まずは日本の印刷関係の本で知ろう!
日本の凹版印刷について詳しく知りたい方は、元大蔵省印刷局職員の植村峻さんの著作が良いと思います。在職中から様々な啓発的な著作を執筆されていますが、日本での凹版印刷の概要を知るには『日本紙幣肖像の彫刻者たち』(印刷朝陽会、2010年)と姉妹書の『日本切手の凹版彫刻者たち』(公益財団法人日本郵趣協会、2015年)がオススメです。印刷の原理について詳しく知りたい方は、三島良績、『日本切手の製造』(切手趣味社、1964年)や『新版 切手と印刷」(印刷局朝陽会、1977年)などが好適でしょう。いずれも品切れになって久しくなりましたが、今なお参考になりますので、古書店や図書館などで確認してみてください。世界の凹版印刷について知ろう!
外国切手を収集していると、凹版彫刻の巨匠の名に触れることがあります。非常に数多くの北欧切手を手がけたチェスラフ・スラニア(Czeslaw Slania)、フランスや仏植民地切手のピエール・ガンドン(Pierre Gandon)、オーストリア切手の小ハンス・ランツォーニ(Hans Ranzoni d.J.・同名の父は著名な画家)、ヴォルフガング・ザイデル(Wolfgang Seidel)、チェコ切手のカール・ザイティンガー(Karl Seizinger)、ボフミル・ハインツ(Bohumil Heinz)などが日本でも知られています。戦後日本だと、やはり先述した押切勝造、そして彼が師事した加藤倉吉でしょうか。こうした世界の紙幣や切手の主な凹版彫刻者について知りたければ、世界各国の切手関連のサイトもやチェコの凹版切手といった国別のサイトも役立ちますが、ジェネ・ヘスラー(Gene Hessler)の『国際的彫刻者のライン』(邦訳なし・2005年)が決定版です。amazonで頼むと、2万円以上かかりますが、世界の切手デザインを本格的に勉強したい方は必携です。
<スタンプショウ2016>へ出かけよう!
そして、もっと凹版印刷に親しみたければ、<スタンプショウ2016>に出かけるのもアリではないでしょうか。周知のとおり、<スタンプショウ>は日本最大の切手の祭典として知られるゴールデンウィーク前後の恒例イベントですが、なんと!2016年は凹版切手をメインに据えた特別企画が行われます。国立印刷局の方も交えた興味深いイベントが行われる予定ですので、ぜひご参観いただきたいと思います。今年は2016年4月29日(祝)から5月1日(日)にかけて、東京都立産業貿易センター台東館(東京・浅草)で開催されます。
いかがだったでしょうか。ぜひ折に触れて、凹版彫刻者に思いを馳せながら、切手を鑑賞いただければと思います。さて、次回の記事では郵政博物館で行われているイベントについてお伝えしたいと思います。