テンポに対しての苦手意識を克服する

曲を選ぶときに、テンポの速い曲は指が動くか不安だし、遅い曲は弾いているうちに飽きてしまいそう……など、テンポが選曲の妨げになったことはありませんか?テンポに対しての苦手意識を克服するには、速い曲、遅い曲それぞれの難しいと感じる点を明らかにして、練習で乗り越えていくしかありません。どのようなテンポの曲でも上手に弾くためのコツをご紹介します。

メトロノームの写真

速い曲、遅い曲どちらもそれぞれに違った難しさがある。コツをつかんで苦手意識を克服しよう!


テンポの速い曲を上手に弾くコツ

注意すべき点

速い曲の場合、どうしても最初はテンポを上げることに意識が集中し、表現が疎かになってしまいがち。でもどんなに速く弾けても、音楽的な内容の伴わない演奏は上手に聞こえません

また、焦ってテンポを上げ過ぎると、指の動きがコントロールできず音が不揃いになったり、強弱がつけられず全部の音が同じ音量になってしまったりします。そうなると、全体が重く聞こえてスピード感が損なわれ、聞いている人にはさほど速く感じられないばかりか上手にも聞こえません。テンポは、どのように弾くかで遅く聞こえたり速く聞こえたりと印象が変わるものです。

効率の良い練習方法

速い曲を練習する際には、まずゆっくりのテンポでその曲にふさわしい表現(強弱、アクセントなどのイントネーション、音色の変化、フレーズの抑揚など)をつけて弾けるようにしましょう。そして、その表現を維持しながら徐々に速度をあげていきます。

テンポを上げることで表現が崩れてきたら、一旦そこでテンポを定着させ、しっかり表現がつけられるようになるまで弾きこみます。そしてまた徐々にテンポを上げていく。

これを繰り返しながら自分の弾きたい速さまでテンポを上げていくことが、スピード感のある曲でも指がしっかりコントロールされ、表現も伴った上手な演奏に仕上げる一番の早道です。

最速より少しゆっくりめに弾く

速い曲は、自分の弾ける最速のテンポよりほんの少し落として演奏すると、弾きこなしている印象がぐっと強くなり上手に聞こえます。全力で必死に弾いている演奏よりも、速度は多少落ちても余裕を感じる演奏のほうが弾いている人も聞いている人も楽しめます。

ピアノとメトロノームの写真

上手に聞こえる演奏とは技術と表現の両方が伴っているもの!


遅いテンポの曲を上手に弾きこなすコツ

注意すべき点

テンポの遅い曲のほうが速い曲よりも簡単だと思われがちですが、ゆっくりした曲を情感豊かに上手に弾きこなすには、速い曲以上に表現力が求められます。音の動きが緩やかな曲は、響きが貧弱になったり音楽の流れがだらけてしまいがち。速い曲よりもひとつひとつの音に丁寧に耳を傾けることが必要です。

音に対してこだわりをもつ

テンポの遅い曲は、つまらなくて弾いていると飽きてしまうという相談をよく受けます。弾いている本人が飽きていては、聞いている人にはもっと退屈な演奏になっているはず。

飽きる理由は、音についてのこだわりをもっていないからです。作曲家はどのぐらいゆっくりしたテンポをイメージして作ったのか?その曲にはどのような音色がふさわしいのかなどを考えながらイマジネーションを膨らませていきます。曲から感じる風景やストーリーを想像してみるなど具体的なものを思い浮かべると、自然に音へのこだわりが生まれてきて、飽きる暇なく集中して弾けるようになります。

客観的に聴く耳をもつ

テンポのゆったりした曲は叙情的なキャラクターのものが多いため、演奏者が感情移入しすぎてテンポ感がつかめないほど遅く弾いてしまうというケースがよくあります。気持ちを込めて弾くことは大切ですが、独りよがりの演奏にならないように常に自分の演奏を客観的に聴くことが必要です。

テンポの遅い曲は、表現力を伸ばす良いチャンス!音の響きに耳をよく傾け、ゆっくりした動きの中でもひとつひとつの音に緊張感をもたせ、音楽の流れが停滞しないように気をつけて弾きましょう。

【関連記事】


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。