東塔から西塔へ
にぎやかな東塔エリアを後にし、山道を西塔エリアに向かって歩いて行くと、しだいに静けさが増し、山の霊気が濃くなっていく気がします。木立の中の石段を下っていき、一番最初に目に入る西塔エリアの建物が、伝教大師最澄の御廟がある浄土院というお堂。
浄土院
全山がパワースポットとも言われる比叡山中でも、この場所は、やはり特別なサンクチュアリ(聖域)なのでしょう。庭の砂もとても美しく掃き整えられ、清浄な空気が満ちています。
浄土院からさらに歩を進めていくと、やがて見えてくるのが、常行堂と法華堂。同じ形をした2つの建物が渡り廊下で結ばれています。
常行堂と法華堂。別名「にない堂」
この常行堂と法華堂は、別名「にない堂」とも呼ばれています。これは、この地で修行をしていた武蔵坊弁慶が、廊下の部分に肩を入れて、天秤(てんびん)棒のように建物を持ち上げた(担った)という伝説によります。
「にない堂」のすぐ先には、西塔エリアの本堂で、比叡山中で最古の建築である釈迦堂(転法輪堂)などの建物があります。この辺りまで来ると、耳を澄ましても、聞こえてくるのは小鳥のさえずりと、木々のざわめきだけ。本当に静寂が広がります。
釈迦堂(転法輪堂)
さて、今回は横川までは行かず、ここから道を引き返すことにします。
冬の比叡山は、八瀬ケーブルやシャトルバスも運休となり、交通は少々不便ですが、その分、人が少なく静かで、本来の山中の修行の場の雰囲気を味わうことができます。
さらに、ひとたび雪が降れば堂塔が白銀に輝き、その美しさはひとしおだとか。観光オフシーズンの比叡山、一度、出かけてみてはいかがでしょうか。