VW(フォルクスワーゲン)/ゴルフ

ゴルフトゥーランは日本のファミリーにベストなVW

ジャストサイズミニバンとして人気のゴルフトゥーランがモデルチェンジ。本当に必要な機能に磨きをかけ、使い勝手は国産ミニバンと遜色ないレベルに。ゴルフの良さを受け継いだ走りも備え、日本の家族にベストなVWへと進化したゴルフトゥーランを徹底解説する。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

日本人好みのクリーンな造詣のコンパクトミニバン「ゴルフトゥーラン」

VWゴルフトゥーラン

フルモデルチェンジで2世代目へと進化した、3列7人乗りのコンパクトミニバン。室内をより広く、多彩な収納やシートアレンジなどにより使い勝手を高めた


マルチパッセンジャー仕様のコンパクトミニバン、といっても、国産モデルのように両側スライドドアを採用した背の高い“いかにもミニバン”スタイルを、あえて採らないのがヨーロッパ流のようだ。

トゥーランは乗用車タイプのスィングドアを持つ、7シーターミニバン。

03年に誕生以来、ジャストサイズミニバンとして人気を博してきたが、2015年春のジュネーブショーにて、最新ゴルフと同じFFモジュールプラットフォーム“MQB”を採用した初のミニバンへとフルモデルチェンジを果たしている。

VWゴルフトゥーラン

ボディサイズは全長4535mm×全幅1830mm×全高1640~1670mm。旧型より全長130mm/全幅35mm大きく、全高が最大30mm低くなっている


MQBのメリットは、その見た目に既に表れる。旧型に比べて、全長・ホイールベースともにより長く、より幅広になって、室内スペースが大幅に広がったのだ。車高は少し下げられたけれども、前後左右にできた余裕がそれを相殺してあまりある。

このサイズ変更は、スタイリングの見映えにも効く。現行ゴルフと同様に、水平感が強調されており、幅広でどっしりと安定して見えるのだ。しかも、エッジの効いたフォルムとあいまって、非常にシャープでスマートな印象で潔い。イマドキ、潔いくらいにクリーンな造詣。つまり、日本人好みのカタチ、だと思う。

VWゴルフトゥーラン

インパネのデザインも刷新、よりドライバー志向のレイアウトとされた。傾斜がつけられたセンターコンソールやスラッシュ成形によるソフトな素材を用いたパネル上部などが特徴的

VWゴルフトゥーラン

新設計のフラットフォールドシートを採用。2/3列目シートと助手席(トレンドライン以外)を簡単な操作で畳め、最大容量1857Lのフラットな空間を作り出せる


磨きをかけたのは本当に必要な機能のみ

VWゴルフトゥーラン

国内ではエントリーグレードのTSIトレンドライン(284.7万円)、ベーシックなTSIコンフォートライン(317万円)、装備充実のTSIハイライン(376.9万円)を用意する


日本仕様として、3つのグレードを用意した。トゥーランとしては初めて、お買い得な価格設定のトレンドラインが生まれたのがポイント。装備の充実具合によって、コンフォートライン、ハイラインとグレードアップしていく。

VWゴルフトゥーラン

最高出力150ps/最大トルク250Nmを発生する、オールアルミ製の1.4Lターボを搭載。JC08モード燃費を18.5km/lとし、旧型より23%も向上させた


パワートレインはわかりやすく、全グレード共通とする。すなわち、1.4L直噴ターボに7速DSG(デュアルクラッチシステム)を組み合わせた。パワートレイン選択で悩むな、もまた、最新実用車のトレンドだろう。もっとも、クルマ選びの楽しさがひとつ減った、とも言えるけれど。

乗用車タイプのスィングドアを採用するが、それ以外の使い勝手、たとえばシートアレンジなどは、機能を実用に絞り込んだ使い勝手の工夫で、国産ミニバンと遜色ないレベルに達している。あれもこれもできる、ではなく、本当に必要な機能に磨きをかける。これもまた実用車の正しい方向性というべきだろう。

VWゴルフトゥーラン

運転席の座面を路面から約625mmとし、ドライバーの視界と乗降性をより向上させた

VWゴルフトゥーラン

2列目シートは200mmの前後調節が可能に。バックレストも3段階でリクライニングできる。2列目の室内幅(肘の高さ)は1518mmとなり、チャイルドシートを3つ並べて設置できる

VWゴルフトゥーラン

3列目は旧型よりレッグスペースを54mm拡大、ヘッドクリアランスも13mm高くなっている


ゴルフの良さを受け継いだ走り

VWゴルフトゥーラン

水平基調のラインで構成されたフロントマスクや、A~Dピラーがひとつながりになったウインドウデザインなど、よりフラットでスタイリッシュなデザインに


実際に試乗してみての感想は“背の高いゴルフ”である。ツマラナイ、のではない。むしろ褒め言葉で、ゴルフのしみじみとした良さが、トゥーランにもしっかりと受け継がれているということ。

ちょっと硬質だけれども、軽やかないなしをみせるアシが心地よいライドフィールを実現しているし、車体の動きも軽快のひとこと。乗ってすぐに、長年付き合ったパートナーのように馴染んでしまうあたりも、モダンVWの真骨頂といえるだろう。

VWゴルフトゥーラン

プリクラッシュブレーキシステムや衝突直後にブレーキを自動でかけ二時被害を防止するポストコリジョンブレーキシステムなど、安全装備も多数採用する

VWゴルフトゥーラン

ハイラインにはドライビングプロファイル機能とオプションでアダプティブシャシーコントロール(DCC)を搭載し、5つのドライビングモードが設定可能に。DCCはダンパー減衰力やパワーステアリング特性をコントロール、ノーマル/コンフォート/スポーツが選択できる


加速は必要にして十分。高速安定性もゴルフと変わりなく、視線の高いぶん、安心してクルージングもできる。もちろん、街乗りでの取り回しもラクラク。そうは見えないけれどドライバーオリエンテッドで、かつ、優れたパッセンジャーカー。トゥーランは今や、日本人ファミリーにとって、ベストなワーゲンとなった。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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