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失敗のない快適な家づくりはコントラバスがポイント?

オーケストラを構成する楽器のひとつにコントラバスがあります。あまり目立たないコントラバスですが、重い低音で旋律を奏で曲の基本をつくっています。この部分をおざなりに弾くと全体が頼りない音楽になってしまうのです。じつは住まいづくりにも同じようなことが言えるのです。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

丁寧な仕事は通奏低音ということ

オーケストラを構成する楽器のひとつにコントラバスがあります。バイオリンと比べるとあまり目立たない楽器ですが、重い低音で旋律を奏で、曲の土台をつくっています。この部分をおざなりに弾くと、曲全体が頼りない音楽になってしまうのです。

これは住まいづくりにも同じようなことが言えます。 住まいづくりにおいてコントラバスの役目を果たすことは3つあり、「(家の下の)土の中」「光・風・熱」「音・におい」です。

住まいの快適さをつくっているものは目立つことなく見えないものが多いということ。また、丁寧な仕事は通奏低音(旋律を奏でる低音)がしっかりしているということです。
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「土の中」「光・風・熱」「音・におい」は、快適さをつくる目に見えないもの

まず初めに「土の中」。この仕事をおざなりにすれば、建物全体が乗るのに頼りないにものなってしまいます。横浜市のマンション杭打ち工事がそうかもしれません。地中に埋まった杭はどんな状態になっているか、はっきりと明確に調べることはおそらく無理でしょう。

次は「光・風・熱」です。日本は高温多湿な国なので、光をどのように入れ湿気を運び、熱をコントロールするのか。この3つを上手く組み合わせることで健康的で身体に気持ちよさを与えてくれるのです。

高気密・高断熱の家づくりではシックハウスの問題が指摘されましたが、近年はかなり改善されてきました。また複層ガラスの普及に伴い熱に対しての理解も進んできています。これまで日本人は彩光や通風には高い関心をはらってきましたが、熱に対してあまり工夫はしてきませんでした。

これからは熱の見える化にも取り組み、さらにレベルの高い省エネ住宅づくりを求められていく時代になります。

最後に「音と臭い」があります。音は家族内であってもいざこざが起こるケースもあります。特に音楽を奏でる。生活時間のズレが大きい生活スタイルになる時は吸音、遮音ボードなどしっかりと対策をすることです。

少々厄介なのは近隣です。室外機や給湯器の低周波がトラブルの原因になります。場所をよく考えて設置することです。

あわせて換気扇の位置も気をつけることです。たとえば隣家の台所の換気扇近くに寝室の窓をつけた場合です。臭いが給気口を通して寝室に入って、夜寝る際に隣の料理の臭いがこもるケースがあるからです。

一般に隣家の窓位置は調べて窓が重なり合わない様にずらしたりしますが、意外と換気扇の位置まではチェックしません。ぜひチェックしておきたいところです。


ガイド佐川旭のメッセージ

前半で「通奏低音」と書きましたがあらためて辞書を引いたところ、「バロック音楽の根幹となる要素、あるいはバロック時代を指して通奏低音の時代と称することがある。」と書かれてあり、とても大きな意味があることにびっくりしました。

これは現代社会にも言えるのではないでしょうか。データのごまかし、隠ぺい工作、虚偽の報告など社会の根本が通奏低音になっていないことです。

住まいづくりでいえば匠の技を受け継いでいくシステムがなく、ラクに仕上げることができる建材が多くなってきていることです。コストの問題もありすべてに手作り感が重要とは言いませんが、通奏低音の意識が低くなり工夫がなくなっていることに危機感を覚えます。

最後に、目には見えない大切なものとして家に対する家族の想いがあります。建物はいつの日か朽ちて行きますが、想いをのせてつくった家は必ず家族の心の中にずっと棲み続けていくと確信しています。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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