栄養失調の検査法・診断法・セルフチェック法
栄養が不足しているかどうかについては、病院等では血液検査のアルブミン値で検討することが一般的です。しかし、栄養失調かどうかを確かめるためだけに血液検査を受けに病院へ行く必要はありません。自分でもできる簡単な方法があります。
- むくみのない状態でふくらはぎを両手の親指と人差し指で囲い、指が届くかどうか
新型栄養失調の予防法
新型栄養失調は「特定の栄養素」の不足によって起こります。ダイエット中であっても、栄養のバランスが悪ければ思っていたようなスタイルへのダイエットはできませんし、疲れた状態で残業をしても時間がかかり効率の悪いものになってしまいます。食生活のよくありがちなパターンとその対応策は以下の一覧表で確認して下さい。この一覧表は、主にダイエット中の女性とビジネスマン向けのものです。高齢者の場合は自己判断ではなく、ケアマネージャーや栄養士に指導を受け、どのような食品で補えば食べられるのかを個別に検討して下さい。
「ちょっと疲れているな」と思ったら、そのときはすでに新型栄養失調にかかっているものとして対応するのがよいと思います。早め早めの対応でいきいきとした生活を送りましょう。
健康的な食生活のコツについてもっと知りたい方は、「あなたが思う食事の適量は、体の適量ではない?」「勤務時間の不規則な人が健康的な生活を送るには」「栄養学的に疲れを回復させるアドバイス」記事もあわせてご覧ください。