アドバイス1 少しでも早く収入を得ること
今回のご相談である「できるだけ母親の貯蓄を取り崩さず生活を立て直す方法」ですが、そのためにご相談者の「にんたさん」が、もっとも優先的にすべきことは、少しでも早く職について、収入を得ることです。そのために、職業訓練校に通い始めたとのこと。データには失業給付を受けている記載がありませんので、そのメリット(失業給付の給付期間が延びる、など)は受けていないはず。であれば、受けられている内容が、しっかり就職に結びつくものかどうか、十分調べておいてください。4カ月間無収入が続けば、それだけで確実に80万円以上(現在の生活費に母親の生活費を上乗せした額)がお母さんの貯蓄から差し引かれます。職業訓練校がにんたさんの就職に効果的だと考えれば問題ないですが、もしもそうでないなら、訓練校から就職活動に主眼を切り替えるのも選択肢のひとつです。
もちろん、焦ってもいい結果は得られないでしょう。しかし、時間的余裕がないのも事実です。生活費とは別にお母さんから300万円、にんたさんに資金援助があるとのことですが、それも生活費に換算したら、1年半分もありません。それだけ、無収入は怖いということを認識してください。
アドバイス2 月3万3000円の保険料は明らかな負担
収入を得るのと同時に、家計を見直して支出を抑えることも「母親の貯蓄をできる限り取り崩さない」ためには、急務です。まず手を付けるべきは、保険となります。貯蓄性のある保険もありますが、現時点での優先順位は明らかに、目先である家計支出の削減だからです。3本加入されているうち、本人名義の終身保険と個人年金保険はともに払済保険にしてください。本人の保障としては、掛け金2000円程度の共済(=総合タイプ)に新たに加入して、必要最小限の死亡保障と医療保障を確保すればいいでしょう。
あと、娘さん名義で加入している保険も不要です。解約されて、どうしても保障が欲しいのであれば、やはり共済の医療タイプかがん保険(ともに掛け捨て型)に加入すればいいと思います。
この保険の見直しだけで、月3万円前後が浮きます。とくに保険料は固定費なので、一度見直せば、あとは努力なしにずっとその効果が続く点も大きいのです。
あと、工夫次第で削れるのであれば、通信費2万2000円と雑費3万円。いきなりは難しいかもしれませんが、それぞれ1万円ずつ削ることができれば、先の保険の見直しと合わせて計5万円程度、生活費を抑えることができます。そして、目標としてこのくらいの金額を設定しておかなければ、お母さんの生活費負担はどんどん膨らんでしまうでしょう。
アドバイス3 家族の協力で家計を支える
娘さんの学費については、先の300万円も充てる予定でしょうが、お母さんも援助したいということなので、そう心配はないでしょう。大学進学を家庭の事情であきらめたため専門学校には行かせたい、と思うにんたさんの気持ちも十分理解できます。ただし、家計に余裕がないのは確かですから、学費はすべて負担するとしても、小遣いなど、本人のアルバイトでカバーしてもらうといった家族の協力も不可欠だと考えます。また、家計支出の見直しは必須ですが、食費は無理に削るべきではありません。今、怖いのはにんたさんが病気等で働けなくなることです。今後を考える上で、もっとも大事なのは継続的に収入を得ること。そのためには体力も気力も必要です。家計管理とともに健康管理にも日頃から目を向けるようにしてください。
相談者「にんた」さんから寄せられた感想
アドバイス頂いた通り、保険、通信費の見直しをしたいと思います。母を頼りにして、のんびりしていてはいけないと感じました。早く仕事を見つけることが先決ですが、長年のブランクがありますので、やはり職業訓練は最後まで受けたいと思います。その間にアルバイトも必要かと考えています。まずは、支出を抑えることを努力していきます。数々のアドバイスをありがとうございました。マネープランクリニックのネットラジオ番組『2020年の家計防衛』を始めました!
ぜひご視聴ください!
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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