ふたりで学ぶマネー術/ふたりで学ぶマネー術

「同居」「近居」を始める前に知っておくべきこと

家事・子育て支援、介護支援という、親の世代、子の世代がWin-Winの関係になれる「同居」と「近居」が注目されています。実際の同居や近居をしている人の割合やメリットとデメリット。「同居」「近居」を始める場合にお得な制度など、「同居」「近居」を始める前にしておくと便利な情報を紹介します 。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

  • Comment Page Icon

子から見た、親との住まいの距離感

住まいのエリア……夫と妻の実家、どっちを優先するべき?

住まいのエリア……夫と妻の実家、どっちを優先するべき?

結婚して新しく新居を構えるとき、マイホームを購入するときなど、 どのエリアに住むか、夫婦でいろいろ悩まれることが多いでしょう。

住まいのエリアの選択基準としては、職場への通いやすさ、子育て環境、実家との距離、家賃(物件価格)相場など、さまざまです。以前、「共働き夫婦、住むのは親の近く?遠く?」という記事の中でアンケート(2007年)を行ったところ、「妻の実家に近い」エリアを希望する人が58%で最も多いという結果でした。

「DINKSのためのマネープラン、あなたの一票」(All Aboutマネー)より

「DINKSのためのマネープラン、あなたの一票」(All Aboutマネー)より


実際にマイホームを購入した人は、実家との距離は、住まい選びの選択基準としたのでしょうか? 「妻から見た住まい購入に関する意識調査」(SUUMO×ウィメンズパーク)に よると、2006年以降に住宅を購入した母親に対して、「夫と妻のどちらの実家に近いエリアを重視したか?」という質問に対する回答は、以下のグラフの通りになりました。「夫の実家に近いエリア」(18%)、「妻の実家に近いエリア」(26%)、「双方の実家の中間エリア」(14%)で、やや、妻の実家を重視する傾向があるようです。

アンケートを回答した属性が同じではないので一概には言えませんが、妻側から見れば、子育てを手伝ってもらう場合、自分の親の方が頼みやすいので、妻の実家に近いエリアを希望するけれども、実際は、なかなか希望通りにはならない様子が伺えます。

SUUMO×ウィメンズパーク『妻から見た住まい購入に関する意識調査』調査概要

SUUMO×ウィメンズパーク『妻から見た住まい購入に関する意識調査』調査概要


親から見た、子との住まいの距離感

将来のことが不安だから、同居してくれると安心

将来のことが不安だから、同居してくれると安心

これまでは、「子から見た、親との住まいとの距離感」について見てきましたが、今度は、「親から見た、子との住まいの距離感」について見てみましょう。

「平成26年国民生活に対する世論調査」(内閣府)によると、「老後は誰とどのように暮らすのがよいか」という質問に対する回答は、以下のグラフの通りになりました。「息子(夫婦)」、「娘(夫婦)」、「どの子(夫婦)でもよいから」を合わせて、同居を希望 するのは、60歳代男性で26.4%、70歳以上男性で36.0%、60歳代女性で24.3%、70歳以上女性で41.8%という結果でした。思ったよりも同居を希望している親が多いのだな、という印象を受けました。60歳代と70歳以上を比較すると、性別に関係なく同居を希望する割合が増加する傾向にあります。自身の健康状態に対する不安から、高齢になるほど同居を希望するのでしょう。

「平成26年国民生活に関する世論調査」(内閣府)より作成

「平成26年国民生活に関する世論調査」(内閣府)より作成


先の「妻から見た住まい購入に関する意識調査」における「住まいのエリア選択と実家との距離」のグラフと、「老後は誰とどのように暮らすのがよいか」のグラフを比較してみると、同居と近居の割合こそ異なりますが、おおむね似たような構成割合になっています。親の希望を考慮しながら、子は住まいのエリアを選んでいる様子が伺えます。

同居と近居、選択の動向は?/同居は減少、近居は増加傾向

単身の高齢者の方と夫婦ふたり暮らしの高齢者の方が、子と、どのくらいの距離で場所に住んでいるかを「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)で見てみましょう。

「近居」については、明確な定義はありませんが、「片道1時間未満」が目安になるようです。「住宅・土地統計調査」では、「近居」を「徒歩5分以内」、「片道15分未満」、「片道1時間未満」に分類して統計データを公表しています。

「徒歩5分以内」は、親子で日常的に行き来する距離、「片道15分未満」は、行き来の頻度は多いけれども、適度な関係が保たれる距離、「片道1時間以内」は、いざという時に駆けつけることができる距離と言えるでしょうか。

「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)より作成

「平成25年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)より作成


「同居」を希望している親は多いけれども、実際に同居している人の割合は、5%前後で少ないことがわかります。家の広さなどの物理的な制約もありますが、「同居するのは、ちょっと……」といった気持ちの面もあるのでしょう。平成20年と平成25年を比較すると、高齢単身世帯、高齢夫婦のみ世帯ともに、「同居」の割合は減少し、「近居」の割合が全体として増えていることがわかります。

日常的にお互い何らかのサポートをするためには、「同居」もしくは、片道15分未満の「近居」が必要でしょう。そう考えると、3割ぐらいの親子が、お互いにサポート関係にある距離に住んでいると推察できます。

>>「同居」と「近居」のメリット、デメリットは!?

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます