行政書士試験/試験対策・勉強本の選び方

平成27年行政書士試験の難易度と合格率、今後の展望(2ページ目)

平成27年度試験はこれまでにない高い合格率になりました。その原因を分析して平成28年度本試験の対策を考えます。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


平成28年度行政書士試験はどうなるか

行政書士試験,平成28年度

平成28年度は合格率8%前後に推移するのではないでしょうか

平成27年度行政書士試験の結果は、平成28年度本試験にどのような影響を与えるのでしょうか。

一言で言えば「難しくなる」と思います。理由は行政書士の受給バランスです。


行政書士会は合格者4000人が最適と考えていると思われ(詳細はこちらの記事をご覧ください)、平成27年度試験の合格者約6000人は明らかに供給過多です。よって、受給調整の観点から平成28年度合格者数を減らす必要があります。行政書士試験が基準点をクリアすれば合格という絶対評価の制度を採っている以上、合格者数を減らすためには試験問題を難しくするしかないからです。

【行政法】
平成27年度の高い合格率の要因が行政法択一式であることは前述した通りです。ですから行政法択一式は難しくなることが予想されます。平成28年度受験生が注意しなければいけないのは、試験委員が手加減を誤って「反動的に難しくしすぎることがある」点です。対策として、試験の難化に対応できるようにしっかりと勉強しなければなりません。

「平成27年度試験は落ちたけど行政法は点数を取れたから、来年の本試験も行政法は点数が取れるだろう」と考えないでください。平成27年度行政法択一式の易しさはあくまで例外です。実際には平成23年度から平成26年度までぐらいのレベルです。

また、難化が予想される行政法択一式をフォローするためにも、行政法の記述は満点を目指しましょう。

【民法】
近年の民法は難しさを増しており、司法試験などに近づいていると評価できます。その難しさは深くかつ広く問われています。民法の問題点は勉強範囲がわからないということですが、この傾向は平成28年度本試験でも続いていくでしょう。

難しい問題ですが、対策としては民法の択一式に力を入れるのではなく、記述式に力を入れることを提案します。民法において、択一式の配点は36点、記述式の配点は40点ですから、記述式の方が配点は高いのです。記述式の出題は例外もありますが、択一式は基本的に過去問の焼き直しであることが多いのです。ですから択一の知識を高めて記述式に対応できる力まで引き上げてください。

たとえば、平均的な受験生の力といえる民法で択一式4問、記述式15点をとれる実力を持った人が、さらに15点前後のアップを目指すとします。択一式で9問中4問正解の力を8問正解までにあげる労力(プラス16点)と、民法記述式40点満点中15点の力を、30点まであげる労力(プラス15点)はどちらが大変でしょうか。

答えは、記述式で高得点を取るよりも択一式で高得点をとる方が大変です。

択一の知識を高めて記述に対応できる力を養うための基本は、過去問に出題された条文をしっかりと繰り返し読むことです。お経のようにただ読むのではなく、言葉の意味を考えながら読んでください。欲を言えば、その条文に関する具体例や判例などが挙げられれば、なおいいでしょう。記述式の採点基準の基本は条文ですが、条文の知識が足りていない受験生が非常に多いと思います。記述力をあげるためには条文の勉強、これに尽きると思います。

【基礎法学】【憲法】【商法・会社法】
従来通りの勉強方針で問題ないと思います
こちらの記事をご参考ください)。あえて言えば、勉強をしっかりとした上で、本番では「捨て問」を識別できるようにすることでしょうか。

【一般知識】
今年難しかった一般知識は注意が必要です。政治・経済・社会の難易度に偏りが生ずる可能性がある以上、それ以外の文章理解、個人情報保護法等関連法、IT分野をしっかり勉強して穴をなくし、政治経済社会は過去問レベルの基本的な問題を落とさないことです。

平成27年は一般知識が難しくなりましたが、現時点では対策は立てにくいと思います。あまり気にしないで基本を押さえることでしのぐしかないと思います。深入りすると勉強のバランスが崩れて法律科目がなおざりになってしまいます。

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