2015年の家計の支出状況、物価は横ばい。的を絞った節約が成功の秘訣
物価は安定。食費の節約だけが、節約ではない。
「消費者物価指数(CPI)」(総務省統計局)より、ガイド平野がグラフを作成
次に、家計の支出費目別に、物価の推移を見てみましょう。住居費(下図、オレンジ色の線)を除いて光熱・水道費、被服費、交通・通信費が昨年4月に消費増税の影響で急激に物価が上昇しています。家賃には消費税が課税されないので、住居費の物価水準は、ほとんど変化はありませんでした。
光熱・水道費(緑色の線)は、昨年までは円安の影響で、消費増税以上に物価上昇がありましたが、今年に入ってからは、原油安の影響で、物価は消費増税前の水準まで落ち込んでいます。光熱・水道費に関しては、節約の意識をしなくても、自然に節約できた1年と言えるでしょう。「電気代が去年よりも抑えられていて、節約頑張ったな~」と感想を持っている方は、本当に節約できたかどうかを確認するためには、電気の使用量をチェックしてみましょう。
次に被服費(紫色の線)を見てみましょう。大きなトレンドとしては、季節ごとに変動を繰り返しながら、緩やかに上昇をしています。季節ごとに変動を繰り返しているのは、シーズン前に新作が出回る頃は価格が上昇し、シーズンの終わり頃にバーゲンで在庫を一掃するので、価格が下落するのが繰り返されているからです。前から言われていることですが、最新の流行を追い求めるのでなければ、バーゲン時期を狙って購入するのが、被服費の節約の方法です。
最近、家計における支出の割合が増加している交通・通信費(青色の線)を見てみましょう。トレンドとしては、消費税増税の影響で、物価は上昇したものの、その後は、緩やかに下降しています。格安スマホの参入により、競争が激化した結果と言えるでしょう。また、5月からは、SIMロック解除が義務化され、電話会社の乗換えが容易になったことから、今後も通話・データ通信料金の価格は、低下傾向が続くことが予想されます。一人1台、携帯・スマホを持つ時代、契約形態を定期的に見直すことが、通信費の節約の方法と言えるでしょう。
消費者物価費目別指数推移
節約も、全ての項目に渡って行うことができれば、効果は大きいですが、日々の生活をしていると、時間や手間がかかります。毎年、いくつかの費目に絞って節約に取り組み、それをローテーションしていけば、節約体質の家計が出来上がります。どの費目に絞るかは、経済情勢を見て、「光熱費の価格が上昇傾向にあるから光熱費を抑えよう」とか、トレンドを見て「SIMロック解除が義務化されて、通信関係で新しい契約形態が出てきたから見直してみよう」というように、世の中の動きを見て決めると良いでしょう。
【参考】2015年の家計改善、住宅ローン借換えにチャレンジ!
>>資産運用は、家計を救ったか? 2015年の運用環境は?