神戸グルメ/神戸・兵庫のフレンチ

「ジル」から「タカ」へ!メゾン・ド・タカ芦屋、誕生(2ページ目)

あの「メゾン・ド・ジル 芦屋」が生まれ変わり、高山シェフの名を冠した「メゾン・ド・タカ 芦屋」に! 今回は高山シェフの新コンセプトの元でリニューアルしたインテリアから地元野菜をたっぷりと使ったコース料理まで、たっぷり詳しく御紹介していきます。

執筆者:麻生 玲央

「ナチュール」と名付けられた野菜コースより

メニューリスト

印字入りのメニュー。

ユーカリの葉が置かれたテーブルで渡されるメニューの表紙はなんと紙のように薄い木製! 2015年のボキューズ・ドール国際料理コンクール「Bocuse d'Or」に日本代表として出場し、決勝ラウンドに進んだ記念の印字が施されています。

現在、基本的なメニューはランチが4,500円~16,500円、ディナーが8,300円~20,500円(全て税サ別)となっており、メニュー更新は月替り。ただ、高山シェフが力を入れる島中農園さんの野菜を中心としたコースは「まず野菜ありき」のため野菜の旬に合わせたペースでのメニュー更新となるそうです。

それでは、高山シェフが選んだ「旬の野菜」を中心にしたランチコース「ナチュール」(5,800円税サ別)から御紹介していきます。


・アミューズブーシュ(一皿目)
3種類のフィンガーフード

3種類のフィンガーフード

まず、一皿目のアミューズブーシュとして登場するのは啓翁桜で彩られた「フィンガーフード」盛り合わせ。内容は「フォアグラと鴨のテリーヌ」、「パルミジャーノ・レッジャーノのバヴァロア」、「オニオングラタンスープの再構築」の3種となっており、職人仕事とも言える丁寧で時間をかけた料理の数々は実に素晴らしい完成度。

ルックスは「和」を感じますが、料理はしっかりとしたフランス料理という、現在の高山シェフがイメージされる料理世界を具現化したような、見た目にも味わい的にも美しいアミューズブーシュでした。


・アミューズブーシュ(二皿目)
アミューズ

円やかな酸味が素材感を引き立てる。

アミューズブーシュ二皿目は、高山シェフが出場されたボキューズドール2015ファイナル時に作られた魚料理のガルニチュールが登場! あの時のコンテストを御覧になった方なら御存知の人もいるかもしれませんが、見た目の美麗さだけではなく、この構成力と精度の高さがとにかく驚異的。ビーツなどの12種類の野菜をマリネし、それらを酢飯と併せて23層のミルクレープ状にした御寿司のような仕上がりになっているのです。

しかも単に食材が重なり合っているだけではなく、これだけの多層構造ながら、各個それぞれの味わいが口の中で不思議なほどに渾然一体となり、フランス料理の味として着地しているという魔法のような一皿。

和のエッセンスがありながら足し算としてのフランス料理に昇華されているのは、輝かしい修行歴で培ったシェフの実力と経験値の高さがあればこそでしょう。

「和」と「フレンチ」の融合というよりも、「和」をフレンチの技法で表現した傑作! 先述したアミューズ盛り合わせも含めて、ここまで膨大な仕事量の料理をランチで提供できる高山シェフの指揮力とチーム力の高さに脱帽です。


・前菜(一皿目)
蕪の温かいスフレundefinedビーンリーフと木の芽を添えて

蕪の温かいスフレ ビーンリーフと木の芽を添えて

「ナチュール」(野菜コース)の前菜は、兵庫の島中農園の「蕪」を使ったスフレの上に、蟹のほぐし身、その周りには葛でトロみを付与した蕪のコンソメ、という蕪の絞り汁まで使い切った蕪濃度100パーセントの一皿です。ビーンリーフと胡桃オイルの香り、そして木の芽の春の香りがアクセントとなり、晩冬と初春が同位した風情にどこか心地良さすら感じます。

この蕪が持つピュアな甘味と蟹の旨味が寄り添うようにマリアージュし、繊細さと洗練さを兼ね備えた仕上がりは、まるで日本料理の「蕪蒸し」のよう。

「蕪」そのものの品質の高さとテロワール、それを活かしきる高山シェフの職人仕事が合わさった、まさにオンリーワンの逸品。日本料理でもここまで「蕪」を活かしきった料理は出会ったことがないと言えるほどの蕪料理でしたね。

次ページからは、コース料理の後半を御紹介していきます

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