行政書士試験/試験対策・勉強本の選び方

平成27年行政書士試験の難易度と合格率、今後の展望

平成27年度試験はこれまでにない高い合格率になりました。その原因を分析して平成28年度本試験の対策を考えます。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド

平成27年行政書士試験 驚きの合格率

1月27日に平成27年度行政書士試験の合格発表がありました。合格者5814人、合格率13.1%で、新試験制度始まって以来の高い合格率でした。昨年、試験問題が難しかった反動で、今年は易しくなるだろうと予測していましたが、これほど高い合格率になるとは思っていませんでした。そこでまずは、なぜ平成27年度本試験は高い合格率になったのかを明らかにして、平成28年本試験の傾向と対策を考えていきたいと思います。

平成27年度本試験の特徴

高い合格率の要因は、最も配点が高い行政法択一式が易しく、記述の採点が厳しくなかったからです。なお、問題16の出題作成ミスにより全員得点の措置がとられたことも関係があるでしょう。

以下、各科目について分析したいと思います。

【基礎法学】
例年より難しかったです。過去問踏襲性が低く知識が細かかったためです。問題1は捨て問、問題2は「過去問プラスα」レベルでした。2問中1問正解できます。

【憲法】
例年通りの難しさです。出題範囲や内容は過去問レベルです。注意を要するのは問題5です。これまで出題実績のあまりない事務処理能力を試す並び替え問題でした(旧司法試験では頻出の問題形式)。難易度も高く、時間を要するこの問題を「捨て問」に出来たかがひとつのポイントです。5問中3問正解できます。

【行政法】
例年になく易しかったと思います。出題範囲や内容は出題実績の多い基本的な論点からの出題でした。出題形式も正答率を下げる個数問題はなく(昨年は2問)、逆に正答率を上げやすい空欄補充問題が4問出題されました(昨年は1問)。過去問を中心にしっかりと勉強すれば8割以上(19問中16問正解)正解できます。

【民法】
例年通りの難しさでした。問題31の初出論点の出題のように、民法は他の科目に比べると全般的に過去問の踏襲性が低い特徴があります。今年も近年の傾向通りと言えるでしょう。それでも9問中5問正解できます。

【商法・会社法】
例年通りの難しさでした。問われる知識が非常に細かいものもあり(問題40など)、司法試験受験生でも満点は取れないレベルでした。5問中2問正解がやっとです。

【一般知識】
例年より難しかったと思います。基準点の6問正解(一般知識は6問正解しないとそれだけで不合格になります)が簡単ではありませんでした。具体的数字が解答に関係する問題も多く、例年に比べると要求される知識が細かかったと思います。
また、近年の傾向である「常識で解ける問題」が少なかったことも要因です。そして、長文読解の問題59は難問であり、時間をかけずに文章読解を全問正解することは至難の業でした。過去問を中心に勉強すれば14問中7問正解できます。

【多肢選択式】
例年通りの難しさでした。相変わらず憲法の多肢選択式は難しく、満点は取れないと思います。12問中9問正解できます。

行政書士試験,平成27年度,平成28年度

試験委員と受験生が共有する知識は過去問・条文・判例だけです。これを忘れないでください。

【記述式】
例年通りの難しさでした。行政法は例年通り、民法は典型論点を外してきました。そのため受験生の出来は決してよくありませんでした。ただ、今年は記述の採点が厳しくなく、部分点をかなりもらっている印象があります。今年の採点方法ならば30点前後の得点は可能です。

以上のように、しっかりと勉強すれば、択一式が154点、記述式が30点で、合計184点前後の得点が可能でした。合格者のお話を聞いているとおおよそこのような点数配分でした。

では次にこれらの傾向を踏まえて平成28年度行政書士試験の対策を検討します。

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