「なんとなく得だから」で株主優待を選ばない
お金持ちは優待投資を活用する
ただし、自分の生活動線に密着した優待に注目し、なんとなくトクだから、という理由では選ばないほうがよいのではないかと思います。
株主優待で生活している人の記事を雑誌で読んだことがありますが、期限がたいてい半年ということもあり、その優待を使い切るためにかえって忙しいそうでした。それでは自由から縁遠くなってしまいますよね。
「いついつまでに使わなきゃ」というのは無駄なプレッシャーですし、外食する場所が限定されるとか、「使わなきゃソンだから」と欲しくもないものをもらうのも避けたい。たとえば牛丼チェーンの吉野家も株主優待が手厚い企業として知られていますが、私はそもそも牛丼をあまり食べないですから、必要ないということになります。もっとも、ヤフオクに出品したり金券ショップで転売したりすればよいだけかもしれませんが……。
私の場合は、あるインターネット関連企業の株を100株だけ持っています。総投資額は約10万円で、その企業グループが提供するサービスを年間1万円分の割引が受けられます。私は現在ネットビジネスに軸足を移していることもあって独自ドメインを10個以上保有しているのですが、グループ会社のドメイン取得サービスを使えば、ドメイン料金が年間1万円分タダになるからです。
これで優待利回り年10%と同じ効果ですが、同じくグループ企業のクーポン共同購入サイトを利用すれば、さらに利回りはアップします。
クロス取引でリスクヘッジ
株主優待が充実している企業の株は、権利落ち日に急落する傾向があります。これは、とりあえず権利付最終日で保有していれば優待はもらえるので、優待狙いの投資家が一斉に売却するためです。そのため、クロス取引といって、現物株式の購入と同時に、同価格で同株数を信用取引で空売りする、いわゆる両建てと呼ばれる方法です。現物株の買いでは、株価が下がれば損、上がれば益というのはおわかりいだけると思います。空売りとはその逆で、株価が下落したら益、上がれば損という仕組みです。
そのため、株価が下落したら、現物買いでは損が出るが、同じ額だけ信用売で利益が出る、株価が上がれば現物買いで利益が出るが、信用売りで損が出る、ということなので、株価が上がっても下っても損失が出ないわけです。
この状態にしておけば、リスクヘッジ、あるいは下落での利益を狙うことができるため、優待狙いの長期塩漬けに活用されているようです。
しかし信用売りをすると、通常の株式売買手数料のほか、信用取引の貸株料、逆日歩というレンタル料、配当相当額の支払いなどかかりますので(銘柄によって異なる)、受け取れる優待や配当の金額と照らして、マイナスにならないよう注意が必要です。
また、信用売りができる銘柄は各証券会社によって異なるので、自分が狙っている銘柄で空売りができるかどうか事前の確認も必要です。この逆日歩が気になる場合は、下落後にすかさず利益確定すればよいでしょう。
私が保有している企業の株も値動きを観察していると、権利落ち確定日に反落し、数日後には値を戻すという動きをしています。私は面倒なので現物株を買ったまま放置していますが、今では株価は2倍になり、利益確定の誘惑にさらされています。
参考文献)「グーグル検索だけでお金持ちになる方法」(光文社)