東京・神田・旧万世橋駅、現代に蘇る赤煉瓦(レンガ)と椅子のある風景
どこにいても、「何気なくある椅子」が気になる。そして、その場所、空間の一部になりきっている風景がそこにある。今回の椅子のある風景は、東京、神田、旧万世橋駅の赤煉瓦(レンガ)を背景に佇む椅子風景。
指導している学校近く、神田にある旧万世橋駅……2013年の旧駅舎再開発「マーチエキュート神田万世橋」でその存在を知った。
JR中央線神田~御茶ノ水間にあった「万世橋駅」。
1912(明治45)年に完成した赤煉瓦造りの万世橋高架橋が、歴史や記憶を活かしながら蘇り、旧万世橋駅や交通博物館時代と変わらない、連続する煉瓦アーチの美しさと力強さが特徴的なマーチエキュート神田万世橋。
御茶ノ水駅から昌平橋へ
JR御茶ノ水駅から線路と平行にある神田川沿いに神田方面に道を下ると最初の交差点、緑青色の架橋:JR中央線昌平橋ガードが見えてくる。このガードの北側の総武線松住町ガードを挟んで神田川にかかる橋が昌平橋。
昌平橋の上から神田川を望むと右側に、上部は線路、下部は煉瓦造りの架橋建物(?)が見える。あれが、旧万世橋駅の駅舎……。下流に見えるのが万世橋。
時を刻み込んだ赤煉瓦と旧駅舎界隈
早速交差点に戻って、煉瓦壁沿いを歩いていく。歩きながら見上げると青い空と赤い煉瓦のコントラストが、美しい。
時を刻み込んだ煉瓦の表情、陽を浴びるその美しさに、しばし見とれてしまう。
人のしわと同じだなぁ……くっきりとした陰影、彫りが深く、暗黙の美学がここにある。
架橋に整備された煉瓦建物(旧万世橋駅駅舎)には、カフェやワインバー、パン屋さんなどが軒先を並べ、「駅舎界隈」ができている。
煉瓦建物沿いをさらに進んで交差点を左に曲がると万世橋。その先は秋葉原電気街。
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