プロレス/新日本プロレス

スイートではない真壁&本間のプロレス人生(2ページ目)

リングの上では暴走キングコングと呼ばれるラフファイターでありながら、スイーツ好きのスイーツ真壁として日本テレビの『スッキリ!!』でレギュラーになっている真壁刀義と、その相方としてガサガサ声でブレイクしている本間朋晃。2人は今や世間でもっとも知名度があるプロレスラーと言っていいでしょう。しかし笑顔の裏には壮絶な道程がありました。彼らのスイートではないプロレス人生とは。

小佐野 景浩

執筆者:小佐野 景浩

プロレスガイド

大日本のデスマッチ王者から放浪の旅に

この真壁の子分のように見られている本間ですが、プロレス・デビューは97年5月なので、真壁の3カ月後輩にすぎません。いや、新日本へのアプローチは本間の方が早かったのです。高校2年生の本間が山形から上京して新日本の入門テストを受けたのは93年でした。ところが結果は不合格。一念発起した本間は高校卒業後、東京・浅草のアニマル浜口ジムで1年間トレーニングして、みちのくプロレスのテストに合格しました。しかし1週間で夜逃げ。

浜口の期待を裏切ってしまった本間は「今度こそ辞めないで頑張ろう」と大日本プロレスに入門。97年5月にデビューすると、デスマッチ新世代として現在の大日本のデスマッチ路線の先駆けとなりました。そして最年少のデスマッチヘビー級王者にも君臨しましたが、01年に退団してフリーになってしまいました。

01年11月から全日本プロレスに参戦して02年春には正式に所属となったものの、05年11月に椎間板ヘルニアを発症して長期欠場へ。翌06年5月に契約を更新せずに再びフリーになりました。そこには高校時代からの夢だった「いつか新日本に上がれたら」という気持ちがあったようです。

ちなみに本間がガサガサ声になったのは、このフリー時代。ラリアットを食らって喉を潰してしまったのです。これが10年近く経ってブレイクの要因になるとは誰も想像していなかったでしょう。

新日本との接点は、新日本の本興行とは別ブランド興行として開催されていた『レッスルランド』や『ロックアップ』に出場したことで生まれ、07年には真壁が所属するGBHのメンバーに。当初は試合ではなく私服姿で真壁のセコンドに付いて相手にちょっかいを出す役回りでファンのブーイングを浴びていました。今では信じられないことですが、本当にファンに「会場に来るなよ!」と野次られるくらい嫌われていたのです。


嫌われ者から「こけし」で大人気に!努力は嘘をつかない

そんなファンの反応が変わったのは09年春。GBHが分裂して残ったのは真壁と本間だけ。仲間の裏切りと離脱で孤立してしまったリーダーの真壁を献身的に支える本間の姿はファンの琴線に触れました。いつしか真壁はヒールからファンに支持される存在になり、それにともなって本間の人気も上昇。11年12月23日の後楽園ホールでは新日本でシングルマッチとして初めてメーンイベントのリングに立ち、インターコンチネンタル王者・田中将斗に挑戦するまでになりました。

しかし順調にいかないのが本間のプロレス人生です。翌12年3月にプライベートな問題で新日本から契約を解除されてまたまたフリーに。飯塚高史と高橋裕二郎に袋叩きにあう真壁を救出するという形で新日本に戻ったのは1年後の13年3月23日の後楽園ホールでした。

1年のブランクを経て新日本に戻った本間はがむしゃらに闘いました。相手に何度かわされても放つダイビング・ヘッドバットは「こけし」と呼ばれるようになり「こけしが相手に当たるか、当たらないか」が話題になるようになりました。14年には負傷欠場の飯伏幸太の代打としてG1クライマックスに初出場。全敗に終わりましたが、こけし一筋の突貫ファイトは大会での一番人気だったと言っても過言ではありません。そして昨年のG1では石井智宏に勝って遂に1勝することができました。また、こけしのバリエーションが増え、それによって2015年度プロレス大賞の技能賞を受賞。年末に真壁と『ワールド・タッグリーグ2015』優勝、先日のIWGPタッグ王座奪取とまさにピークを迎えつつあります。

「こいつがGBHに入った時は何の役にも立たねぇ奴だったよ。それが努力に努力を重ねてここまできたんだぜ。努力は嘘つかねぇんだよ。IWGPは誰もが獲れる代物じゃねぇんだよ。磨かれて、磨かれて、苦しい思いして、やっと獲れるもんなんだよ」と真壁が感涙に浸る本間を称えたのが印象的でした。そして本間は「最高の試合をして、ずっとベルトを守って、年末の最優秀タッグを狙いたいです」とキッパリ。

本間のキャッチフレーズはガサガサ声での「こけし・イズ・ハッピー!」。そしてファンの「幸せになろうぜ!」の大合唱ですが、真壁と本間は努力の大切さを教えてくれるハッピー・コンビです。
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